ガイドの仕事-もう国立公園は信じられない
ここ数年、バンフ国立公園の政策には一切賛成出来ない。
そんな愚痴といいますか、国立公園で昔から営業をしているツアー会社の苦悩を今回は綴ります。
カナディアンロッキーの中には国立公園があり、その中で最も有名であり人気なのがバンフ国立公園である。
この国立公園には様々な規則が存在するものの、基本は世界自然遺産であるこの自然を守るということが前提になっている。
その点については理解をしている。
国立公園入場料
バンフ国立公園を含め国立公園に訪れる人については、その宿泊数に応じて国立公園の入場料を支払うことが義務付けられている。
しかしながら、その徴収方法に大きな偏りがある。
レンタカー等で入ってくる人については、国立公園の入場口にて支払いをするのですが、空港などからシャトルバスに乗ってやってくる人については、一切国立公園の入場料の支払いが発生していない。
国立公園事務所に問い合わせをすると、
「シャトルバスを運行する会社より適切な入場料の支払いを受けています。」
との回答が寄せられた。
そこで疑問に思ったので、追加の質問をしてみた。
シャトルバス会社は、片道幾らという料金設定をしており、シャトルに乗るお客様が、バンフ国立公園にて何泊するのかについては知る由もない。
そんな状況で、どの様に適正料金を徴収しているのでしょうか。
また、バス会社によっては、片道15ドルで利用できるものもあり、そこに1日の国立公園入場料である$9.35ドルが含まれているはずがないと考えられますがそれでも料金徴収が適切にされているのでしょうか。
という内容をおくったが、
「適切に徴収しています。」
との回答だった。
どの様にして?
そんな疑問がわいてくる。
何故、こんなことにこだわるのかというと、国立公園側は、旅行会社から顧客の人数に合わせて国立公園の入場料を徴取しているのに対し、シャトルバス会社については、価格破壊が起きている状況で、どの様に考えても顧客一人一人からの徴収はされていない不公平が生じているであろうという、明らかな疑問が生じているためである。
モレーンレイク交通規制に伴う弊害
2023年より、人気の湖であるモレーンレイクについて、一般車両の激増に伴い、営業用車両しか通行が出来なくなった。
その際に、ガイド会社は、お客様のその日の人数により、ミニバンから大型バン等、車両の大きさを変更するのが常になるのですが、11人乗り以上の大型バン以上の大きな車両しか通行を認めないという、一部の小さな企業に対するいじめともとれる制度を導入したのである。
営業用車両以外のレンタカー組はどうなるかというと。
国立公園がシャトルバスを運行することで解消するということだった。
しかしながら、シャトルバスのチケットが販売されると、最初の7日間で全ての期間の予約が埋まってしまう。
48時間前に直前販売をするも、5分で売り切れという状況。
圧倒的に、モレーンレイクへ行きたい人数と、シャトルバスとしての座席数との間に差があることが明確な状況となる。
需要と供給のバランスが崩れている状況下では、新規にシャトルバスを運行する会社が増えるのは当然で、この2年で30社以上が乱入する始末である。
それでの需要と供給のバランスは崩れたままであることから、ぼったくり企業まで出てきてしまっているのも事実。
2025年、そのぼったくり企業をなくすことを目的として、営業用車両に対し、通行料を徴取するという規則が盛り込まれた。
モレーンレイクへ行くツアーに際し、45ドル以上の料金設定をしている会社については、170ドルの通行料、45ドル未満の会社については、50ドルという通行料になるのだとか。
モレーンレイクへのシャトルバス会社に限定してくれればいいのだが、そういうことにはならない。
ロッキーの1日観光の中でモレーンレイクへ行くツアーに関しても、45ドルを境に通行料が発生するというものである。
モレーンレイクにだけ行くわけではない会社からすると、当然45ドル以上の料金設定となっているため、高い通行料の支払い義務が出て来る。
そこで国立公園に対し抗議を行った。
例えば10時間の1日観光で、200ドルをお客様から頂いている場合、モレーンレイクの滞在時間は約1時間と計算すると、モレーンレイクに行くためにお客様から頂いている料金は20ドル程度。つまり45ドル未満になるという計算での通行料徴取方式を導入して欲しい。
シャトルバスのぼったくり企業撲滅が目的であれば、シャトルバス会社とは異なるツアー会社、ガイド会社については、単なる販売金額ではない計算方法の取り入れをお願いした。
しかし、答えはNO。
元々、モレーンレイクへのシャトルバスが足りない事から、新規参入のシャトル会社が激増し、ぼったくり企業が増えたのだから、シャトルバスの運行本数を増やすことを行えば良いだけなのに、無策の国立公園はそのつけをツアー会社やガイド会社に回そうとしているのが見て取れる。
恐らく数年のうちに小さな旅行会社、ガイド会社はモレーンレイクには行けなくなるでしょうね。
元々の政策を忘れている。
元々、増えすぎた一般車両の台数を減らすことを目的として始まったモレーンレイクへの交通規制。
もし、一般車両を減らしたいのであれば、空港からのシャトルバス利用と、現地でのツアー会社利用を促す方法が必要と考えるのが最もだろうと思う。
しかし、面白いことに国立公園側は、一般車両に対し、国立公園入場料を徴取していないのである。
車両に載っている人数に合わせて国立公園入場料は徴取しているものの、車両に関しては支払いが発生していない。
宿泊者には1泊幾らという国立公園入場料を宿泊費に含めること。
車両1台につい1日幾らという車両入場料を設定すること。
この2つを導入することで、国立公園入場料の徴収漏れと、一般車両の削減につながると思われるのですが、一般の人よりも企業からの徴収が簡単であると考える国立公園。ツアー会社やガイド会社からの徴収ばかりに規則変更をしている。
ここ数年は偏った政策と、無策により、国立公園の自然が破壊されていることについては目もくれていない。
かつてはツアー会社のツアーに参加して、ロッキーを巡るのが一般的であった。
その為ツアーガイドは国立公園の規則をツアー開始直後にお客様に説明をする。
代表的な例を挙げると。
野生動物にエサを上げない。
自然の中にゴミを捨てない。
自然物を持ち出さない。
ハイキングトレイルから外れない。
ドローンを飛ばさない。
しかし、レンタカーで回る人があまりにも増えたため、これらの自然を守るための規則を守ってない人が年々増えている。
当たり前にエサを与え、当たり前に写真映えの為にトレイルを外れて写真を撮る。
これまで、ツアー会社やガイド会社は、国立公園のこれらの規則をお客様に伝えることで、不足している国立公園の人員の役割も果たして来た一面もある。
規則を守っていない人に注意をし、規則を知ってもらう活動さえもガイドとしておこなって来た。
しかし、最近の国立公園は、そんなツアー会社、ガイド会社のビジネスが成り立たない方向へと舵を切り、新規参入の国立公園の規則さも理解してないシャトル企業を優遇する政策ともとれる動きを見せている。
間もなくトルドーが辞任するのと噂も耳にするが、トルドー政権によって国立公園までもが本来あるべき姿を失おうとしていることに憤りを感じる。
こんな姿はカナダでは無いと感じる。