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5:恐怖と無価値
小4、5、6の 私は まだ
ここにいる理由も分からず
飲み込めない、受け入れられない
日々を過ごしていた。
ただ、分かる事は
親は子を捨てる
と言う事実だけであった。
今となっては理由も分かり
仕方ない事だったと思えるのだが
当時の私は、離婚の理由も分からず
分かっている、のは
親は子を捨てる
ただ、その事だけだった。
![](https://assets.st-note.com/img/1730036980-25v8ojk6McDuaWefBwArSxOX.jpg)
ある時 母は、私に告げた。
『子供3人を1人で育てるのは厳しいと思った』
『1人 置いてくる事も考えた。』
『置いてくるとしたら、
女の子である、お前のつもりだった。』
![](https://assets.st-note.com/img/1730035604-cxR2BhApK8NVWPivsrQmFY09.jpg)
母にも捨てられてしまう!!
そう思った。
私はどちらかと言うと
天真爛漫な子供であったが
良い子になった。
駄々をこねる事も
物を欲しがる事もなくなった。
離婚の事や、父の話をすると
母の顔が曇るので、しなくなった。
日々、母の望むように先回りして動いた。
![](https://assets.st-note.com/img/1729910381-B4r0L7CjEuowWQ2viK3eA5GS.jpg)
朝、起きたら、布団をたたみ
掃除機をかけ、洗濯物を干した。
朝ごはんは母が作ってくれ
食べたら母は仕事に行くので
私は、テーブルの上の全てを片付け
テーブルを拭き、立ち上げておき
茶碗を洗ってから、登校した。
下校は基本、友達と遊ばず
雨が降りそうなら走って帰った。
洗濯物をとりこむ為だ。
取り込んだ洗濯物をたたみ
タンスにしまい、
お米を研いで炊飯器にセットする。
風呂を洗って沸かしておく。
母が帰宅したら、共に夕飯を作る。
後片付けは私がする。
それが小学生の私の仕事だった。
それは高校卒業まで約10年 行った。
夕飯の時は、務めて明るく笑顔で
“学校は楽しい”という話をしてみせた。
母が寝る時は、
うつ伏せに寝た母の足の間に座り
母のふくらはぎを
トントンして寝付くのを待った。
母に捨てられない為の
子供なりの努力だったのだ。
母が寝た後、毎晩、布団で父を想い
母に捨てられる恐怖に怯え
理解出来ない現実に苦しみ
声を押し殺して・・・泣いていた。
![](https://assets.st-note.com/img/1729957794-BYdrnoLNcMpqzwFVDeI90xuv.jpg)
学校ではA子ちゃんを主とする
イジメは続いていたが
何とも思わなかった。
その当時から私は
陰キャと陽キャのグループを
行ったり来たりして
特定の仲良しを
作る事を避けていたのだ。
仲良くすらない、
私の心の中で、重要ではない人物に
無視されても痛くも痒くもないのだ。
![](https://assets.st-note.com/img/1730037560-H509QKw4C6BhrldtIkSUWnie.jpg)
親でさえ捨てる子
自分の事をそう思っていた。
自分に価値など見いだせなかった。
価値のない自分から、いつ、人が
離れていくのかは、分からないと思っていた。
親でさえ私を捨てるのだから
他人なんて離れていくものだと思っていた。
その為、特定の仲良しを作る事はしなかった。
転校する事で、学校の友達とも別れ
そろばんも、ピアノも・・・
マーチングバンドの仲間とも別れ・・・
人が目の前から 一掃され・・・
会いたい人には 誰も会えない。
(距離にして600〜700kmあるから)
こんな悲しい思いをするのは
もう勘弁、と思っていた。
自分の心を 誰かにあげる事は
恐ろしくて出来なかった。
かと言って母に甘える事も出来なかった。
![](https://assets.st-note.com/img/1729909861-JQn5qFNaYSgwmWlLzOs0yhbR.jpg)
子供を 裏切った父が・・・
生きてるのに会いにも来ない父が・・・
憎くて憎くてたまらなかった。
いっそシんでくれれば
『会いに来てくれるかも』なんて
期待を持たなくて済む・・・
そんな風にさえ思っていた。
(お父さんが亡くなられてる子に
失礼であるが、それ程追い詰められていた)
![](https://assets.st-note.com/img/1730037313-emXn21T9fNHaWJ48wsBYpLgy.jpg)
大好きで、愛おしくて、会いたくて
でも会えなくて・・・会いたくて
辛くて・・・悲しくて・・・寂しくて
父への愛おしい気持ちの分
男が嫌いになった。
誰も信用出来ないと思った
信用しては生きてはいけないと思った
![](https://assets.st-note.com/img/1730037254-O9bL0GAD7n3liCJSPhEj4tXv.jpg)
そうして私は心を閉ざし
人と接する事を怖がり
誰も居ない場所を
探すようになった。
図書館は絶好の場所だった。