見出し画像

中国古代のお葬式Part5

中国古代のお葬式では
1.   初喪礼儀
2.   治喪礼儀
(1)   銘旌,魂帛
(2)   弔喪,賵賻
(3)   入殮
(4)   成服
(5)   朝夕哭奠
3.   出喪礼儀
4.   終喪礼儀
という手順で進められますが,前回は2.(3)入殮をお届けしましたので,今回は(4)の成服と(5)朝夕哭奠をご説明します。

(4)成服
 時代によって異なりますが,唐代では大殮の3日後,宋代では翌日に,血親戚縁者が喪服を着ることです。ただし死者との関係の遠近によって,喪服は5段階に分けられています。それが
五服です。

 斬衰  縁縫いをしていない切りっぱなしの麻布で作ります。最も近しい人,父に対する息子や未婚の娘,夫に対する妻妾,祖父に対する跡継ぎの孫,天子に対する諸侯,君に対する臣下が身につけ,期限は3年とされます。(実際には25カ月で落ち着いたようです)

斬衰

斉衰  斬衰の次の段階の喪服で,同じく麻布ですが,縁が縫ってあります。期間についてはいくつか説があり,時代によっても違いますが,3年,1年,3カ月といったところでしょうか。着用する期間と誰が着用するかは,ややこしいのですが,例えば父親がもういなくて,母親(継母も含む)が亡くなった場合は,子供や嫁が3年間着用します。父親が健在で母親が亡くなった場合は,子供たちが,妻が亡くなった場合は夫が,1年間着用します。以下細かい規定がありますが省略します。

 大功  粗く織った布で作った衣服と,麻の腰紐や冠の纓,布の帯などで,3ヶ月間着用した後は,小功に換えて,9カ月後まで着用します。これを着用するのは,すでに嫁いだ父方の伯母や姉妹,祖父を同じくする兄弟などですが,年齢によっても細かく変わってくるので,省略します。

 小功  大雑把に加工した麻の衣服と,葛の腰紐や帯などで,大功の後の5ヶ月間着用します。

 緦麻  目の細かい麻布で作った衣服で,期間は3ヶ月間です。最も簡単な喪服で,死者との関係が比較的遠い縁者が着用します。

このほかにも冠や杖など細かい規定がありますが,とても書き切れません。

冠や腰紐,杖など


死者との関係と着用する五服

(5)朝夕哭奠
 これは,正式な葬儀の日まで,肉親が行わなければならないしきたりで,喪服を着た肉親が毎日日の出の時と日の入りの時に,酒食を設けて泣かなければならないというものです。
 ただし,この正式な葬儀というのが困ったもので,早ければ死亡の3日後,遅ければ433日後というから,たまったものではありません。これは日にちの禁忌などがあるためなのですが,「泣き女」という職業が成立するのも,無理はありませんね。

                   出典:『喪葬史』上海文芸出版社             
                      他
                      

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?