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実戦将棋問題#17(沙久耶道場・伝統の一戦特集 その5)

プライベートやlishogi関係で忙しかったけど、少しは更新していかないと棋譜も溜まるばかりで振り返りも疎かになるので、再び記事を書くペースを上げていこうと思う。

伝統の一戦:三局目(2020年9月16日対局) 先手番 第49問
伝統の一戦:四局目(2020年9月30日対局) 先手番 第50問〜


第49問

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第50問

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第51問

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ヒント

第49問
長い詰みより短い必死と言います。金銀4枚に囲まれている後手陣に隙は無い。先手の飛車打ちは無駄な抵抗であることを見せつけましょう。5手必死問題。

第50問
歩に挟まれて先手の銀は逃げ道を閉ざされている、ように見える。でもここでは打開策が先手には存在する。攻めは最大の防御なり。どこか手がつけられるところはないだろうか?

第51問
銀が出て行ったところ、歩を打たれて追い返されそうな場面。そのまま引くのも不満なので、一発小技を決めたいところ。持ち駒の銀を活用できるような未来はどこかないだろうか?


答えと解説

第49問

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△2八金

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ここはズバッと先手の馬を取ってしまう。▲同玉 の一手に対し △3九角打 ▲1九玉 △3八銀成 と進むことにより、先手は受けなしとなる。

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必死の先手に対し、後手陣には付け入る隙がない。ということで、ここで投了となった。穴熊ならではの必死筋である。

第50問

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▲6五歩

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この歩の突きが銀を助けつつ、攻めを繋げる好手である。後手が勢いとばかりに △4四歩 と突いてしまうと先手は ▲6四歩 と取り込んでいく。こうなると後には引けないので △4五歩 と銀を取るも ▲6三歩成 と進んでしまっては玉の固さ、攻めの速度を考えても後手がダメである。

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ということで、▲6五歩 には △同桂 として先手の角に狙いを定めるのだが、そこで ▲5五角 と後手の拠点の歩を取りつつ角を飛び出すのがなんとも味が良い。△5四歩打 と角を追い返すような手にも、強く ▲同銀 と取り △同銀 ▲6四角 と銀を捨てつつ攻めを継続する。

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こうすると後手は先手の角成りを防げないどころか、なんらかの駒を取られてしまう。例えば △9二飛 ならば ▲5三角成 とすることで後手の銀に当てることができる。この展開には △5二飛 とぶつけて銀を守りつつ勝負出る手があるものの、構わず ▲5四馬 △同飛 ▲6五飛 と進むと角と銀・桂馬の二枚替えかつ、先手の飛車が捌けるので見通しが良い。(と言ったが、それは瞬間的な見た目の問題であって、実際の駒割は角と桂馬の交換で先手がよくない。)

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それでも後手は持ち駒に歩がなく、5筋の飛車の働きも悪いので、実戦感覚的には先手十分よしであろう。

第51問

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△4八歩打

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なんとも洒落た「叩きの歩」である。▲同金引 で払うと後手の銀が前に出てきてしまう。だからと言って、▲同金直 と上がると △5九銀打 の「割り打ちの銀」がなんとも痛い。

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かと言って ▲4八同飛 も6筋の利きが一つ減るので △6六銀と銀を前面展開されてしまう。

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ということで、先手から取れない歩には渋々 ▲3九金 と寄るのだが、そこで後手は冷静に △4四銀 と引く。貴重な一歩を手放すことにはなるが、すぐには取れない歩が後手陣の拠点となるだけでなく、いつか取られたとしても、その瞬間には先手の囲いを若干崩すことになる。先手からしたらしばらく手の出せない目の上のタンコブ的な歩であるに違いない。

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