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実戦将棋問題#10
将棋のシリーズも気付けば10回目。これからもサポートお願いしますね!
第28問
第29問
第30問
ヒント
第28問
急戦模様から迎えた問題図。先手は居玉を避けたけど、その瞬間に浮いた駒ができましたね。後手陣も手を入れないとすぐに崩れる構造なので、しっかり追い詰めて行きつつ、必要な時に補強したいところ。
第29問
先手は6筋の先が開けたものの、完全に突破できたわけでもなく、かつ今は飛車と桂馬の両取りを食らっている。無難な手も見えつつ、いっそのこと腹を決めて絡んでいく方法もある。どちらが良いだろうか?
第30問
角交換が行われ、先手が後手陣の中央上部を制圧にかかっている。後手は反撃とばかりに飛車先を攻め始めた。先手が辛く指していくには、どの駒に目標を絞れば良いだろう?
答えと解説
第28問
△2九飛打
玉が上がったことで金が浮いていることからそこに狙いを定める。ここで攻めを加速しないと、先手側からいろんな手が飛んできそうである。非常に強引な手で行くとすれば、 ▲3三竜 △同銀 ▲5三角成 が金の両取りになったりする。もちろんこれは一例であり、他に良い手などもっとたくさんあるに違いない。ということで後手としても △2九飛打 から金を取っての詰めろをみつつ絡んでいく。さすがにいくら先手側が指しやすいと言ってもタダで金を差し出すわけにはいかないので、 ▲5九金 と寄るのだが、そこでも △3八馬 としつこく粘りつく。先手としてはこれ以上こられると危ないので、打てる歩を使って ▲4九歩打 と金底の歩ならぬ横から金が支える銀底の歩で凌ぐことを目指す。後手はここから攻めを継続するのは難しいので、一度 △2二歩打 を自陣の守りにテコ入れを行う。
先手はここから竜を引いて、一段落がつく感じであろうか。双方2筋に大駒が並んでいて、どちらからとも仕掛けるタイミングには困るであろうが、束の間の休戦になると言ったところだろうか。
第29問
▲6一飛成
そのままの盤面だと先手の持ち駒は多いものの、後手の駒が全般的に活躍しているのもあり、やや先手不利模様である。本譜では ▲3四飛 と横歩を取ったものの、完全に上部を抑えられる展開から完封負けをしてしまった。ということでソフトによる振り返りを行うと、この盤面がキーポイントであったとのこと。ここでズバッと飛車を切って金を取りに行く筋はどれだけの人に見えるだろうか?この飛車切りに対して △同玉 は ▲6五桂と手順に跳ねる。次の ▲5三桂成 を防ぐために玉が移動しても構わず ▲5三桂成 △同玉 ▲7一角打 が王手飛車となりこれは決着がついてしまう。
そこで ▲6五桂 には後手も手堅く △6二銀打 などと受ける。先手は攻め続けるしかないので、 ▲6四歩打 などとして拠点を作っていく。
この段階でも後手有利であるが、先手は角と金銀の持ち駒があるのでしばらく攻めは続きそうである。このような迫り方をした方が後手も忙しかったであろう。
では ▲6一飛成 に △同銀 と取るとどうなるか?この場合も ▲6五桂 と跳ねていく。「桂頭の銀」の格言通りに △6四銀打 とする。以下 ▲7一角打 △8三飛(寄ると ▲8二金打 と追われて面倒) ▲6三歩打 △6五銀 ▲6二銀打 などが一例だろうか。
これでも後手はまだ指せるが、一気に玉の周りが心許なくなる。このような攻めが決まれば先手もまだ希望はあったかもしれない。と言ってもやはりこの筋が見えるのはAI解析ならではだろうか。人間心理的にはよほどの自信がないと指せないであろう。
第30問
▲6三歩打
後手が8筋の突破を図ってきているが、それ以上にこの手の方が早くて厳しい。こうすると6二地点の銀は前に出られないので元の位置に戻るしかない。ということで以下は △7一銀 ▲6五桂 △8七歩成 ▲8三歩打 △同飛 ▲5三桂不成 と進んで下図となる。
「ふんどしの桂」による金の両取りである。こうなると先手の6筋突破も時間の問題であり、先手勝勢の感じである。このような一度勢いに乗った攻めの場合、特に急戦の場合は止めてしまうと相手からの反撃も大きいので、一気に決めてしまえるよう、読みを鍛えたいところである。