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ヒューマン・スプリング

初めて志賀理江子さんの作品を目にしたのは、栄の美術館でした。

個展ではない何かの特設展の中で螺旋海岸の一部の作品が展示されていたのですが、一瞬で目を奪われたのを今でも覚えています。

↑写真はamazonより引用

それまでの自分の中で写真というものは、良くも悪くも綺麗な瞬間を切り取ったものというイメージが強かったのですが、この作品を見た時にすべてを覆された気がしました。

志賀さんの作品は、見慣れている日常とは真逆の非日常的な場面を切り取った写真が多いと思うのですが、そこに普段感じることのない生々しさを感じさせてくれます。(完全に主観ですが、、)


それから数年後、上京したタイミングで東京都写真美術館で新作個展"HUMAN SPRING"が開催されることを知り、すぐに見に行きました。

宮城に拠点を構えている志賀さんが東北大震災後に撮影した作品であったため、天災の被害を大きく受けた東北の地と人間の強さがテーマとなっており、展示は写真が大きな立方体に貼り付けられたインスタレーションで作品の生々しさが色濃く伝わってくるものでした。

↑写真は公式サイトより引用

作品は山奥でガラクタと化したクレーン車(おそらく、、)や廃墟と化し、草が生い茂ったコンビニなど人間には防ぎようのない自然の脅威(絶望)と東北の海を泳いで渡る人々前を向いての必死に歌っているような若者希望)が共に存在し、普段あまり考えることのない生と死について改めて考えるきっかけをくれた個展でした。


最後に自分は美術や芸術に対して造詣が深くないので、作品の解釈が志賀さんが意図したものとは大きく異なっているかもしれませんが、この個展で感じたことは自分の中でこれからも忘れずに大切にしていきたいと思います。

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