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腹腔鏡手術入院覚書

みなもすなる入院準備なるものを、私もしてみむとてするなり。

先日胃がんと診断され、胃の3/4とグッバイしたての白井と申します。
これまで五体満足、健康診断の指導では「あなたの身長と体重のバランスは完璧!一番病気になりにくい。最近の子はみんな軽すぎる!」と微妙に引っかかるお褒めの言葉をいただけるほどの健康優良女として生きてまいりました。

ところがどっこい、いきなり胃がんでございます。「風邪かかりにくい人が意外とインフルエンザかかりやすかったりするよね〜」みたいな話なのでしょうか。たまったものではありません。
人生初手術、右も左もわからないためXで有識者のポストなど頼りて入院準備をしました。
そしてなんというバッドタイミング、一丁前に緊張で遅れた月経期間が手術にバッチリかぶってしまいました。


入院準備については先人たちの知恵の三番煎じもいいところなので、手術と生理がかぶったら何があればいいの?どんな感じ?というところだけでも誰かの参考になればと幸いです。

※大半を書いた当時入院中でした。
フレッシュで荒削りな情報をお届けいたします。


・一般的な入院準備

まずは、ごく一般的な(?)入院グッズから。
これは手術部位や病院の指定などにもよると思いますのでご参考まで。健康保険証など入院手続きに必要なアレコレは省略しました。
まず(必)とある病院で必ず持ってきてねと言われていたものです。

・(必)パジャマ(レンタル可)
・(必)タオル(レンタル可)
・(必)下着
・(必)歩きやすい靴
・(必)T字帯3枚
・(必)腹帯3枚
・(必)コップと湯呑み・曲がるストロー
・(必)歯磨きセット
・(必)ティッシュ
・(必)石鹸
・(必)洗髪用品
・(必)ヘアブラシ
・(必)イヤホン


私は荷物を少なくしたい&お腹の手術で前開きのパジャマが望ましいとされましたが、前開きのパジャマは二枚ほどしか持っていない…ので、パジャマもタオルもレンタルしました。
ただ、私の入院した病院ではパジャマもタオルも毎日交換&申し込んだ日から退院の日までお金がかかりますが、術後2日導尿カテーテルが外れるまで着替えられなかったことを考えるとパジャマは数枚持ってきて足りなくなってからレンタルor回復してからランドリーで洗濯乾燥すればよかったかな?とも思いました。タオルも同様。点滴外れるまでシャワーに入れなかったので数日分溜まり、後半はタオル富豪になりました。
あとは平均身長以下にもかかわらず、レンタルパジャマの袖裾が短くてちょっと居心地が悪かった。


Xで情報収集をして、スノーさん(@nekotosiba)のリストを参考に自分で足し引き。※すごく丁寧なリストなので元ポストぜひご参考に…!

https://x.com/nekotosiba/status/1778929957370273957?s=46&t=0thx7K2qKJnkcF6D3mYccA

こちらのポストにもある、先人たちの知恵の結晶ともいえるアイテム↓

フック付きかご
(私はセリアの洗濯用品売り場で見つけたものを購入。普通のプラカゴにS字フック2つとか、紐つけるとかでもいけるみたいです。小さい布トートにS字フック派の人もいた)
これはもう、入院生活(主に術直後)の過ごしやすさが格段にアップしたはず。あなたなしでは頑張れなかった。ありがとうカゴ、ありがとう病の中で得た知恵を授けてくれた先人たち。
なんせ術後は起き上がるのが苦痛なので、すぐ必要なものはここに入れ、枕元にかけておきました。

【中身】
・ストロー
・おしりふき
(ウェットティッシュ代わりにも)
・ワセリン
・ハンドクリーム
・濡れマスク&マスク
・ドライシャンプーシート
・イヤホン
・ヘアゴム
・メガネ
・筆記用具

〈ほか持参したもの〉
★多端子延長コード
★充電器・充電用コード
★生理用品(ナプキン・タンポン・ショーツタイプのナプキン)
★S字フック
★ペットボトルにつけられるストローキャップ
★泡で出る洗顔料
★デリケートゾーンウォッシュ
★トナーパッド
★靴下(厚手すぎないもの)
★ナイトブラ・ブラトップ
★レッグウォーマー
★クッションカバー
ノート・メモ帳
書類保管用ファイルケース
iPad
iPadホルダー
てぬぐい
カーディガン
ウルトラライトダウンベスト
化粧品
最低限のメイク用品
コンタクトの替え
ヘアバンド
洗濯バサミ・トラベルハンガー
ティーバッグ
のど飴
エコバッグ
ポリ袋
ジップロック(大小)
汗拭きシート
本数冊
少量の食器洗い洗剤&小さく切ったスポンジ
☆ゆかり
☆夫のTシャツ

こんなところでしょうか。
★は持ってきてよかった!とすごく思ったもの
☆は個人的に助けられたものです。
術前はごはんが通常食で出るけどおかずに対してごはんが多い、術後は流動食〜おかゆ生活ですが、だんだん飽きてくるので味変用に。ゆかりLOVE……私は梅入りが好きです。
Tシャツは面会制限のある入院生活で私が夫シックになってしまう懸念から、無理矢理夫から剥ぎ取ってきたものです。真面目な話、家で洗濯したタオルとか馴染みのある匂いがついている布類があると、だいぶ心が落ち着きました。病院では「いつも使ってる香水」など香りの強いものは使えないため、自分だけのリラックススメルアイテム、おすすめです。

・月経用の準備

さて、続いては月経用の備えについて。もしかしたら月経と手術が重なるかも…となったとき、色々調べても情報が少なくてよくわかりませんでした。

とりあえず、ネックになるのはT字帯かなと推測。一般的なT字帯は褌のような、紐がついただけのペラリとした頼りなげな布のため、ナプキンをどうつけるのか?ズレないのか?という不安がありました。
なので、

イワツキ Tパンツ(ワンタッチタイプT字帯) 60120cm 1枚入 004-41883
[楽天] #Rakutenichiba
https://item.rakuten.co.jp/wel-sense-shop/10004146/?scid=wi_ich_iphoneapp_item_share

こちらのショーツタイプを購入。
※病院の売店でも売っているかもしれませんが、確認し忘れたのでネット購入。結果ショーツタイプは売っていなかったので買っておいてよかった。

生理用品は、念のためおむつのようにショーツと一体型になっているナプキン・通常のナプキン・タンポンそれぞれ持参しました。

入院して、まんまと手術前日に生理開始。
手術当日に二日目って……先生たちが患者の出血量を抑えようと最大限努力する日に、あなたは好き放題出血するつもりなの…?図々しいんじゃなくって……???と、己の体のタイミングの悪さに歯噛みしつつ、看護師さんに生理がバッティングしたことをお伝えしました。

看護師さんは「あ〜、大事な予定がある時に限って早まったり遅れたりしますよねえ…。体調は大丈夫ですか?」と嫌な顔一つせずこちらを気遣ってくれました。女神です。

その女神様にどうすべきかお尋ねしたところ、

①新品のナプキン一枚とT字帯ショーツを術前に担当看護師に預ける
②通常のショーツ+ナプキンの状態で手術室へ
②術中に導尿カテーテルを挿入するために脱がす
③術後、つけていたナプキンは破棄し、新品のナプキンとT字帯ショーツを装着して病室へ
④通常のショーツだけ返却

という流れでした。看護師さんにタンポンも持参したけど…と訊いてみると「カテーテルも入るし、タンポンは挿入しないでおいてください」とのことでした。
ショーツタイプのT字帯については「こっちのほうがナプキン固定しやすいしズレなそうでいいですね!」とのこと。ホッ。

そして無事に手術が終わり、術後2日目、導尿カテーテルを外しましょうとなったとき。
悲劇は起こりました。

ベッドから足を下ろした座り姿勢でカテーテルを抜去してもらいます。痛くはないけど気持ち悪…何今の……みたいな感覚でした。
T字帯ショーツに装着しているナプキンには多少の血が。かなり控えめな出血量だったため、意識朦朧としているときに替えてくださったのかしら(ナプキンの場所はお伝えしてあった)と思っていました。

そして、T字帯ショーツを脱ぎ、通常のショーツにナプキンを装着してショーツを上げるためにゆっくりと立ち上がった瞬間……
ドバーーーーッと、大袈裟でなくコップ一杯分程の血が大放出。もちろん密着もしていないナプキンでは受け止めきれず、溢れる血。内心大パニックだけど「わァ……あ…」とちいかわみたいな声しか出せず狼狽える私、その声に振り返ったら突然患者が下半身血まみれで驚く看護師さん。地獄絵図です。
なんとかベッドと床を汚さないようにしたいので中腰姿勢を保ちますが、なんせ術後二日目の内臓切られたてホヤホヤ。立っているのも数分で限界です。

どうしよう……と回らない頭で顔面蒼白になっていると、看護師さんのファインプレー、すぐさまペットシーツ的なものをベッドに敷いて座らせてくれました。
どうやら導尿カテーテルが入った状態でずっと寝姿勢だったため、経血がうまく排出されず、抜去して腹圧が軽くかかった瞬間溢れ出したようです。
サマーランドにある樽からバシャーンってなるやつかよ(伝わりにくい比喩)……と思いながら、のろのろとそのシーツの上に座り、持参したショーツ型のナプキンを看護師さんに取ってもらいます(はじめ出血量がもう少なくなっているかと思って普通のナプキンにしたのですが、まだ全然ありそうだったので…)。
看護師さんは、私が下半身丸出しでオロオロしている間に清拭用のあたたかいウェットシートまで用意してくれていました。傷の痛さと情けなさとありがたさで涙が出ます。

血液を拭き取り、ついでに身体も拭いてもらい、着替え、ショーツ型ナプキンを装着してようやく人心地ついたころにはヘトヘトになっており、気を失うように一眠り。なかなかの事件でした(主に看護師さんにとって)。

なので、同じように経血量が多い日に導尿カテーテルが入る予定の方は、抜去する際、ナプキンをチラ見していつもより血が出ていないなと思ったらカテーテル抜去をトイレで行ってもらうなどすると良いのかもしれません。溜まってた血が一気に出るかも、と意識して己の骨盤底筋の力を試してもいいかもしれませんが、何せ手術後ですからなかなか力も入りません。こんなこともあるんだな〜と心構えしておくだけでもびっくり度合いが減るかと思います。私は結構驚きました。

あとは自力でトイレに行けるようになってから、持ってきたおしりふきが大活躍でした。
デリケートゾーンも拭けるので、シャワーに入れるまでの不快感がかなり減った。

こんな感じで、色々調べて臨んだ割にはトラブルに見舞われましたが、なんとか入院手術×毎月恒例の出血イベントを乗り越えたのでした。

ただただ厄介なイベントだと20年ほど迷惑に思っていましたが、がんがあろうが手術で胃を取られようが、毎月毎月来るともわからない予定に備えてはまたはじめからせっせとやり直す。己の身体の機能が正しく働いてくれているのは何であれ愛おしくありがたいものだなと、病気になってはじめて感じました。


・持っていってよかったもの
 &そうでもなかったもの

ここからは独断で持参品の中から持っていってよかったものとそうでもなかったなーというものを。

まず【持ってよかったもの】
前述したなかで★をつけたもの中心ですが、いくつかは割といろんなところで紹介されているので割愛し、何故これが便利?というものを。

まず、★泡で出る洗顔料。これは、単に泡立てネットを持っていくのをめんどくさがった私の怠惰の副産物だったのですが…。
こちらはシャワー入れるようになってから、腹腔鏡手術の傷を洗浄するのに役立ちました。
主治医には傷口を洗浄料をつけて洗って清潔にしてと言われましたが、いきなり洗浄力の強いものでダイレクトアタックするのにビビった私はこの洗顔料で洗うことに。結果沁みず、直接シャワーを当てないでとも指示されていたのですが泡切れもよく、助かりました。ちなみに私が購入したのはアベンヌのもの。

デリケートゾーンウォッシュ
これも私の怠惰の結果です。デリケートな部分を洗っていいんだから全身これでよくないですか???とボディソープを荷物からリストラしてこちらのみにしました。全然これでよかった。月経中や直後だと、正式な(?)使い方でも使用したかったので、これはナイス判断だったと思っています。

トナーパッド
手抜き根性を発揮して泡で出る洗顔料まで買って持っていっても、顔を洗面台で洗える元気が出る&その体勢を取れるまでに数日時間を要しました。
それでも顔を洗いたい。せめて拭いたい。…と、トナーパッドで拭き取っていました。簡単に保湿もされて、ちょっとサッパリ気分。朝の洗顔がわりにも使えて重宝しました。

クッションカバー
カバーだけです。引用元ポストの天才的アイディアなのですが、カバーだけを荷物に入れ、レンタルタオルやカーディガン・ウルトラライトダウンなど詰めて即席クッションにします。横寝する時や体勢がなんとなく居心地悪い時に重宝しました。あと、殺風景な白いベッドにカバーの柄や色があるとなんだかすこしだけ「病室」から「部屋」になったようでホッとしました。

レッグウォーマー
いいですか皆様。察しの良い方や経験者の方には鼻で笑われそうな発言ですが、術後すぐは靴下の着脱めちゃくちゃ困難です
間違っても私のように快適さを求めて五本指ソックスをメインに持参してはいけません。着圧ハイソックスもおすすめしません。退院する頃にはそれらも履けるようになると思いますが、靴下を履く体勢が痛い!
短い靴下&レッグウォーマーで温度調整が一番快適でした。そしてこれは個人的な理由ですが、前述したように微妙に丈の足りないレンタルパジャマで足元がスカスカする時にレッグウォーマーのぬくもりに大変助けられました。薄手のものもあるので、おすすめです。

ショーツ一体型ナプキン
迷ったけどカバンに入れてよかったものNo. 1です。寝たきりでもモレの心配がない、というのももちろんですが、理由はもう一つあります。導尿カテーテル抜去同時開催血祭りの後、一人でトイレに立つのもやっとな身体状態でも点滴は繋がっております。ガンガン水分が流し込まれ、寝ても覚めても定期的に尿意に襲われます。もちろん看護師さんはすぐ来てくれますが、手術と生理で腹部全体が腫れているためかいつも通りに尿意に対応できず、立ち上がる際など軽度の尿漏れもありました。
そんな時でも安心感がある&ショーツごと替えられるのでよかったです。
また、月経が被らなくても腹部の手術をするときには(もうやりたくないけど)尿漏れパッドや薄型オムツを持参しようと心に決めました。

マタニティショーツとワンピース(着替え)
腹腔鏡手術のあと、何が困るってヘソが痛いんです。腹腔鏡手術でなにか臓器を切除する方は多くの場合ヘソから出します、ブツを。あなたが麻酔から目覚めたらヘソにだけ小切開という、3〜5cm程度の他より大きめの傷ができているはずです。それがしばらく痛いんです……。
そこで活躍したのがUNIQLOマタニティショーツでした。妊婦さんでなくとも買いやすく、お求めやすい価格。ふんどしショーツを推奨される方も多いのですが、ちょっぴり高級品です。
私は傷口がやわらかい布に包まれているほうがパジャマとの摩擦が少なくて安心感がありました。あと単純にあたたかい。解放感のあるのが好きな方にはふんどしショーツを、そっと守られたい方にはマタニティショーツをおすすめします。

退院時の服装も、腹部へのしめつけがないワンピースなどがおすすめです。間違ってもタイトなジーンズにわたしという戦うボディをねじ込んで退院するつもりで服を選ばないほうがよいと思います。

【持っていかなくてよかったもの】
・ボディシート
残暑厳しい折でしたので、汗をかくかしらと思い、爽快感のあるボディシートを持参しました。しかし空調の効いた病室内で汗はかかず、むしろ術後は寒かった。おまけに看護師さんが清拭用に蒸しタオル的なシートを持ってきてくれるので、必要ありませんでした。

・タンポン
タンポン派の方には悲報ですが、カテーテル挿入により使用不可と言われたので使わずじまいでした。

・エコバッグ
私は意外と使いませんでした。病院のコンビニにも買い物に行きましたが、むしろベッド脇にかけるゴミ袋として使いたくてレジ袋をすすんでもらっていたので…。

【番外編:持っていけばよかったなと思ったもの】

◎耳に合う耳栓
私は大部屋だったのですが、想像をはるかに凌駕する音量のいびきを発する方が同室にいらして、なかなか眠れませんでした。
そうでなくとも、オペ直後の方が同室にいると夜間でも頻繁に看護師さんが出入りしたり、色んな機械の音や声がします。自分が手術を終えた日には、同室の方々はこの状況を我慢してくれていたんだなあとありがたく思いつつ、睡眠時間を確保するためにも耳栓はあったほうがいいなと思いました。
病院の売店にも耳栓は売っていましたが、選択肢が一つしかなく、それも耳に合わずにすぐ取れてしまいました。
諦めてイヤホンで音楽を聴くなどして誤魔化しましたが、事前に買っておけばよかったと思ったアイテムです。色んな方が入院必須アイテムに「耳栓」を入れているのには訳があった……準備中に「イヤホンでよくない?」とか舐めた態度とってスミマセンでした。イヤホン、長時間は痛かったです。


【おわりに】
大いに過不足のある内容だったかと思いますが、
これから入院する方のご参考になれば幸いです。
術後、痛みや辛さが強いのは手術当日〜3日目あたり。その間はしんどいですが「日にち薬」とはよく言ったもので、少し経つと日毎に回復を感じられるようになります。
何もできず病室の天井を眺めているだけのところから、寝返りが打てるようになった、立てるようになった、一人でトイレに行けるようになった……まるで赤子からやり直しているかのように、できることが増えます。私は「生まれ直したのだ」と思うようにしました。己を赤ちゃんだと思えば、自分一人で病院の売店に行くなんて「はじめてのおつかい」レベルでの大進歩です。脳内では例のBGMを流してください。
入院しているとどうしても悲しいことや悪いこともたくさん考えてしまいます。なので、何もできないところから何かできるようになるたびに自分を褒めて前向きな気持ちを保ちました。これから手術を受ける皆さまは術後赤ちゃんのつもりで、自分を褒めながら退院までの時間を乗り切っていただければ幸いです。

これから手術に臨まれる皆さまの少しでも快適な入院生活と、良好な回復を心から祈っています。

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白井@胃がんと向き合う校正者
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