環境と語の創造の関わりについて
【導入】
言葉は人類の大いなる発明の一つと言える
言語は意思伝達を可能とするツールとして機能するが、同時に我々の世界の捉え方に影響を与えることもある
たとえば、フランス語の「papillon(パピヨン)」は、「蝶」ないし「蛾」を意味する
これは、フランス語の思考において両者をあえて分けて捉えないことを同時に意味している
また、「肩こりに相当する単語がない英語圏では肩がこらない、あるいはそれを自覚できない」という言説がまことしやかに唱えられている(もっともこれは真実ではないようである)
一方で、雪に囲まれて暮らすイヌイットは、降雪や吹雪、積雪や水にするための雪などを全て異なる語で表現するという(日本語では「雪」という言葉の変形で表している)
この例からは、周囲の環境が言語のあり方を規定し得るということを推察できよう
さて、読者の皆さんはこの言葉をご存知だろうか
「おしりまる」
お尻の割れ目に着目し、その左右半分のお尻のことを指す言葉だ
「半ケツ」と言う言葉がお尻の北半球を指すのに対し、「おしりまる」は東半球と西半球を指す
もし、これを読んでいるあなたが「おしりまる」を知らないとしても、それは決して恥じることではない
なぜならば、この言葉は私と私の弟が開発した言葉だからだ
今回は、「おしりまる」が誕生した経緯を紹介しようと思う
【創造の端緒】
ことの発端は、父のお尻にできた大きなおできだ
さて、「お尻の右」という表現だが、これは果たして具体的にお尻のどの座標を指すのか
諸君はどのように考えたであろうか
お尻全体の右側、換言すれば、太腿とおしりの概念的な境界をイメージしただろうか
はたまた......
右半分にでかでかと居座るおできをイメージされただろうか
あるいは......
お尻の右側、それすなわちアヌスの右側にあらんやと、さながら痔の親戚のようなものをイメージされたであろうか
正解は.....
B.右半分にでかでかと居座るおできであった
アメリカ合衆国はミズーリ州と全く同じ位置と説明した方が通りがいいかもしれない
【日本語の抱える本質的欠陥とその解消】
さて、すでに見てもらった通り、「お尻の右」という表現は極めて曖昧である
「お尻」も「右」も抽象的な概念であるがために、このようなトラブルは避けることができない
そこで登場するのが
である
父のおできは、「右おしりまる中央」に鎮座していた
さぁどうだろうか
誰もが一発で正確にその位置を理解できたはずだ
私と弟は、この西海岸が沸くほどのイノベーションを引き起こし、日本語が抱えるその本質的問題(お尻周辺の語彙が極めて貧弱であるということ)を解消した
これからはみなさんも「おしりまる」を使って欲しい