部活動指導について

働き方改革や教育改革として学校は大きく変わり始めているが、部活動指導はここ数年で特に大きく変わったと感じる。私の母校は元々部活には強制的に所属する必要があった。それがここ数年で所属自体が任意になったという。これまでも運動格差という表現はあったが、今後は一層運動経験に差が出ないか心配になる。文化部であっても、何かしらのコミュニティに所属していることで得られる体験は少なくないと考える。部活自由化が何をもたらすのかは今後も注視したい事柄である。任意制を否定的に感じてはいるものの、大多数は何かしらの部活に所属しているとのことである。少し意外に感じるところではあるが、生徒もコミュニティを求めているのかもしれない。

本題に入る。私は部活動が何のためにあるのかを今一度言語化することに努めたいと思う。働き方改革といえど失われてほしくないこと、私が生徒に伝えたいことを整理するという目的がある。

まず、大前提として私は部活動は人間性を鍛える(矯正する)場であると考える。具体的に言えば挨拶・返事、コミュニケーションなどの力をつけることである。私自身、中学校では挨拶をする際の立ち方や返事の仕方などを教わった。「踵をつけてお辞儀をする」「両足に均等に重心を掛けて話を聞く」「話をしている相手の目を見る」どれも当たり前のように感じるが、意識しなければ大人でも出来ない人はいるだろう。大人になってから教えて貰う機会はぐっと減るだろうし、よほど面倒見の良い人でなければ挨拶・返事をしない人はただ見捨てるだけではないだろうか。

では、実際のところはどうだろうか。私は大学3年生になってから、中学生の部活動を見る機会に恵まれたのだが、挨拶・返事が出来ない人が非常に多いと感じる。もちろん私が学生の時からそのような生徒は数えきれないほどいるのだろうが、部活動文化が衰退しつつある現状でこのままにしていてもいいのだろうかと不安を感じる。誰がどのようにするとこの問題を解決できるのだろうか。昔は存在したのであろう生徒間の上下関係による指導はもう望むことは不可能に近いだろう。やはり指導すべきは教師だろう。しかし顧問の先生でも仕事が忙しくて部活動の様子を頻繁に見ることが出来ないことがあるだろう。また、体育会系でもなければ挨拶の仕方に重点を置いて部活動指導をすることもないだろう。それでも私は部活動指導は教師が挨拶・返事から始めるべきだと考える。

そもそも私が「挨拶・返事」にこだわるのは、究極的には部活動で成果を出すためである。どれだけ個人的なスポーツのスキルがあろうと、絵や音楽の才能があろうと、挨拶も返事も出来ない選手をどれだけの人が応援してくれるだろうか。私の高校の部活では「win the respect(尊敬を勝ち取る)」が目標だった。部活動は1人では出来ない。それを気付かせる意味でも部活動は他にはない経験となるだろう。
また、挨拶・返事が出来ることで、結果が振るわなかったときに何を反省するべきかが明確になる。挨拶・返事が出来なければ、「挨拶も出来ないのに勝てるわけないよね。そりゃ負けるよ。」で終わりである。何事も積み重ねではないだろうか。「出来ること、やるべきことは必ずやる。その努力の先に成果が待っている。」と教えることこそが部活指導の根幹となるところではないだろうか。

長々と話してきたが、また別な視点で部活動を考えたい。それは「尊敬」という感情を培う場としての部活動である。ここでいう尊敬とは単なる上下関係や、教師と生徒の関係を指すものではない。他校の生徒や仲間、先輩、そんな誰かを尊敬する経験を生徒に持たせることが大事だと私は考える。
そもそも、社会で生きる中で「相手に敬意を持つこと」は何においても大切なことである。ネットで見知らぬ相手と交流する際に、平気で汚い言葉を口にする・書き込む人がいる。ネットの暴言は想像力の欠如ともいえるかもしれない。目の前に相手がいても同じことを言うのだろうか。敬意を持つということは、無理に尊敬して崇めるといった意味ではなく、1人の人間として相手を認めて交流するという、ただそれだけのことである。スポーツは対戦相手がいなくては勝負を始めることすらできない。文化活動も他人がいることで評価されて価値を持ち始める(これは言い過ぎかもしれないが)。自分に才能があろうと成果を出そうと、それは他人がいてこそ成り立つものであると自覚すれば敬意をもつことの意味はおのずと理解できるだろう。自分と関わった大勢の人のおかげで今の自分があるということを忘れた大人にはなって欲しくない。

ここまで二つの視点で部活動を考えてきたが、結局のところは机上の空論だろう。私はまだ未熟な学生に過ぎないし、部活動で何をどうすれば思いを伝えることが出来るのか知らない。実践も含めてまだまだ勉強しながら自分の教育観を高めていきたいと思う。

長々とつたない文章をここまで読んで下さりありがとうございました。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?