「聞いてません!」ミスを認めない新人とのかかわり方
新人とペアで仕事をすることになった入社4年目のMさんが、私のところにきました。
新人の言い訳に滅入っている様子。
なかなか悩ましい相談です。
Mさんの仕事の「当たり前」がKさんの当たり前とぶつかっている!
Mさんは話をしながら、こんなことを強調していたように感じました。
これは、Mさんの仕事の「当たり前の価値観」から
見える考えで、
<Mさんの仕事の「当たり前の価値観」>
・ミスをしたら謝るもの
・期限に間に合うように手伝うしかない
こんな信念がKさんに対する不満を生んでいます。
結果、遅れを取り戻すためにKさんを手伝ったことも「自分は被害者である」という心理が、ますますKさんへの不満につながったともいえます。
かたやKさんは、どんな「当たり前の価値観」なのかを想像してみると
・ミスや失敗を悪いと思わない
・やりながら覚えていくもの
と、Mさんの価値観とのずれがありそうな気がします。
Kさんが出しているサインは「仕事ができるようになりたい!」では?
Mさんにとって「聞いてません」は言い訳のセリフ。
Kさんにとっては「正解を知りたい」「納得したい」気持ちがある気がします。
「Mさん、私はこう思うのですが、Mさんは、人との関係を大事にしたい性分からか、期限やお客様への信頼に応えたい。かたや、Kさんは仕事を覚えて、仕事ができるようになりたいのでは?期限が遅れたことを謝罪したって、遅れた事実は消えませんし。どうですか?」
「おっしゃるように、私が不満に思ったのは、一緒に働く仲間や得意先企業の方に、気遣いの言葉がないことです。せめて、『すみません』が言えないのかと。でも、そもそもKさんが「間違っている」「悪いな」と思っていなかったら、謝ることもできないですよね。
Kさんの態度が伝えたいサインは、『仕事を教えてほしい』のような気がします。今回の期限遅れやKさんとの関係がぎくしゃくしたのも、私の新人指導が準備不足で、行き当たりばったりになっていて、ゴール設定や計画が
上司との意識合わせが甘いのも原因の一つあります。
もう一度、上司に持ち掛けて、新人研修の計画と進め方を明確にして、Kさんへもヒアリングします。」
「人を気遣うことも大事だ」Kさんに教えていきたい
そして、Mさんは続けます。
「今回は、謝ってくれなかったことが引っ掛かって、私一人で不満を感じていました。福原さんに話をして、Kさんの「自分なりに納得して仕事をしたい」様子が見えてきました。Kさんのことを考えていると、私も新人の頃は早く仕事を覚えようと必死だったことを思い出しました。当時は、仕事のやり方を覚えることばかりが先走り、周りなんてまったく見えていませんでしたね。」
「トラブルを先輩に助けてもらって『一緒に働く人とのかかわり方が大事だ』ということに気付いたのは、もっと何年も経ってからのことだったと思います。」
「Kさんにそれを伝えようと思ったら、どうするのがいいと思いますか?」
「経験談を話す・・でしょうか?」
「いいえ、Mさん自身がお手本となって、かかわり方を見せてあげることです。身近な人が体現することほど良い手本はないのですよ。」
「そうですか。私自身、『見られている』意識を持って、人とかかわってみます。」
「『背中で見せる』ですよ。クサい言い方ですが。」
そうですね。背中で見せてみます!
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MさんはMさん自身の仕事の「当たり前」から
不満を抱いてしまいました。
しかしながら、人に話すことで、自身の新人時代を思い出し、
自分の姿を見つめなおす機会になりました。
今、あなたは不満を感じたり、落ち込んだりして
気持ちがネガティブになっていませんか?
もしそんな状態にあるなら、Mさんのように話をして
思考の整理をしませんか?