「緊急生放送!最後までライバルズを楽しみつくそうSP」の企画意図と裏話
おはプレイド・ライゼスト✋ちゃんじろです!
ウェルプレイド・ライゼストという会社でeスポーツ大会や番組のディレクターをやっています。
去る7月5日(月)13:00に、僕が大好きなゲームの「ドラゴンクエストライバルズ エース」のサービスが終了しました。
その前日、7月4日(日)20:00から、RED ONEさんと弊社ウェルプレイド・ライゼストの共同企画という形で、「緊急生放送!最後までライバルズを楽しみつくそうSP」という番組を放送しました。
放送で募集した「#ありがとうライバルズ」のハッシュタグツイートはトレンド入りするほどの盛況でした。
YouTubeコメントも盛り上げてもらったり、ライバルズプレイヤーの皆さんが前のめりに放送に参加してくれたことによって、すごくいい放送になったと思います!
ライバルズの最後を笑える思い出にすることができて良かったな、と率直に思っています。
この記事では、生放送をやりたいと思ってから実現するまでの経緯や考えたことを、リアルにお伝えできればと思っています。
ライバルズがメチャクチャ好きだった方、放送を見ていただいた方、また自分で番組を企画したいと思っている方などにとって、何かしら持って帰るものがある記事になればと思います。
0.ちゃんじろとライバルズ
まず、僕とライバルズについてのかかわりについてお話しさせてください。
僕は2018年7月にウェルプレイドに入社し、その数か月後からディレクターとして「弟子育成バトル 勇者と魔王と2人の乙女」という公認配信番組の立上げ~運用を行いました。(2018年12月~2019年2月)
全6回の続きものかつ、バラエティ番組のような雰囲気を作るのがめちゃ大変で、とても苦労したのを覚えていますw
(ウェル子にインタビューしてもらった記事でも少し話しています)
ディレクターとしては未熟でしたが、とにかく「ライバルズに真剣に取り組む弟子2人を魅力的にみせる」ことができれば、番組は面白くなるし感動も生み出せるはず!と信じて突き進んでいました。
最終回の弟子対決は確かに感動が生まれていて、自分のキャリアの中でも思い出に残っているし、誇らしい企画です。
また、自社開催イベントの「ウェルプレイドフェス」において、「ギルド対抗3on3トーナメント」という大会を企画し実施しました。(2019年8月)
この頃は、それぞれのギルドに魅力的なコミュニティができていることを実感していたので、ギルドを絡めたチーム戦を企画しました。
「3on3同時対戦でチームメイトと相談アリ」というちょっと変わったルールにしましたが、オフラインと相性抜群で、参加プレイヤーの方々がとても楽しめるものになったのではないかと思っています。
(この大会企画意図は、以下の記事で赤裸々に語っています)
またウェルプレイドは、公式全国大会である勇者杯にもジャッジとして長く関わらせていただいて、僕個人は2018年冬以降のほぼすべての大会にも行っていました。
「ライバルズが好きで、その上で番組や大会を作ってきた人間」ということが伝わっていれば嬉しいです。
1.最後の番組 発案のきっかけ
きっかけは、言うまでもなくライバルズのサービス終了を知ったことになります。
このツイートを受けて、多くのライバルズプレイヤーは衝撃を受け、悲しみに暮れたと思います。それは僕も同じ。
「ライバルズとそのプレイヤーの皆さんに、僕が感謝を表現できることは何かないか?」という考えは割とすぐに持ちました。
しかし喪失感からか、なかなか動き出すことは出来ず、モヤモヤしたままそこそこ長い期間を過ごしてしまいました。
※これについては、僕が6月最終週に本番があるめちゃデカい案件の仕事が決まっていたことも大きかったです。本気で動けるのが1週間という、普通に考えたらムリゲーな状況だったので踏み出せずにいました。
そんな中で、僕は自分に訪れうる平行した2つの未来を想像しました。
ひとつは、自分が「何もしない」でそのままライバルズ終わる未来。
もうひとつは、自分が「何かやった」上で、ライバルズが終わる未来。
ひとつ目の「何もしない未来」が来た後に、パラレルワールドの「何かやった未来」に思いを馳せている自分をイメージしてみたら、「とてつもなく大きな後悔」が襲ってきました。
これまでライバルズに向き合ってきた自分の愛も嘘になってしまうような気がして...それには耐えられないと思いました。
そして「できる範囲になっちゃうかもしれないけど、絶対に何かはやる」ことを決めました。
この「何かやる」の最低限のラインとして、「対戦を含んだ生放送番組」であることも同時に決めました。
2.実現に向けた調整(座組づくり)
「生放送番組をやりたい!」と思っても、それを実現するには当然、現実的な課題をクリアしなければなりません。
まず、リソースの課題です。
事前に企画を詰めていくのにも時間と脳みそが必要だし、配信をする場所・機材・人なども必要です。1人ではできないので、チーム単位で進めていく必要があります。
真っ先に、一緒にライバルズを担当していたあざぜるに声をかけて仲間に入れました。でもまだ2名、ぜんぜん足りません...
そして当然、金銭面の課題もあります。
この生放送番組は、放送したからといって、どこかからお金が降ってくるわけではありません。つまり売上はゼロなのに、制作コストはかかります。数字だけ見れば当然ゴリゴリの赤字です。
「赤字なのに番組をやる」という意思決定をするには、赤字であることを超えた、会社としてのメリットが必要です。僕はそれを会社に提示する必要がありました。
大きなメリットとしては、ライバルズプレイヤー達の記憶に「ウェルプレイド・ライゼスト」という会社の名前が残ること。
この番組を放送した結果として、「ウェルプレイド・ライゼスト?ああ、ライバルズが終了するときに自主的に番組をやってた会社ね!ゲーム愛があってイケてるよね」
もしそんな風にプレイヤーの皆様が思ってくれるとしたら、それは価値になり得ます。
(とは言え、これは将来的に活きてくる可能性のある価値なので危うさもありますが)
ウェルプレイド・ライゼストは、ゲーマーに寄り添ってコミュニティを大切にする会社。3年以上向き合い続けたタイトルの最後に、全く愛を表現しないで終わるなんて、らしくない!
そんな思いを持ちつつ、代表のアカホシを説得しようとそれなりの準備をしたうえで話しかけたところ...秒速で「いいじゃん、やりなよ」と言ってくれました。
拍子抜けしつつも、僕の心情を汲んでくれて大変ありがたかったです。
さて、会社はGOサインを出してくれました。かと言って、赤字であることに変わりはないので、費用を最小限に抑える努力は当然し続けなくてはいけません。
機材・スタジオは必要だし、人を動かす必要もあるし。通常の案件番組と同じレベルでお金を使うことは決してできません。
でも、ちゃんとした放送にしたいし...これはなかなか難しい...
そんなとき、目の前に救世主が現れました。
RED ONEのやなけんさん(たぶん僕と同い年)。
RED ONEもウェルプレイド・ライゼスト同様に、ライバルズを愛し続けてきた会社。やなけんさんが僕と同じ気持ちでいることが、手に取るようにわかりました。
そしてやなけんさんに「共同企画って感じで2社合同でやりません?」と声をかけたら、「うちも何かやろうと思っていたんですよ!」と快くOKをいただきました。パズルのピースがハマった感覚でした。
2社のいいところを発揮しつつ、負担できる領域をうまく分担することにより、「これはマジで実現できそう!」という体制ができました。
3.番組に込めた思い(企画のタネ)
体制ができたので、次は企画を発案する段階です。急ピッチで進めていきます。
まずは、企画のコンセプトづくり。
RED ONEからやなけんさん、トシさん。ウェルプレイド・ライゼストからはあざぜると僕で会話を重ねていき、この放送で何を実現したいのかを固め、以下のようになりました。
①ライバルズへの感謝と、プレイヤー(コミュニティ)への感謝を表現する
②しんみり終わりたくない!バカ笑いして終わりたい
③ライバルズを失うことで路頭に迷うプレイヤーに区切りをつけてあげたい
④「サービス終了する」という状況を逆手(チャンス)と捉えて、普段ならやれないことをやりたい
まずは、素直に感謝があふれる放送にしたいということ。これは僕らの思いもそうですし、プレイヤーの皆さんがライバルズに対して感謝を表現できる場になればいいのではないかと思いました。
そういう場を「悲しみながら終わる」感じにはしたくないという気持ちがあり、笑えるバカみたいな企画を目指すことにしました。
また、7/5には多くのプレイヤーがライバルズロスに陥ることが目に見えていて、そういったプレイヤーの皆さんを次の何かに進むことを後押しできるような役割を持てるといいなと思いました。
最後に、サービスが終了してしまうという不可逆な状況を逆手にとって、いつもはやれないことができるのでは?と思いました。この状況を「ピンチはチャンス!」と言う感じで捉えられたら、唯一無二の面白いものが生まれるのではと思いました。
4.企画のブラッシュアップ
コンセプトが決まったら、企画を形にしていきます。これも急いで、上記のメンバーで詰めていきました。
①ライバルズへの感謝と、プレイヤー(コミュニティ)への感謝を表現する
ライバルズプレイヤー達が感謝を表現できる何か、ということでいろいろ案が上がりました。プレイヤーからビデオレターをもらおうとか、Zoomでリレーインタビューできないかとか...
その中で、より多くの数を紹介できるという点と、RED ONEさん側で実施実績があり確実性が高かったという点により、「ハッシュタグツイートの紹介」という形になりました。
放送中に多くのツイートを取り上げることで、番組というパッケージの中に、多くのプレイヤーを巻き込めることを期待していました。
③ライバルズを失うことで路頭に迷うプレイヤーに区切りをつけてあげたい
路頭に迷うプレイヤー = 熱量を失わずにプレイし続けているプレイヤー
と思い、まずその代表は誰か?を探しました。
ちょもすさんが雑談配信の中で「ぴかさんはライバルズのサービス終了が決まっても、一生ライバルズやってる」と話しているのを聴いて、これまでの実績を踏まえてもこの人しかいないと確信し、ぴかさんを軸にした対戦企画を考えることにしました。
ガチプレイヤーの本気の対戦を見ることで、みな清々しくライバルズの終わりを迎えられるのではないかという仮説の元、ちょもすさんとぴかさんの10先とかも考えました。これはさすがに重すぎるということでボツに。
放送の尺も2時間程度と考えていたので、3名とBO1をやるくらいがちょうどよいと言うことで、対戦相手を以下のように決定しました。
・それはさん(ぴかさんと並ぶくらいのライバルズゾンビなので)
・八九寺れーぷるさん(最後の勇者にして最強の相手なので)
・ちょもすさん(因縁の相手なので)
それはさんとれーぷるさん、遠隔と言う不便な中でご出演いただき本当にありがとうございました!待ち時間たくさんになってしまいすみません。
②しんみり終わりたくない!バカ笑いして終わりたい
④「サービス終了する」という状況を逆手(チャンス)と捉えて、普段ならやれないことをやりたい
ライバルズの歴史を振り返ることはやりたいなと思っていたので、最初は年表を作って振り返っていくみたいな王道パターンも考えていました。
...でもやっぱり、自主企画だし好きなだけふざけたいじゃないですか!
最後だからこそ言える本音とか、かしこまってない本当の姿みたいなものを表現できたら楽しいなと思って、みんなでふざけられる余地のある枠組を考えました。
そこで、勇者杯2021春の放送で出ていた、「クソカード」「エアプ」というパワーワードをお借りすることに。
「クソカード討論会」という枠組でカードやゲーム環境の歴史を振り返り、「エアプを見つける」という枠組で、ライバルズの歴史を反映したクイズをやれると面白いのではないかと言う結論となりました。
クソカード討論会の方は、豪華な出演者の実力に頼り切っちゃえば面白くなることは見えていたのですが、クイズは作るのが大変だぞ...となりました。
「これは僕にはムリ!専門家に助けてもらった方が絶対に良い!」と思い、ライフコッドの民のギルマスであるありゃさんに「ライバルズのクイズ作れる方知りませんか?」と無茶な相談。
すぐに「酒場杯で面白いクイズ大会やってる方いますよ!」とギガッシュさんを紹介していただき、企画の意図と僕らの思いを説明しつつ「番組のためにクイズを作ってください!」と無茶ぶり。ちなみに連絡したのは6/29(火)と、放送日の5日前。
ギガッシュさんも僕らの思いを汲んでくれ、すぐに快諾いただき2日ほどであのクオリティのクイズを作ってくれました。
思いに共鳴してくれる仲間がいて本当に嬉しくなりました。ありがとうございました!
5.企画タイトルの決定
企画の内容があらかた決まったところで、悩ましいのが企画タイトルです。
これに関しては僕も全然プロじゃないので、語れるわけではないのですが、やはり大切なのはファーストインプレッションで「見てみたい」と思ってもらえるか、ということだと思いました。
そして、全体の番組カラーである「しんみりじゃなくて笑える放送」「かしこまってない何でもアリな放送」ということをしっかり伝えられるか。
これらを考えたときに、やはり「クソカード」「エアプ」「ゾンビ」といった強いワードが含まれるのは必須だなと思い、各企画に入れ込む形としました。
結果的に企画タイトルは以下のようになりました。
■企画1
後世に語り継ぎたいクソカード討論会
■企画2
エアプ王を炙り出せ!ライバルズクイズ
■企画3
ライバルズゾンビ「ぴか」を供養!最後の真剣勝負
このような好評な反応もいくつかいただけて、嬉しかったです!
6.出演者の決定
企画同様に大切なのは、出演者をどうするか。
これはもうシンプルに、ライバルズプレイヤーにとっておなじみの方々を集めようということに。
ぴかさんとちょもすさんは対戦もあるし、クソカードも語れるので企画も面白くしてくれるということで、スタジオに呼びたい。
また、勇者杯初期からずーっと関わり続けてくれていた椿彩奈さんとMoksonさんは絶対に外せませんでした。
更に勇者杯での「僕は実はエアプ」発言もあったこと、クソカードも語れるということで企画にピッタリなふびらいさんにも声掛けすることにしました。
かなり急な企画ではあったので、半分ダメ元という思いで連絡していたのですが、皆さま快くお受けいただきました。出演者の皆さまのライバルズ愛をめちゃくちゃ感じました。本当にありがとうございました!!
※スタジオの空間の関係もあり、この人数で絞ることにしました。出来ることなら、もっとめちゃめちゃいろんな人呼びたかった...
7.放送を終えて
そんなこんなで、何とか放送を実施することができました。
ほんとに予想以上の参加と反響をいただき、めちゃくちゃ嬉しかったです。
YouTubeコメントの盛り上がりはこんな感じ。
10,000件超えてます。そしてどの時間帯もまんべんなくコメントをしてもらってます。
また、同時視聴者数はこんな感じ。
最大1,602名となりました。僕は正直、500~600名くらいいけば良いかなと思っていたので、想像を超えて多くの方に観ていただけました。基本的にずっと右肩上がりなのも嬉しいですね!
記事の冒頭でも触れましたが、「#ありがとうライバルズ」のハッシュタグもトレンド入り。iNSIDEさんにも記事にしていただきました。
ライバルズプレイヤーひとりひとりの感謝の積み重ねが大きな波になった感じがして、本当にやってよかったという充実感を感じています。
今回この番組を作って特に思ったことは、「本当の気持ちを噓なく発信することの大切さ」です。
各企画は我々スタッフが「面白そう」「やりたい」とちゃんと思ったもので、その思いに至るには、スタッフみんながライバルズを愛し向き合ってきた自負がありました。
ライバルズを好きな自分たちが、ちゃんと好きな気持ちを表に出しつつ、やりたいことをやれば、きっと視聴者の皆さんも面白いと思ってくれる!
それを信じ切ることができて、すごく清々しい気持ちです。
そしてもうひとつ思ったのは、「この企画をやることで僕も成仏できた」ということです。
平行する2つの未来で「何もしない」方を選んでいたら、恐らく今は死んでも死に切れないゾンビになっていたと思います。
ぴかさんや多くのライバルズプレイヤーが次に進むことを後押ししたい、とか考えていたけど、かなり自分のためにやっていたのだと思います。約7500文字も記事を書いちゃうくらいには、僕もゾンビ予備軍でした。
あと、ここまでに入れられなかった話をひとつ。
キービジュアルとか対戦するときの画面構成とかは、ウェルプレイド・ライゼストのデザイナーAkiがやってくれました。ありがとう。
彼も思いに共鳴してくれていました。ほんとは、もっともっとすごいものが作れるのですが、準備期間があまりにも短すぎて、彼の本領発揮できない形になってしまったのは後悔が残ります...
またこの先の仕事で、いいものを作ってもらえるように僕も頑張ります。
8.最後に
ライバルズは本当にいいゲームでした。
そんなライバルズを愛し向き合ってきたRED ONEさんと、弊社ウェルプレイド・ライゼストのことも、皆さんの記憶のどこかに入れていただいて、またいつか出会ったときに応援してもらえると、本当に幸せです。
そして、この番組に仲間として協力してくださった皆様、ご視聴いただいた皆様も本当にありがとうございます!
僕個人としても、もっともっといろんなゲームを愛して、ゲームの魅力、プレイヤーの魅力、コミュニティの魅力を伝えられるように、esportsディレクターとして頑張っていきます!僕個人の応援もよろしくお願いします。
それではまたお会いしましょう。おつプレイド・ライゼスト✋
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