見出し画像

実戦将棋問題#14(沙久耶道場・伝統の一戦特集その2)

引き続き、伝統の一戦特集をお送りする。今回の3問も第一局目より。

伝統の一戦:一局目(2020年8月19日対局) 先手番


第40問

画像1

第41問

画像2

第42問

画像3


ヒント

第40問
後手の玉頭に銀を強く出て行ったところ、歩で追い返そうとしてきた。攻めが継続できるならばどこか斬り込みたいし、不安ならどっちか下がるのも一手であろう。さあどうする?

第41問
銀と香車の両取り状態である。銀を取れば駒の価値は高いが、一段目から離れてしまう。香車を取れば駒の価値は銀ほどではないが、一段目をキープして攻めを継続できそうな感じがする。さて、どっちが良いだろうか?

第42問
先手の美濃囲いも崩れ始め、典型的な崩壊の序曲を迎えたような感じがする一方、後手玉は竜側に金銀4枚の壁ができて手厚い。ただし、同時に逃げ道も塞いでいるので、反対側の香車が睨む筋は弱くなっている。自陣が攻め潰される前にスピードで迫っていきたい。


答えと解説

第40問

画像4

▲2三銀成

画像5

ここは銀を斬り込み隊長として殴り込んでいくのが正解。この銀を取らないという手はまず考えにくいので、△同玉 とするのだが、そこで ▲7一飛打  と打ち下ろす。その瞬間は4一地点の金が浮いているので、 △5一金寄 とするのだろうが、そこで悠々と ▲7三飛成 と銀を取る。

画像6

この手で後手玉の位置が悪いのもあり先手が十分に指していけるであろう。すぐではないだろうが、▲3五桂打 といった手が残っているので後手は忙しくなるであろう。

第41問

画像7

▲7三飛成

画像8

この場合、価値が高くかつ守り駒を減らす意味でも銀を取る方が正解。後手からの攻めも気になるが、持ち駒を見てもすぐに先手陣が攻められて崩壊することはないからこの手でも十分指していける。

さて、本譜は ▲9一飛成 と香車を取った。この狙いは単純明快で、次に ▲2六香 と船囲いのウィークポイントを攻め立てる算段である。この攻めはお約束であるのだが、今回の場合は成立が厳しいという。というのも香車を取る飛車成りに対して △6二銀 と引く手がちょうど守りに間に合うのである。先手も攻めるしかないと ▲2六香 と打つのだが、さらに △5一銀 と引いてしまう。

画像9

こう進行すると、2手で後手陣が横からの攻めに対して一気に固くなってしまう。こうなってしまうと先手の9一にある竜が遊んでしまうようになってしまい、なんとももったいない。攻めの手筋も時と場合による。特に双方の玉形を考えると、あまりの固さに先手の攻めが横からでは間に合わない。もっとフレキシブルに指せるようになりたいものである。

第42問

画像10

▲3五桂打

画像11

素直に2三地点に駒を足す。ここで後手の持ち駒に銀がないのがポイントであろう。そしてこの手を手抜くと一気に後手陣が危なくなるので、受けを足すしかない。ということで △2二金打 とやるのだが、構わず ▲2三香成 △同金 ▲同桂成 △同玉 ▲3五桂打 とおかわりをすると良い。

画像12

この後手玉の形がどうにも不安定すぎるので、先手が指しやすくなっている。ここで玉を引いてしまうと、2三の地点に駒を打たれて上部を圧迫されてしまい息苦しい。ということで、歩の盾に向かって強く △2四玉 と飛び出していくが、▲2二角打 といった感じで香車を請求しつつ、今度は下からも馬で挟み撃ちにすれば十分指せる。

ただ本譜は自信もなくて日和見してしまった節があり、ここまで強く指せなかったという。さて、その後はどうなったのかは次回のお楽しみとさせていただこう。

いいなと思ったら応援しよう!