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大塚製薬とネイチャーメイドの挑戦〜アメリカ市場から日本市場への進出と広告戦略

こんにちは、チャボです。
今回は温故知新シリーズで「ネイチャーメイド」にフォーカスします。

アメリカを代表するサプリメントブランド「ネイチャーメイド」

ネイチャーメイド ブランドサイトより

このブランドは、創業から、ビタミンやミネラルのサプリメントでアメリカ市場を席巻し、消費者の信頼を得てきました。ネイチャーメイドは、2009年に大塚製薬に買収され、日本市場に参入してきました。

アメリカのサプリと聞いて皆さんどんなイメージを持ちますか?
「粒が大きい」「配合量が多そう」「品質ってどうなんだろう…」

この記事では、これらの疑問が渦巻く日本市場で、どうやって大塚はアメリカのネイチャーメイドサプリを成功に導いたのかを書いていこうと思います。


アメリカでの展開(1971年〜)

会社概要

ネイチャーメイドは、1971年にアメリカで創業され、健康志向の高い消費者をターゲットに成長しました。当時からビタミンやミネラルサプリメントが主力製品で、特にビタミンD、オメガ3、カルシウムなどが人気です。
日本でこういったシリーズサプリが展開されたのは1990年以降、当時のFANCLやDHC、小林製薬が代表例です。日本のサプリメント制度はアメリカの制度を参考に作られているといわれているため、こういった展開方法も参考とされたのでしょう。

ネイチャーメイドの売上規模は、アメリカトップクラスのシェアを誇り、2022年の売上高は約10億ドルに達しています。

基本栄養素を軸にしたラインナップを構え、かつ自社研究機関を持ち、消費者の健康意識の高まりに応えるため、さまざまな研究に基づいた製品開発と品質管理を徹底しています。
幅広いラインナップで多様なニーズに応えることによって、アメリカ全土で信頼されるブランドへと成長していったのでしょう。

また、そもそもの文化の違いによる影響もあります。
アメリカでは医療費が日本ほど手厚くないため、セルフメディケーションの意識が高いです。(日本が低すぎるという観点が正しいかもですが、、)
アメリカにおいて週1回以上サプリ摂取する層は約7割近くとなっています。コロナ影響で割合が増えたこともあり、過去以上に習慣化された状態といえるでしょう。

大塚製薬 決算資料より引用

日本ではサプリメントを利用する層が約3割※といわれており、それと比べるとベースが全然違いますね。(※厚労省:国民健康・栄養調査より)

広告の変遷

ネイチャーメイドの創設者は薬剤師だったのですが、処方される薬では人々のウェルネスを改善できていない事に葛藤していました。
そんな中、身体に必要な栄養素を自然に近い形で摂取できる「サプリメント」を開発し、「自然の恵み」というテーマに沿って「Nature Made」というブランドを打ち立てます。

アメリカで当時のネイチャーメイドの広告戦略は、テレビCMや雑誌広告が中心でした。健康なライフスタイルを提案し、特に「信頼できる品質」を強調するメッセージが一貫していました。

現在ではネット・SNSを活用した戦略をとっており「健康の土台」というイメージを強化していってます。(以下ビジュアル)
これは日本でも同様で、健康をケアするではなく、「健康の土台づくり」はおそらく世界トレンドなのでしょう。

日本上陸(1989年〜)

1989年に、ネイチャーメイドの親会社であるファーマバイト社が大塚グループに買収されます。この頃から大塚のアメリカサプリを日本で販売する構想を展開させ、共同研究・日本人に合わせた栄養設計などが準備・展開されていきます。

そして、1998年に大塚製薬のチャネル活用し日本へ上陸します。
当時はサプリメントの規制もあって、医薬品との誤認を防ぐために六角形の粒で導入されていました。(余談ですが、サントリーさんの粒の形は、この時代の名残と言われています。なかなかこの粒形状は市場では見られませんね。医薬品との違いを明確にすることを今も守ってるのでしょう。)

サントリーウエルネス セサミンEXの粒形状 

また1999年からマス広告が始まります。
「ビタミンやミネラルなどあなたの足りないものはこちら」「保存料や着色料など不使用」「ネイチャーメイド♪(ジングル)」などをぶん回し、ブランドの認知向上に努めます。

しかし、日本ではそもそもサプリメント文化がこの時代そこまでついておらず、なんだったらローヤルゼリーやアガリクスなどの危ない商品が乱立している時代です。あるある大事典などもこの前後から始まっており、いわゆる健康ブームの走りのカオス時期でした。

しかしそういった危ない健康食品に乗ることはせずに、ブランドの原点である「自然からの基本栄養成分」をしっかり補うことができる。という軸をぶらさずに継続して投資を続けます。

日本市場での本格展開(2009年〜)

2009年に大塚製薬が同社を買収したことがきっかけに、ネイチャーメイドブランドは日本市場の展開を一気に加速させます。

大塚製薬はネイチャーメイドを「大塚製薬の品質」を信頼のクレジットとしながら「アメリカサプリの量・効果イメージ」を全面に押し出した展開を進めます。

広告の路線も少しアメリカの要素を盛り込みながら展開を始めます。(以下のCMすごい覚えてます。裸の女性がPKGで身体隠して街を練り歩くみたいな。その周りに男が群がるみたいな、今だったら考査100%通らないだろな・・・という衝撃広告 苦笑)

ただ、これはネイチャーメイドが成功した重要なポイントです。
先ほどの「海外サプリの品質不安を日本の大塚という有名ブランドが払拭」しながら「アメリカで最も売れている」という要素を出すという、日本の消費者に向けたうまい一手だなと感じます。
大塚という「大手で皆知っている」「ちゃんと研究してそう」などブランドイメージが貢献し、スムーズな市場拡大を図ることができた事例と感じます。

現在では、薬局やドラッグストアでも馴染みのあるブランドとして見かけるようになり、「大塚品質のサプリ」という位置付けで海外サプリメントに馴染みの少ない層にもリーチすることができるようになっています。

終わりに

以上が、日本へのネイチャーメイドブランドの展開例でした。
他国展開する際に、現地の栄養状態やスペックに準拠するのは当然としつつ、消費者の不満やネガティブをいかに払拭するかを現地企業と連携図りながら進めていくことが新規国進出においては重要と感じられる内容でしたね。やはりいつの時代も「Customer is BOSS」だなと感じました。

また、現在日本では某製薬会社の品質問題を受けて機能性表示など医薬効果のサプリにすごい逆風が吹いていることからも、この「自然イメージ」を武器に顧客の信頼を得ていくことは伸長の鍵となっていくでしょう。(ただ、ここにガチンコで立ち塞がるのはディアナチュラというアサヒの壁ですが・・)

今後も市場の動きと合わせて注目するブランドの1つだなと改めて感じます。以上、ネイチャーメイドの紹介でした。
それではまた。

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