嗜好品を伝える難しさと意外とシンプルな話
嗜好品ってファンになることなのかなと思います。
嗜好品を少しだけわかってもらいたい話です。
嗜好品って誰がどんな物が好きでも誰に対しても責任はなくて、完全に自分の好みだけを追求していいもののことだと思っています。だからこそ、誰もが好きな物に対してマニアだし、オタクだし、語ったり薦めたりするものだろうと思います。そして、誰かが何かを勧めてきたり、また語っていたとしても、実際自分がそれを受け入れるかどうかも自由だし、相手がどうであれ自由だと思っています。もちろん、間違ったことを発表していたり、法律的にダメなことは否定したり修正したりすることが重要ですが、他人が何を好もうが否定するものではないです。
嗜好品の魅力を伝えることは意外と難しいなと感じています。
特に、そこまで興味のない層の人に伝えることは難しいと思います。
「お茶」とひとつ取り上げて見ても多くの産地や品種や製造方法があってその掛け算の分だけ広く深いので、なかなか難しいと思われがちだと思っています。
ほかにも、酒、コーヒー、たばこなど嗜好品といわれるものはいくつかあります。きっとそれぞれが、それぞれの「伝える壁」に当たっているように感じます。そんなところまで求めていない話まで深めてしまったり、簡単にしすぎると差異を伝えることができなかったり、そもそも嗜好品の情報って求めている人が少なかったり、SNSで投稿してもそれによって興味を持ち、嗜好品の世界へ足を踏み入れるのはなかなかハードルが高いように思われていたり。
それでも、少しずつ少しずつその楽しい世界とそれに関わる人々の営みを知ってほしいと願い、私たちは発信を続ける意味はきっとあると思っています。
何が良品か比べて批評したりする必要はありませんが、自分の好きなもの自分にとっての良品を見極める力を人間には持っていて欲しいとおいます。
嗜好品に触れたりすることでそれは鍛えられ、私たちの人間としての大事な目と鼻と口は鋭くなっていきます。それは最終的に人生において助けになることでしょう。なぜなら、あらゆる嗜好品はコミュニケーションを生むからです。
話題が生まれ、話し合いが生まれ、和気が生まれ、人と人の摩擦を減らす働きをするのです。
深くマニアに語る必要もないかもしれませんが、せめて自分や相手の好きなもので語り合えるような経験と知識を持ちあわせ、嗜好を伝えられるような人が増えるように私たちは努力していかなければならないと日本茶に関わる者として常に考えています。