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実戦将棋問題#1

皆様の(隠れた)ご要望にお応えして新シリーズを始めます。
基本コンセプトはチェス問題と一緒。
(要はやりたいだけという声は甘んじて受けます。)

今回は10分切れ負けの対局より。

第1問

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第2問

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第3問

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ヒント

第1問
後手玉は脱出経路を開拓してきたよ。もちろん開けられたらすぐに閉めるのがマナー?というもの。どうします?

第2問
後手玉は危なっかしいものの、持ち駒が豊富になっている。先手からの継続手も来ているが、まだ耐えられそうである。ここから反撃するにはどうすれば良いだろうか?先手玉に迫っていく手を考えよう。

第3問
最終盤、5手詰めである。


答えと解説

第1問

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▲4六桂打

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この手が新たに開けた逃げ道を塞ぐ手である。もし後手がこの手に対処するようならば、左辺側から先手が攻めていけば良いであろう。先手は持ち駒が心許ないけれど、後手からすぐに迫って来られることもない。スピード差で先手が押し切れるであろう。

第2問

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△3六桂打

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この局面だけを見ると、反撃手段を持っているだけ後手が優勢である。ただし、問題図でこの一手を指すことができた場合のみに限るという。
さてこの手に対して先手はどう応じるのか?まず玉の早逃げを検討したくなると思う。そこで ▲4九玉 と脱出を試みるが、△3七銀打 と絡んでいく手がうるさい。

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「この銀タダだ!」と勢いよく ▲同金 と取ってしまうと、△5七桂打 とされて先手玉は頓死してしまう。どう足掻こうとも、金打ちまでである。

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逃げると銀打ちから絡まれて面倒ならば、ひとまず受けてみるのはどうか?ということで、逃げ道を塞がないよう細心の注意を払いながら、▲3九金 と補強してみる。この手には後手から △2八銀打 という手がまた何とも絡まって面倒である。

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後手からは余裕があれば △6九金打 として先手玉の退路を塞ぐ手も残されている。いずれにしても、この絡みを完全に振りほどかなければ、その後も厳しい勝負にならざるをえなかった。

なお本譜は △2五桂打 と指し、後手がどうにもこうにもならない展開をその後迎えてしまう。

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そこは代わりに △4五桂打 の方がマシであった。というのも、このままでは5七の地点に利きが無いだけでなく、そもそも桂馬自体が浮いているのである。
以下本譜は、
    ▲5五歩 △同玉 ▲8五飛
と進行した。

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ここで △4五桂打 であれば、玉が逃げてもまだ桂馬に紐がついているのだが、△2五桂打 ではそのまま素抜かれてしまう。ここで拠点を失いつつ桂馬を取られるようでは勝ち目がない。この手に対しては △6五銀打 と合駒をしたが、このような合駒請求をされるようでは後手の玉も風前の灯である。

第3問

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▲2三金

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これが決まると気持ちいいですね。これ以降は、
    △同玉 ▲2一竜
と進んで下図。

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さてお分かりいただけるだろうか?後手玉は何をしようとも頭金で詰むのである。そこでふと問題図に戻ってみると、後手が △4二歩打 と合駒したために逃げ道を閉じてしまって詰みを生じている。では後手が △6二歩打 であればどうなっていたか?

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この手によって先ほどの変化の最後で △4二玉 と逃げることが可能な空間を生じる。とはいえここから先手は手順が長くなるものの詰ませることができる。その過程は各自で考えてもらうのも良かったと思うが、それではこのnoteの意義が薄くなりかねないと書いてて思ったので、最後まで記そうと思う。解こうと思う人はここで一時停止!



【詰み手順(一例)】

▲2三金 △同玉 ▲2一竜 △3三玉 ▲4五桂打 △4二玉 ▲3三金打
△5二玉 ▲6一竜 △同玉 ▲5三桂不成 △5二玉 ▲6二竜
まで

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途中で手順に守りの馬を抜きつつ、決めきるところが何とも気持ち良いところだろう。

しかしながら、そこは切れ負け最終盤。秒単位で正しく読み切るにはかなりの実力が必要となる。でもとっさの判断で長く生きる選択肢の方が何かの間違いを生じる可能性が(ただし双方ともに)高くなる。短時間で直感力を鍛える意味も込め、そして攻守を含めて良い題材を提供できれば著者としても幸いである。

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