三連休の中日、地下鉄に乗った。ときどき地上に出るのだけれど、夜9時を過ぎており車窓は見えない。ロングシートの右端に座り歩き疲れた足を休めた。スマホで位置情報ゲームの画面を開き、今日行った場所を振り返る。 「これ、差し上げます」 隣に座っている男性が突然、紙を差し出した。つるりとした紙質、おそらく何かのチラシの裏だ。 「今、5分くらいで書いたんですよ」 と続けて言う。メモのようなものが書いてあった。 ありがとうございますと礼を言うと、男性はすらすらと語り始めた。今年80歳に
月曜日、いつもと同じ青い帯の電車に乗った。ふだん自宅で仕事をしているけれど、今日はパソコンを持って外に出る。空はどこまでも青かった。 ロングシートに座って2、3駅。窓に流れる風景を眺めているだけで、心の曇りが晴れスッキリする。 たったこれだけのことで気持ちが新しくなった。あたりまえのように走っている電車はたくさんの人たちの見えない力で支えられている。 今日も仕事を始めよう。駅ナカのカフェで窓際に座り、冷たい水出しアイスティーをひとくち飲む。キーボードに向かうと心なしかい