実戦将棋問題#18(沙久耶道場・伝統の一戦特集 その6)
まだまだ続く伝統の一戦特集。サクサクと進めていこう。
伝統の一戦:四局目(2020年9月30日対局 その1) 先手番 第52問
伝統の一戦:五局目(2020年9月30日対局 その2) 先手番 第53問〜
第52問
第53問
第54問
ヒント
第52問
実戦版の簡単な詰将棋ですね。最長で5手です。決めてください。
第53問
先手には手筋の小技があります。こう言った歩の使い方ができるかどうかで実力差が出るのかもしれない。そんな歩の使い方を見つけて欲しい。
第54問
先手から竜と金取りの角を放ってきた。交換するのはもったいなく見えるが、かと言って金をみすみす取られるのも怖いところ。切り返しの手がどこかにないだろうか?
答えと解説
第52問
△3九角打
この一手しかないだろう、という手である。もちろんこの角は取れないので逃げるしかないが、端へと ▲1八玉 は △1七金打 ▲2九玉 △2八金 までの詰み。
逆方向へと ▲3八玉 は △2八飛打 ▲4七玉 △4八飛成 までの詰みである。
この程度の詰みは見えている人が多いと思う。後手は持ち駒が豊富であり、もしかするとどれを使うか迷う人がいるかもしれないが、最低限のコマで勝てるようにしておこう。おまけとして、もし後手の持ち駒に大駒が一枚もなかったとしても詰ませられるはずである。トレーニングの代わりと思って解いていただきたい(これは解答なしの課題としておいて良いであろう)。
第53問
▲2二歩打
この小技がまたちょうど良い感じである。少なくとも △同金 は ▲3一飛成 が厳しすぎるので考えから外す。とはいえ △3三桂 と逃げるのはそのまま ▲2一歩成 として攻撃の拠点を作っておけば良い。かといって放っておくと先手の飛車にも逃げられてしまうので、△3六角成 ▲同歩 △2二金 と先手の飛車を角と交換してから歩を取り除くのだが、そこで ▲3一角打 が後手としては怖いところ。
この手には △3二金 ▲5三角成 △5七飛打 と先手玉上空にある空間へ飛車を打ち込んで勝負に持ち込むのが流れだろう。
先手は王手を何らかで(逃げたりしながら)受け、その後に △5六飛成 と先手のできた馬をすぐ攻撃するように進む。この展開をどちらが良いと見るかは個人の感性に依るところが大きいであろう。コンピュータ的には互角で目に見えた差はほとんど無いようである。この展開は難解であるが、少なくとも目に見えて悪くなる展開ではないであろう。
第54問
△3六竜
この一手が後手としては切り返しの好手である。何が良いかというと、先手の浮いている3九地点の銀を王手しながら取れる点である。もし ▲4三角成 のように踏み込まれても、先に △3九竜 と王手で入り、▲6八玉 と上がらせた後に強く △5二金 と馬を狙いに行って十分である。
▲2一馬 と桂馬を取るようならば、△6九銀打 の「割打ちの銀」あたりを決めておいて後手は有利に一局を進められるであろう。
なお問題図で △同竜 ▲同歩 の竜と角の交換は、先手の主張に言いなりになる一方であり、後手の金は守られるものの代わりに拠点となる竜が消えてしまうので、勿体ない展開になるといえるだろう。