Mulled wine
大好きなうさぴーへ
今は洗濯ものを乾かす目的で暖房をつけながら電気毛布にくるまって、冬限定センターチョコ10%増量のチョコモナカジャンボを頬張るという、なんともすばらしい背徳感あふれる行為を満喫しております。いい香りのお茶をいれちゃったりします。クリスマスの余興って感じがいいですね。毎朝アドベントカレンダーのチョコを食べる生活に甘えてしまって、チョコを食べずにいられなくなりました。
クリスマスが来て急に、イギリスであった諸々が顔を出してきました。イギリスに行く前と帰った後の京都での記憶が急速に接近してもうほとんど境目がなくなっていたのに、そこが静かに開いた感じです。初めて、一人でいるのにクリスマスソングを聴きました。それもキャロルを。今の私の日常の中にキャロルは不釣り合いで、水の中の油みたいに追いやられていましたが、家で一人でふっとキャロルを流したら、日常の方がどこかに行ってしまいました。(疎水性相互作用っていうけれどこれは体内とか世界に水が多すぎるからで、有機溶媒だらけの世界があれば親水性相互作用とか疎油性相互作用とかになるんだろうな、と今日考えていました。)イギリスの合唱団で歌った歌った、とか、どうしても圧倒的に知っているキャロルの数が少なくて、知っている前提でいきなり歌えと言われるのでリフレインしか歌えなかったな、とか思い出しました。イギリスで知り合った人たちのインスタから流れてくるパーティの風景はとても懐かしくてどうしようもなく遠くて、ちょっとうじうじしていたこととかが全部外の世界のことみたいな気持ちになります。これは遠いことが悲しいからではなく、遠さが広さを常に抱えているからという気がします。
それから、Mulled wineを作りました。イギリスのクリスマスマーケットには必ずあった、あれ。4回くらい名前を忘れてついに覚えられたけどまだ単語レベルでの意味はわからない言葉。一番安い赤ワインを鍋にあけて、スパイスとフルーツをとにかくたくさん入れて煮込むだけの簡単なお料理と誰かが熱弁していました。日本ではホットワインというそうですが、私にとってはどうしたってあれはmulled wineなのであって、それは英訳ではなく、言語の枠を超えた固有名詞なのです。言語ってこういうところあるよなあと思いました。なぜかクリスマスの少し前から、あれを作るぞという固い意志がありました。普段行かないスーパーにいってシナモンスティックやらクローブやら八角やらを買いそろえて、みかんとレモンを薄切りにして、たまたま持て余していたカリンも加えてぐつぐつ。友達にふるまったらとても好評で、私はひと口しか飲めませんでしたがたしかにおいしかったです。ちゃんとあの、クリスマスマーケットの片隅の仮設テントみたいなバーみたいな味がしました。今日もまだ、家に帰ってきたらふわっとワインの香りを感じました。
2024.12.26