実戦チェス問題#17
少しばかり将棋が続いたからね。今度はチェス問題を出していくよ。
おことわり:いずれも過去に出題した問題を改題し、再出題しています。
第49問
黒番
第50問
黒番
第51問
黒番
ヒント
第49問
白のキングは狭く、かつ駒数も少ない。ということで、黒としてはここが決め所。どのように攻めて行こうか?なお主要な攻め筋が2種類あるので、良ければ両方を考えていただきたい(その差はメイトまでのわずかな手数の違いである)。
第50問
様々な駒がぶつかり、捌ききれば面白い盤面だがその前に準備しておくべきことがある。敵陣ばかり見てると痛い目に遭いますよ?そして、その手が果たして良いのかどうか、今一度検討が必要かも?
第51問
黒がやや駒損している盤面。一見指してみたい手があるけれど、その手で良いのだろうか?実はもっと白のキングに迫る手はないだろうか?
答えと解説
第49問
答えその1:30...Rcxf2+(Rfxf2+でも可)
これが本譜の手順。h6地点に出てきた白のビショップは取ることができないけれども、そんなことは関係ない速度で白キングに迫っていく手が正解。このままメイトあるいはそれに近い状態まで迫っていければ30...Rfxf2+でも良いが、なんとなく白からのQxg7#筋が怖いので保険として残しておく。
と言っても、f2地点での精算が行われた暁には関係なくなってしまうことには変わらないというオチはある。
この後は、31.Rxf2 Rxf2+ 32.Kh3 Qh1+ 33.Kg3 Qg2+ 34.Kh4 Qxg4+ 35.Kxg4 gxh6と進行して白の投了となった。
投了図以降は白として何もやることがなくなっている。それでいてステイルメイトも望めない状況では投了もやむなしである。ではもう一つの答えとは何だろうか?
答えその2:30...Qxe5+
確かに、この手はチェックをかけつつg7地点も同時に守っているので安心感が違うかもしれない。これでも白は一手一手で追い詰められる展開であろう。なおAI的にはメイトまでの手数に関してこちらの方が一手分短いそうである(M12)。そんなのは人間的に誤差の範囲的なところがあるので、自信のある手を指せればそれで十分であろう。
第50問
19...Rfc8(Rfd8やRfe8もあり)
人間の感覚からしたら、めちゃくちゃ怖い一手である。そもそもこの盤面では黒が守りを放置して「ナイトフォーク決めたった!」と19...Nxf2と飛びついてしまうと20.Qxh7#で対局が終わってしまう。そんな悲劇は避けなければならないが、かと言ってルークをずらすのはかなり勇気がいる。これも同じく20.Qxh7+と来られるとかなり生きた心地がしない。この場合は20...Kf8の一手になる。なおAI的にはここから20.Rd3の感じでどんどん攻め駒を追加していく、もしくはRg3+のような手を組み立てるプランらしい。だが、この手の方が黒としても形成判断的にはほぼ互角であるという。
実戦、そして直感的には19...Ndf6みたいな手が思い浮かぶ。
この手に対し、20.Bd3 Rac8 21.f3と進めて黒のNe4を攻めていくのが堅実な指し方であるという。
確かにこうなるとかなり黒としては気持ち悪く、この段階での評価はかなり悪い。なお実戦は21.f3の代わりに21.Bxe4と来たのだが、この手には21...Bxe4で十分であり、形勢もかなり盛り返すことができた。
第51問
27...a4
この手は見た感じの想像がつきにくい手である。というよりもこの後の展開がきちんと見えていないと指せない手である。この手には28.Ng5と黒ルークに当てつつh7地点の攻めを補強してくるが、黒は構わず28...a3とポーンを進める。
実はこの手には大きな罠が仕組まれていることに気付けるだろうか?もし白が「ルークが取れる!」と29.Nxf7としてくると、黒はしめしめとばかりに29...f4とする。よく見ると黒のこのディスカバードチェックに対して、白に有効な合駒的受けが見つからないのである。仕方なく30.Ka1とするが、そこで30...bxa2+が決まる。31.Kxb2 Qxc3#でよく見ると終わっている。
なので28...a3に手抜きはできないのである。ということでこの手の方が良かったという。
ちなみに本譜はそのような筋など見えずに、先に27...f4とディスカバードチェックしました。
この手には普通に28.Ka1とされ、28...fxg3 29.Qxg3と白優勢なまま進みましたとさ。