ルー ドナルドソン追悼 私的L.Dベスト10 その2
ルーさん追悼 私的L.Dのベスト10です。
断っておきますが、あくまでも私的です。
第10位
「ジミー スミス アット ジ オルガン vol.1」
BN1551 1957
ジミー スミスはテナーサックスと演奏するのを好み、唯一の例外がアルトのルーさんだったという。そして本作でオルガンに出会ったルーさんは、その後ソウルジャズのマエストロとして黒人音楽を世界的なものにおしあげて行く。サマータイムの真っ黒なドスの効いたオルガンに乗って腹の底まで響くルーさん、オールデイロングの果てしなくワームなブルースフィーリング、どこを切っても傾聴に値するオルガンジャズの最高芸術作品だろう。
第9位
「アリゲイターブーガルー」
BN4263 1967
ブルーノートに帰って来たルーさんはファンクジャズのマエストロとして、あの時代の空気感を表現した。詳しくは僕の著書「炎のファンキージャズ」で
第8位
「ロッキン ザ ボート/ジミー スミス」
BN4141 1962
ルーさんのロゴは小さいが、改めてジミー スミスと共演した黒人音楽集。ルーさんは1926年ノースカロライナ州バディンという町で生まれたが、この南北カロライナというのは、黒人文化の重要な拠点であり、ルーさんは恐らくこのレコードに収められた音楽の多くを聴いて育ったのだろう。ジャズが本来黒人音楽であるということに改めて敬意を示す傑作だと思う。限りなくブルージーなプリーズ センドミー サムワン トュ ラヴでメロメロになること必至。
第7位
「ミルト ジャクソン」
BN1509 1952
もっとも初期のブルーノート録音はMJQとの共演。張り裂ける様なビバップ魂。この時点でもう既にチャーリー パーカーとは一線を画したビバップを生み出していたのがよくわかる。ディジー ガレスピーとは同じカロライナ出身であるのはヒントになるのだろうか。調べてみる価値はあると思う。
第6位
「クリフォード ブラウン メモリアル アルバム」
BN1526 1953
ミルト ジャクソンと全く同じ理由で選出。元々はブラウン&ルーさんの双頭リーダーのアルバムとして10インチで発表されていたものの、ブラウニーの急死で、もう一つのブラウニー名義のセッションとカプリングで12インチ化された。こちらはB面に収められた故にA面の方が評価されるが、なんのなんの、この時点でとてつもなく高度なビバップを創造した超一級ジャズアーティストであったという事実が知れる。ビバップが最高に高揚したとてつもない大記録である。
第5位
「ブルースウォーク」
BN1593 1958
ハーマンフォスターとのカルテット作品(実際にはレイ バレットも参加したクインテット)の最高傑作だと思う。とにかく作品としての完成度が高い、いや高すぎるくらいだ。ルーさんが選んだピアニストはホレスシルバー、エルモホープ、ハーマン、ホレスパーランくらいしか思い当たらず、その中ではハーマンが最も数多く、長きに渡り行動を共にしている。89年のライブを観るまでもなく、よほど気が合ったのだろう。そのスタート時点でここまでの傑作を作るとは。とにかくルーさんの天才ぶりが怖いほど現れている。
第4位
「カルテット クインテット セクステット」
BN1537 1952~1954
僕が初めて購入したルーさんのアルバム。それだけに思い入れは強い。しかしそれだけではない、とにかくビバップの総合デパートの様な作品にして、歌う歌う!ルーさんの超絶な巧さと歌心に持っていかれる。これを聴いている時の幸福感は何ものにも替え難い。そしてしつこい様だが、パーカーとは違う。
次回はベスト10選外の作品、そしてベスト3の発表です。