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スパイの妻
聡子(蒼井優)は、スパイの妻なのか、はたしてそうではないのか。
ただそれだけの話だと思ってた。
つまり、福原優作(高橋一生)がスパイなのか否かだけがこの話の結末だと信じ切っていた。
しかし、全く違った。
これは、歴史と日本と夫婦の愛の話なんだ。
でもね、そんなに甘いものなんかじゃないよ。
優作と聡子の関係は、何とも気持ち悪く、何とも心地よく、強かで傲慢で、あり得ないほど卑怯に映る。
優作の心の真相なんて、知る由もない。
ただ、何かを信じすぎたために、大きな正義に飲み込まれていく姿は見るのが辛かった。
その上、利用されても開き直ってるなんて。
でも、優作が与えたものを瞬時に見抜き、行動できる聡子は、やはり福原優作という男と共に生きていくことのできる唯一の妻であると分かった。
画角もホラーテイストだし、ペトロールズや星野源とにこやかに演奏するあの長岡亮介さんが監修した音楽も異常に怖いけど、観終わったあとは、誰かと登場人物それぞれの想いを語りたくなるような映画だった。
誰も本当のことなんてわかりゃあしないんだよな。
黒沢清監督、「お見事です。」
p.s.この映画を観てからロマンスドールを観ると心が温かくホッとしますが、その順番が逆だとうわってなりますよ。