基礎栄養の要!DHAの働きと効果的な摂取方法〜科学的根拠と食品からの摂取法まで徹底解説〜
こんにちは、チャボです。
基礎栄養が注目されるトレンドは、コロナ以降急速に拡大していることを今年書いた記事で紹介しました。
現在それに伴って、プロテインやビタミン、ミネラルなどの市場もさらに成長を続けています。この分野は、現在様々な食品形状の製品が続々登場しており、さらに競争が激化していくでしょう。
そんな中、ビタミンや食物繊維と並んで、非常に重要な成分があります。
それが「DHA」です。
「え?DHA?」と驚かれる方もいるかもしれませんが、その通りです。
今回はDHAに焦点を当てて、なぜこれほど重要なのか、その理由を深掘りしていきます。
それでは早速いきましょう!
そもそもDHAとは?
DHA(ドコサヘキサエン酸)は、魚に豊富に含まれる、現代の健康維持に欠かせない油の一種です。油には「良い油」と「悪い油」があると言われますが、DHAは「良い油」の代表格です。
(ちなみに、以前元乃木坂の山下美月さんが「いい女は良い油を取る」といっている記事を見たことがあります。田中みな実論ですね。笑)
よく「魚を食べると頭が良くなる」「血液がサラサラになる」と言われますが、実際にはそれだけでなく、DHAにはさまざまな健康効果が期待されています。
近年DHAはサプリだけでなく食品でも手軽に摂取できる成分として活用が広がってます。しかし、ただ摂取するだけでなく、その性質や摂取の効果を理解することはより良い健康への1歩です。腸活などと一緒で自身の活動がどのように健康へ影響するかを知ることも重要ですからね。
では、まずDHAがどのように日本の食生活に定着し、その歴史をたどってきたのかを振り返ってみましょう。
起源は食。縄文時代から紡がれる魚文化
DHAの歴史を遡ると、なんと縄文時代からその痕跡があります。
日本は古くから魚を食べる文化が根付いている国です。縄文時代の遺跡からは、海水魚や淡水魚、さらにはイルカやクジラの骨まで発掘されています。当時の人々は、内陸部ではフナやコイなどの淡水魚を、東日本では春に川をさかのぼるマスや秋のサケを捕まえて食べていたと考えられています。こうした魚食の文化が、日本人のDNAにはあるのかもしれませんね。
1960年〜 戦後の食生活の転換とDHAの再評価
しかし、戦後の日本は大きな食生活の転換期を迎えます。特に1960年代からは、海外の資本流入や影響により、食生活が急速に欧米化しました。肉中心の食事が普及し、以前よりも魚を食べる機会が少しずつ減少していきます。
そんな中ですが1970年以降では、DHAについての論文や研究が数多く生まれ、日本でも「DHAを摂取すると子供の学力が向上する」「認知症予防に効果がある」といった情報が広まり、DHAは「頭の良くなる栄養素」として日本で再評価されていきます。
食生活の未来とDHAの役割
しかし「時計の針は元に戻らない」という某アニメの名言の通り、一度変わった食文化を元に戻すのは容易ではありません。実際に肉食の拡大は止まらず、魚介類の摂取は減少傾向が続きます。2006年頃からは魚と肉の摂取量が入れ替わり現在では肉類の摂取が多くなっている状態です。
現状としては、食事からのDHAなどの栄養素の摂取量は減少傾向にあります。便利さや手軽さを重視した現代の食生活の影響で、魚を食べる機会が減り、肉中心の食事が多くなっています。
文化の変遷とは言いつつも、DHAの摂取が減ることで過去になかった健康トラブルの増加の一因になっていることも考えられます。
では、DHAがもたらす健康効果とはどのようなものでしょうか?
意外と知らない?DHAの機能とその理由
前述の通り、DHAの効果は脳機能の向上や心血管の健康に留まりません。実は、DHAには目の健康を守ったり、アレルギーの症状を緩和したりする効果も期待されています。数年前には睡眠の働きも研究で確認がされました。
なぜこんなにDHAは多機能なのでしょうか?
これは、DHAが「細胞の膜に含まれる成分」であり、体内で「抗炎症作用」を発揮するという唯一無二の働きであることが理由の一つです。この詳細は別途記事で少し触れますね。
実際のエビデンスとしての確らしさ
DHAの多機能の話は上記の通りですが、その確らしさはいかがでしょうか?
実はDHAについては日本で、消費者庁が実施した評価が過去にあります。国が成分についての評価を行うという、かなり珍しいケースでした。
2012年、消費者庁は「食品の機能性評価モデル事業」というプロジェクトを通じて、DHAを含む特定の成分が健康に与える効果についての評価を行いました。
この事業では、魚離れへの歯止めと、セルフメディケーションの啓発を意図に、心血管疾患のリスク低減など6つの機能に関して、科学的根拠に基づいてその有効性を評価しました。評価はAからCの3段階に分かれており、Aが最も信頼性の高い科学的根拠を示すものです。結果として、DHAは多くの分野で「健康に役立つ」と判断され、特に心血管疾患に関するリスク低減においては、最も高い評価を受けました。
消費者庁としては、こうした評価を通じてDHAの重要性を消費者に広く伝え、摂取を促進しようと試みていました。しかし、実際には一部の企業が「国が認めた」といった誤解を招くような広告表現を用いたため、結果的に混乱が生じたことも事実です。
いつの時代にもこの辺は企業モラルが求められますね・・・。
このように、DHAの効果には確かな科学的根拠があり、健康維持に役立つ成分であることは間違いありません。しかし、正しい情報に基づいて適切に摂取することが、私たち自身の健康を守るために重要です。
DHAの生活への取り入れ方
サプリメントが受け入れられる理由
DHAのような栄養素は、サプリメントでの摂取が便利です。その理由は、多くの消費者が抱える「やりたいけどできない理由」に紐づくと考えられます。例えば、「値段が高い」「魚を調理するのが手間」「調理後の片付けが大変」など、魚を日常的に食べることが難しい人が多いのが現状なため、「コスパよく手軽に摂取できる」という点が消費者からは望ましいのでしょう。
さらに、厚生労働省が推奨する量は1,000mgを超えるため、現在の欧米に傾いた生活・食事から、毎日摂取するのはほぼ不可能です。
DHAのサプリは大塚製薬の活動もあり、一定海外産を取る方も多いです。
メイドインジャパンを中心とする国において、海外産サプリメントが一定の人気を誇るのはなぜでしょうか?個人的な見解として、これは「手間」の観点から来るものだと考えます。
アメリカ産のサプリは一粒が大きいことが多いですが、その分一回の摂取で十分な量を補えます。一方で、日本産のサプリメントは比較的小さい粒が多く、その分一回に複数粒を飲む必要があります。
以下は、DHAEPA合わせて約800mgの粒の量になります。
私は最近左を飲んでるのですが、結構これが便利と感じています。
飲むのが簡単、かつ一粒で済むので、続けやすいと感じています。飲み続けることが大切な栄養素ですのでこれは重要なポイントです。インサイトのような話をすると男性特有の「めんどくさがり」や、もしかすると「補えている感が安心、心地良い」なども寄与するのかもしれません。
サプリメントを選ぶ際に考慮すべきは、自分の生活習慣や嗜好に合っているかどうかです。手軽さを求めるなら、海外産のサプリメントの「一粒で十分」という利便性が強みになります。
一方で、粒が大きくて飲めない方や原料の産地や品質管理を重視する場合、日本産のサプリメントを選ぶことが安心感につながるかもしれません。
最終的には、自分のライフスタイルや好みに合ったサプリメントを選び、無理なく続けられることが、DHAを効果的に摂取するための鍵となります。
近年急拡大の「サバ缶」と「魚肉ソーセージ」
DHAを摂取するために、必ずしもサプリメントを利用する必要はありません。実は、私たちの日常生活で手軽に手に入る食品の中にも、DHAが豊富に含まれているものが多くあります。これらの食品を上手に取り入れることで、自然にDHAを摂取することができます。
●缶詰
また缶詰のサバやイワシも、DHAの優れた供給源です。
20年のコロナで備蓄のニーズや健康効果の影響もあり急拡大を見せました。近年はブーム沈静化やパウチタイプの拡大、値上げ影響など含めて売上は減少傾向になってきています(ヨーグルト飲料と同様の動き方ですね)
魚の缶詰は料理の手間がかからないため、忙しい方や時間がないときにも最適です。さらに、缶詰の魚は、油分が調理過程で逃げないため、DHAがしっかりと含まれており、むしろ新鮮な魚よりも効率的にDHAを摂取できることがあります。また長期保存が可能なので、いつでも簡単に利用できる便利な食材です。
●魚肉ソーセージ
意外に思われるかもしれませんが、魚肉ソーセージはDHAを豊富に含んでいます。1本で800mgと、先ほどのサプリ粒と同等の量を含む商品もあります。手軽に食べられるうえ保存がきくので、忙しい日の食事や、子供のおやつ、またお弁当のおかずとしても最適です。特に魚の調理が面倒な場合でも、魚肉ソーセージなら簡単に摂取できるため、DHAを効率よく摂る方法としておすすめです。
また、魚肉ソーセージの使用については面白い広がり方をしています。
以前Xでも投稿しましたが「行楽にいく際に、同年代と健康を語らう際の道具」として活用されているというのが非常に面白い。これは先ほどのサプリメントやサバ缶では役割を担えない独自の市場ポジションだと思います。
かつ、それであれば商品機能に、心疾患系のヘルスクレームや血圧などを加えているのは納得です。
サプリメーカーで働くとこの辺を忘れがちですが、使用シーンまで含めて消費者を見ることで市場でのポジションを確保することができます。
サプリメントメーカーで働く場合、この辺はちゃんと間接競合としてみておくべきですね。
終わりに
今回はDHAについて簡単にまとめた記事を書きました。
DHAを効率的に摂取するためには、食事とサプリメントをうまく組み合わせることが重要です。理想的なのは、青魚を週に2〜3回食べることですが、忙しい現代人にとってそれが難しい場合、魚肉ソーセージや缶詰などの便利な食品やサプリメントで不足分を補うのが良いと考えます。
また、DHAの効果を感じるためには、継続的な摂取が必要です。1日や2日では効果を実感することは難しいため、長期間にわたり、食事やサプリメントを通じてバランス良くDHAを摂り続けることが大切です。
DHAは、脳の健康や心血管の健康を守るための重要な栄養素であり、年齢を重ねても健やかな生活を送るためのサポート役となるでしょう。日々の食事やサプリメントをうまく活用し、DHAの恩恵を最大限に活かしていきましょう。
それではまた。