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【第3回】DMPの仕組みを理解して、広告代理店からの提案内容を読み解こう。(入門者向け無料教材)

この記事の対象者
下記のような課題をお持ちの新任マーケターの方向けにデジタルマーケティングの基礎知識を学べる教材を制作しています。確認問題もご用意しているのでぜひ自己学習にご活用ください。

広告代理店との打ち合わせで会話についていけない
● 広告クリエイティブや運用のフィードバックの観点がわからない
● なぜ成功・失敗したのか上司に説明できない

今回の記事のゴール

DMPによるターゲティング配信の仕組みを大枠で理解し、広告代理店からの提案を採用するかどうか検討することができるようになる。

ストーリー

出島太郎が一人前のデジタルマーケターとして成長する過程をストーリーにしています。実際のビジネスシーンをイメージしながら基礎知識を一緒に身につけていきましょう!

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出島 太郎(でじま たろう):

出島

都内のIT企業に勤務する26歳の会社員。営業マンとして3年間勤務後、マーケティング部門へ異動。趣味はスマホゲーム。


宇利上 造郎(うりあげ つくろう):

宇利上課長

出島の上司。元広告代理店営業マン。現在は同社のマーケティング部門の課長。売上アップに対しての気合が凄い。趣味は競馬。


電博 敦子(でんぱく あつこ):

電博

出島の会社を担当する広告代理店「博王堂デジタル」の社員。バリキャリ女子で成績優秀。趣味旅行、ファッション、映画。

――――――――――――――――――――――――――――――――――

宇利上課長:「出島、今週金曜に博王堂デジタルの電博さんが新しい広告メニューの提案に来たいそうだ。お前、話を聞いておいてもらえないか?」
出島:「え、あ、はい。。(ひえ~一人で参加するのかぁ。話についていけるかな。。大好きな電博さんの前じゃあ、かっこ悪い所見せられないしな。)」

(金曜日)

電博:「あら、出島さん。今日はお一人ですか?」
出島:「はい!宇利上課長の都合が悪く、お話を伺うように申し付かりました!」
電博 :「そうでしたか。それでは、よろしくお願いいたします。早速ですが、本日お持ちしたのは、DMPの”TargetONE”を活用したSNS広告でのターゲティング配信のご提案です。この”TargetONE”は、約3億ものユニークブラウザIDと約1億のアプリ広告IDを保有する国内最大級のDMPです。Target ONEで収集したデータをもとに、様々なターゲットセグメントを作成してセグメントのデモグラフィック情報や流入キーワードと掛け合わせた分析を行うことが可能で・・・」
出島:「(うおー待って待って!何ができるのかさっぱりわからん!汗汗汗) 」
電博 :「出島さん、大丈夫ですか?・・・」
出島:「は、はい!た、たいへん興味深いご提案でしたので、早速、宇利上課長に実施に向けて、そ、相談したいと思います!」
電博 :「本当ですか!?ありがとうございます♪」
出島:(ふう・・とりあえず恥をかかずになんとかのりきったぜ)

(打ち合わせ終了後・・・)

宇利上課長:「おう、出島。打ち合わせどうだった?何かいい提案がもらえたか?」
出島:「はい!国内最大級のDHC・・じゃなかったDMPで多彩なセグメントでターティング配信ができるとのことで、ぜひ試してみたいと思います!」
宇利上課長:「そうか。ちなみに具体的にどういうセグメントができるんだ?」
出島:「え、あの、その、なんでもたくさんのデータを保有しているそうで。そうだ、1億、いや3億持っているそうです!」
宇利上課長:「ん~それでは、やるかどうかの判断はできんな。具体的にどういうセグメントができるかわからないと、今すでにやっている配信よりもターゲティング精度が高いかわからないじゃないか。」
出島:「はい。。」

ケーススタディ

下の図1は、電博さんが提案してくれた提案資料のスライドです。提案内容を採用するか否かを検討できるようになるために以下の点を抑えてみていきましょう。

専門用語の意味を理解する。
提案の 何がメリットか(広告メニューの特性・優位性は何か)を抑える。

図1:電博さんの提案資料
※登場する固有名詞は架空のものです。

第2回_代理店提案資料

ここがポイント

DMP(Data Management Platform)
DMPとは、インターネット上に蓄積された様々なデータを管理するためのプラットフォームです。DMPを活用することで、自社で取得した購入履歴などの顧客データやウェブサイトでの行動履歴などの様々な情報を統合してセグメントできます。それにより、購入直前に離脱したユーザーにリターゲティング配信をしたり、購入履歴のあるユーザーへメール配信をして再購入を促したりと、ユーザーそれぞれに合った個別最適化したマーケティングが可能になります。
3rd party data
DMPでは、次の大きく3つのデータが存在します。
1st party data:企業が顧客やwebサイト訪問者に関して収集・保有している自社データ
2nd party data:「他社の1st party data」のことで、特定の企業から得ることができる外部データ。
3rd party data:自社データやパートナーデータ以外の、データ収集を目的とした企業が持つ多種多様な外部データ
ID(Identification)
ユーザーを識別するための数字やアルファベットで構成された符号です。この資料の中には、「ユニークブラウザI D」と「アプリ広告I D」の2種類のI Dが登場しています。IDは様々なところで発行されます。ブラウザIDは、ウェブページを訪問した際に付与される(※)Cookieデータです。アプリ広告IDは、アプリのダウンロードの際にユーザーに付与される広告識別子で、iOSの端末に振られる「IDFA(Identifier For Advertising)」とAndroidOSの端末に振られる「AAID(Google Advertising ID)」などがあります。これらのIDによりユーザーの行動履歴などをデータとして蓄積することができます。
(※)Cookie(クッキー)とは、閲覧したWebブラウザからPCの中に保存される情報のこと。ユーザーがウェブ上で行う行動を補助し、利便性を高めることに活用されています。代表的な例が、一度ログインしたサイトに再訪問するとIDとパスワードが保存されているケースです。これはCookieによるものです。
MAU(monthly active users)
月あたりのアクティブユーザー数を示します。一般には過去半年以内にログインしたり利用したりしたユーザーを示すことが多いです。同様に、1日あたりのアクティブユーザー数を示す指標として「DAU(Daily Active Users)」が使われることもあります。

考えよう(確認問題)

以下の問いについて考え、DMPの仕組みや提案の要点を理解しているか確認しましょう。

(問1)DMPのデータはどのように連携されて、SNSのターゲティング広告に活用されるか、その仕組みを説明しましょう。
(問2)図1の提案内容の検討に値すべき魅力的な点は何でしょう?また、導入を検討するにあたり、あなたならどのような情報の提供を電博さんに依頼しますか?出島さんになったつもりで考えてみましょう。

解答例

(問1)DMPで、ユーザーの訪問サイト、購入商品、検索キーワードなどの履歴情報をもとに興味関心などのセグメントを作ります。DMPのID(CookieやIDFAなど)とSNSの保有するIDを紐づけてユーザーを特定し、ターゲティング広告を配信します。

<ポイント>
①ユーザーの行動履歴をもとにセグメントを作る。
②IDでユーザーを紐づける。
③ターゲティングして配信する。

(問2)提案のポイントは、「多様なセグメントが可能なDMPを活用し、国内最大のMAUを誇るSNSのユーザーを対象に広告配信ができる」という点です。つまり高い精度のターゲティングで、多くの潜在ユーザーと接触できることにあります。ポイントは、自社の商材のターゲットに対して、ターゲティングの精度がどこまで高められるか?にあります。そのため、出島さんが取るべき次のステップは、ターゲットとなるユーザー像を電博さんに伝え、それをもとに具体的なセグメントの提案をもらうことだと考えられます。その情報を持って宇利上課長に相談すれば、課長も意思決定しやすくなるでしょう。

<ポイント>
①DMPを使うことで高い精度でターゲティングできる期待がある
②多くのユーザーと接触可能なSNSでの配信である
③ターゲット像をもとに具体的なセグメントの提案を依頼する

エピローグ

出島:「課長。先日、電博さんから提案をもらった広告メニューの件ですが、具体的に自社商品のターゲット像をもとにセグメント案を作成してもらいました。
宇利上課長:「どれどれ。ふむ、なかなか良さそうじゃないか。よし、来月から早速トライしてみようじゃないか!」
出島:「ありがとうございます!(やったあ、これで電博さんとまた仕事ができるぞ♪)」

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