実戦チェス問題#16
できるうちに出題していくよ。ということで今回もチェス問題。
おことわり:いずれも過去に出題した問題を改題し、再出題しています。
第46問
黒番
第47問
黒番
第48問
黒番
ヒント
第46問
白は最後の希望とばかりにfポーンをついてきたところ。その希望を無残に打ち砕くために、白クイーンには御退場いただきましょう。そんな手とは?
第47問
白はもう一方のナイトを跳ねてきたけれど?どこかで算数をすれば攻め立てられないだろうか?
第48問
14.g4 のポーン突きはその後の展開を見るとかなり不用意な手であった。黒Bb7の睨みと連携させて攻めることはできないだろうか?なお方針が似ている二通りの攻め方があるけど、その二つの差は評価値的に差が少ないことからここではどちらでもOKとしよう。是非見つけていただきたい。
答えと解説
第46問
34...Rg6+
黒からしたらもうこの一手しかないという感じ。同一ラインにキングとクイーンが並んでいてその間にルークを仕込めるならば、これ以上のクイーン抜きの手段はない。白としてもただでさえ攻めることが厳しい中で、このようにしてクイーンを抜かれてしまってはどうにもならない。したがって、ここで投了となった。
第47問
5...Nxc3
白は何か油断してしまったのだろうか?黒からナイトを取ってしまう手がどうやっても厳しい。この手がクイーンにも当たっているし、と 6.bxc3 とすると 6...Bxc3+ となり今度はルークとの両取りが成立してしまう。
白はこうなってしまうとなんとも辛い限りである。黒陣地は確かに動きが少ないけれども、キングサイドへのキャスリングはいつでも可能な状態であるし、白陣地は好き放題に黒で荒らされてしまっている。序盤ながらこの差は如何ともしがたいほど大きい。
第48問
14...Nxd4
まずは最善となるこの手から見ていくことにしよう。どう見てもクイーンとビショップとナイトと三方向に当たっている。かと言って、このナイトを手放しで 15.Nxd4 と取り返すことができない。その瞬間に 15...Bxh1 と唯一残っている白ルークを落としてしまう。
こうなってしまっては白は完全にお手上げである。したがってクイーンを避ける 15.Qd3 とするのだが、ここで黒はナイトを取らずにビショップを取りに行く。ではここでもし黒が 15...Nxf3+ とナイトを取るとどうなるのだろうか?この場合、白がすぐに 16.Bxf3 とビショップで取り返した手が自然と自陣のビショップに当たる。すると 16...Bxf3 17.Qxf3 と進行する。
この盤面図において、確かに黒有利の盤面は継続しているものの、あまりにスッキリしすぎてしまって、もっと優位を築けたのではないかとどこか感じてしまう。
ということで黒は 15...Nxe2 とビショップを取り、引き続きh1にある白ルークをじっと睨み続ける。ここで白の対応としては、攻めに出るか受けに出るかで棋風が現れる。受けるなら大人しく 16.Kxe2 と取るであろう。もし攻めっ気があるならカウンターとばかりに 16.Ng5 という手がある。
この手は油断がならない手である。白ナイトが跳ねたと喜んで 16...Bxh1 とルークを取ろうものなら、 17.Qxh7# で終わってしまう。てことで、このナイト跳ねにはじっと 17...g6 と受けておくのが大事。そこで白はルークをビショップ筋から避けるなど手を加えていけば良いであろう。と言っても黒の優勢がそう簡単にひっくり返るわけではないのだが。
さてもう一つの手についても見ていくことにしよう。
14...Bxf3(本譜進行)
手順前後な感じもするが、先にビショップでナイトを取る手もある。もし 15.Bxf3 ならばそこで 15...Nxd4 のフォークを決めようという算段である。
ただしこの場合は 16.Qd3 Nxf3+ 17.Qxf3 と進行するとついさっき上で見たような図に合流する。
こうなると評価としては既に述べたように、黒としては自己評価で百点満点を与えられるかどうか微妙な雰囲気の指し回しである。
ではこれら二つの手に対して、AIの評価はどうなっているのか?一つ目の手が最善手であるが、二つ目の手は相対評価としてポーン5分の1程度損しているようである。その差は個人的な考えとして、人間の思考の誤差範囲を超えるかどうか程度であると思う。そしてその評価の差の根源としては、上で述べてきたような展開の違いが影響しているのだと思う。特に後者の場合は一直線にここまで進む。白に指す手を迷わす上では、最善手の手で攻め立てるほうが良かったであろう。とはいえ、両方の狙いが見えていて、かつ盤面を優位に進める自信があるならば、どちらの手でも満足できる限り問題はないと思っている。それ以降の展開は対局者の好みなどに強く依存するであろうと思う。