実戦チェス問題#10
おことわり:いずれも過去に出題済みの問題を改題し、再出題しています。
第28問
黒番 白は黒ビショップを攻撃してきました。どうお相手しましょう?
第29問
白番 白ナイトを攻めてきました。ここでちょっと洒落た手はないでしょうか?
第30問
白番 黒は体勢を着々整えようとしていますが、白はその準備を許したくないところ。ちょっと軽技を決めてみましょう。
ヒント
・第28問
黒ビショップはどうやっても取られる位置にいる。ということで、最終的にはポーン数の差を生かしてプロモーションを目指す方が良いだろう。ビショップを取らせる代わりに、白ナイトを攻める筋はないだろうか?
・第29問
ナイトが追い立てられているけれど、ちょうど都合の良い逃げ場所がないだろうか?
・第30問
白ナイトは攻めの準備ができている。そして黒Rh8はキャスリングできる状態でもなく、何となく稼働範囲が狭そうである。攻撃対象にできないだろうか?
答えと解説
第28問
35...Ke6
この手は後の解析検討で出てきた手であった。この手は黒ビショップと白ナイトを差し違える手である。36.hxg5に対しては、いったん相手にせず36...f5+とする。
なるほど、この手によって白ナイトは助からないと主張しますか。白g列のポーンも捕らえられるし、これで中央圧迫すれば十分であるということですね。とはいえ、本譜進行より人間的には多少(白プロモーションに対する)怖さがある。
そこで本譜は35...Rbc8とした。
黒ビショップを犠牲に、白背後のポーンに狙いを定めたわけである。白もここまでくると引き下がれないので、36.hxg5としてくるわけだが、そこは冷静に36...hxg5としておく。
さて、ここまで進むと白はどう対処しましょうか?黒としては駒を損しているものの、ルーク一つで左右のポーンのいずれかをプロモーションできれば十分という判断である。c2地点でのルークによる精算は、最終的に白ポーン一つを落とせるので総合的には有利であろう。
したがって、この白c2ポーンはどうにか守る手を白は指したくなる。そのような守りの手順としては、37.Ne3がぴったりである。本譜は37.c4と伸ばしてターゲットを元の地点から外してきたのだが、37...a4と逆側からb列のポーンを催促すれば、黒の二連ルークの先行きが明るくなる。このまま黒が攻めていって十分であった。
第29問
17.Nf3
このナイト戻りが、ポーンの当たりから逃れつつ、クイーンに当て、さらに白クイーンが黒Be6を睨んでいる。この後は黒が対応を間違えてしまい、数手後に投了された。黒が守るとしたら17...Qd7くらいだろうか?その場合は白のBf4のラインが強力なのを前面に主張しながらゆっくり攻めていきたい。
第30問
11.Nd6+
このナイト飛びが何ともピッタリである。このナイトをクイーンで取ることはあり得ないので、11...Kd7とするのだが、ここで一応取ることのできるb7地点のビショップを放置して、12.Nxf7とする。
こうするとポーンを回収しつつ、黒ルークを攻撃し、さらにこれまでの流れから黒のキャスリングの権利すら奪っている。黒は12...Rg8とせざるをえず、かなり不満な展開を強いられる。ここまで相手の陣形を崩せれば、白としてはその後にキャスリングするなど自陣の安全を確保して攻めていけば良いであろう。