実戦チェス問題#1(9月26日追記あり)
おことわり:いずれも過去に出題済みの問題を改題し再出題しています。
第1問
白番 勝ち切ってください。
第2問
黒番 次の一手をどうぞ。
第3問
黒番 勝負手をかけて、形勢を盛り返すには?
ヒント
・第1問
初手は見えるだろう。その後、ステールメイトに注意しながら黒を追い込むにはどうする?
・第2問
これはノーヒントで良いでしょう。
・第3問
黒陣地はかなりのピンチであり、その上ルークも一つ落ちている。ここで守っているようでは手が回らない。攻撃は最大の防御なり。白f7地点にあるルークを目標にする手はないだろうか?
(9月26日0時 追記)
下の想定解は本譜進行であり、stockfish12による解析では疑問手であるとのこと。コメントをいただいたので、別手筋の解説も加えたいと思います。
答えと解説
第1問
55.Ke6
白はこの一手しかないであろう。
ということで白キングを移動した盤面が下図。
55...h5
56.gxh6
黒は白に対してこう問いかけている。
黒「君、アンパサン知ってるかい?」
白「もちのロンで知っているさ」
ということで取り込む。
56...g5
黒が指さざるを得ない唯一の手である。他に何もしようがない。
57.h7 g4
58.h8=Q#
間違えても白は上の図で 57.hxg5 としてはいけない。その瞬間にステールメイトの引き分けとなってしまう。スピードで勝っているのだから、確実にプロモーションして勝とう。
第2問
12...Nxd5
白クイーンただやん案件。以上!
第3問
32...Rxa2
これが人間ならではの勝負手。その瞬間の盤面が下図。
33.Qxa2 Qxa2+
34.Kxa2 Be6+
a2地点で精算した結果がこの図。こうなると白のf7ルークが一つ確実に落ちることとなる。黒はこうして勝負するしかない。
32..Rxa2に対する応答としては、33.Qc1で頑張るのが(AI的に)良いとのこと。人間的には怖いが、本譜の展開よりも白は楽に勝ちを目指すことができたであろう。
第3問に関する補足(9月26日0時 追記)
第3問について、「32...Rf3はどうだろうか?」というコメントをいただきました。そこで、この手に対するstockfish12を用いた解析と提示された最善手を分けて見ていこうと思います。そしてこれら三通りをそれぞれ指した後の評価値を最後に比較してみましょう。
32...Rf3の場合
この狙いは、あえて白から 33.gxf3 と取らせることにより 33...Qxf7とルークを差し違えることである。ここからさらに 34.fxg4と進んだ図が下である。問題はこの瞬間に黒から 34...Qxf1とできないところである。というのも白のBb5の利きが強すぎて、白Rf1には紐が付いているのである。やむなく黒のクイーンは逃げるしかない(例えば 34...Qd5とする)のだが、普通に白から 35.gxh5とされ、黒の忙しい展開が続くようで厳しい印象である。
ソフト推奨の手:32...Qxf7
もういっそのこと全てを諦めて、クイーンとルークを差し違えるのである。以下、33.Rxf7 Kxf7と精算した後、34.dxc5 Bxc5 35.Qe5まで進行した盤面が下の図である。この瞬間、黒のBc5が狙われることとなり、これでも忙しい感じがする。
各評価値と個人的感想
32.Rdf1時点での評価値は+5.74である。
・本譜進行32...Rxa2の評価値は+7.63であり、疑問手の評価をされる。ただし相手が人間である以上、対応を間違える(実際間違えた)可能性があるので、人間的には比較的見えやすく、かつ指しやすい手かもしれない。
・コメントの32...Rf3の評価値は+8.63である。上で見てきたように、白ルークを2つ落とすまでには至らず、狙い筋が一つだけしかないためか評価がかなり厳しい。この手は比較的白も丁寧に応対しやすく、白が継続して指しやすいであろう。
・ソフト推奨の32...Qxf7の評価値は+6.04である。なかなか指しにくい手であるが、まだマシであるとの判断であろう。ただし黒がこの展開に持ち込んだとして、そこからの指し回しは上記二つの場合以上に難しい展開が続くであろう。
余談であるが、本譜進行の34...Be6+時点での評価値は+1.20である。この嵌め手がいかに強力であったかを物語るであろう。
謝辞
Twitterでコメントをいただきました、天津星 クレール様。貴重なご意見をありがとうございました。
今後とも読者の方々のコメントや指摘をお待ちしております。
(追記は以上)