モロヘイヤを茹でる
「プチッ、プチッ」
キッチンに野菜の茎を千切る小気味良い音が響く。モロヘイヤを茹でる前の下ごしらえの音だ。
元々料理が好きだった僕はサラリーマン時代後半の数年間、家族5人分のお弁当を作っていた。その後子供達は社会人となり家内の職場も給食を取るようになりお弁当の出番は無くなってしまったが、脱サラして自営業者になってからというもの、僕が夕飯の準備をする事が多くなった。
当初は揚げ物や中華といった親父飯、たまにイタリアンなイケおじ飯などが中心だったが、家族の食の嗜好、自分自身のダイエットなどが重なり最近は健康的なメニューが増えている。キャベツとニラをザクザク切って中華鍋で豪快に炒める(我が家は一貫してガスコンロを使用)のと違い、お浸しや和物などは食材の茹で加減で味が随分変わってしまうので、料理も自然と丁寧になる。
そこで冒頭のモロヘイヤである。
僕のやり方はまず茎と葉を千切って分け、茎は食べやすい大きさに切る。鍋にたっぷりの水と塩を少々いれ沸かす。沸騰したらまずは茎を入れ2〜30秒、続いて葉を入れ40秒ほど、色が変わったらざるに上げさっと水を通し粗熱を取ったら器に移し冷蔵庫で冷やす。
たったこれだけなのだが家族には好評で
「モロヘイヤの茎って美味しいのね」
と褒められるのである。
そんな時僕は
「丁寧な暮らし!」
といって胸を張る。褒められて伸びる50代親父の誕生というわけだ。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?