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道路中心線には何が入っている?(図解)

こんにちは
今回は現在、コンサベーションGISコンソーシアムジャパンホームページ提供コンテンツで、近年一番問い合わせの多い、道路中心線2020データの属性について紹介します。
文字の説明だけではわかりにくいので、ここでは地図で示しています。


道路中心線2020データの元となるデータ

道路中心線2020データは地理院地図Vector(仮称)提供実験のデータを元に、都府県、北海道は総合振興局、振興局単位のGISデータファイルとして、オフラインのGISでも使いやすいように編集・調整したものです。
データは定期的に更新されており、現在は2022/4/1のデータになっていますが、あいにく、そこまで定期的にフォローできるリソースが当方にないため、現在は主に2020/3/19に公開された初期の2020/1/1版のデータとしています。ただ北海道釧路総合振興局は作成時に一部抜けを生じさせてしまったため2021/1/1のデータを使って提供しています。
それ以前に、「国土地理院ベクトルタイル提供実験(地図情報(道路中心線))」として提供されていたものも扱っていましたが、これは道路中心線2006データと改称し提供しています。
この地理院地図Vector(仮称)提供実験には地形図に載っているすべてのデータが含まれます。前回とりあげた地図の注記(地名)などもその1つです。
道路中心線2020データではそのうち道路中心線に該当する以下のもののみをとりあげています。

  • zoom level=14-16,17

  • source-layer=road

  • ftCode=2200,2400,2700番台

参照した道路属性を持つデータ 地理院地図Vector(仮称)提供実験より一部抜粋

道路中心線2020GISの属性としては以下のものを含めて提供しています。GISフィールド幅の文字数制限で一部オリジナルとは変えています。データの詳細はリンク先も参照ください。

  • orgGILvl: 出典地理情報レベル

  • ftCode: 地物種別コード(2023/9/19追記 通常用いる道路中心線は2701-2704に多い。ftcodeによって以下の属性の意味する内容が変わります。ご注意ください。

  • rdCtg: 道路分類

  • lvOrder: 道路の階層順

  • rnkWidth: 幅員区分

  • tollSect: 有料区分

  • medSect: 分離帯区分

  • motorWay: 自動車専用道路区分

  • Width: 道路の実幅員

属性のオリジナルについては、地理院地図Vector(仮称)提供実験ページにある属性等の仕様詳細(pdf、excel、wordで紹介)も御覧ください。ftCodeについては「地物コード及び表示ズームレベル一覧」に、それ以外は、「地物等の属性一覧」に記載があります。

道路中心線2020データの属性を図で説明

東京都の大橋JCT付近、八王子IC付近の地図を例にして示します。
必ずしも同じ種類の属性が全てその地図内に含まれているわけではないので、その点ご注意ください。
なお、地図はすべてArcGIS PROで作成しています。
地名などについては同じくコンサベーションGISコンソーシアムジャパンホームページ提供コンテンツの地図注記を使っています。

orgGILvl: 出典地理情報レベル

縮尺の分母で500、1000、2500、5000、10000、25000で元としている図面の縮尺の分母を示しています。2500と25000が多く、郊外になると25000が多くなります。

orgGILvl: 出典地理情報レベル 大橋JCT付近
orgGILvl: 出典地理情報レベル 八王子IC付近

ftCode: 地物種別コード

道路通常部、道路庭園部、道路徒歩道、道路石段、トンネル内道路があり、細分として通常部、雪覆い、橋・高架などがあります。下の図では2701の道路の通常部、2703の橋・高架、2704のトンネル、2711の庭園部の道路が目立ちます。中程で2702(水色で表記)となっている理由は不明です。有名なぐるぐる回る道路の部分ですが。

(2023/9/19補足)道路中心線としてこのデータを使う場合には主にこの2701から2704(zoom level 14~16)をお使いください。zoom level 17のデータでも、ftcode2201など似たような名前のデータですが、これは主に道路縁のデータとなっています。以下のコードの掲載内容はこのftcodeによって変わりますので、ご注意ください。最適化ベクトル試験公開データでははじめから、道路中心線と道路縁、道路構成線が別データになっていますのでわかりやすくなっています。

ftCode:地物種別コード 大橋JCT付近
ftCode:地物種別コード 八王子IC付近

rdCtg: 道路分類

0:国道、1:都道府県等、2:市区町村道、3:高速自動車国道等、5:その他、6:不明、で道路分類を示します。下の地図では0から3までが使われています。
注)国道とあっても、データ属性として国道番号、国道名(何号線であるか)の情報は含んでいませんので、ご注意ください。

rdCtg:道路分類 大橋JCT付近
rdCtg:道路分類 八王子IC付近

lvOrder: 道路の階層順

これは読んで字のとおりです。ほぼどこでも0ですが、高架などで1以上になります。

lvOrder: 道路の階層順 竹橋JCT付近
lvOrder: 道路の階層順 八王子IC付近

rnkWidth: 幅員区分

0:3m未満、1:3m-5.5m未満、2:5.5m-13m未満、3:13m-19.5m未満、4:19.5m以上、5:その他、6:不明、で道路の幅員区分を示します。ある線分ごとの値なので、ずっとその幅であるわけではありません。

rnkWidth: 幅員区分 竹橋JCT付近
rnkWidth: 幅員区分 八王子IC付近

tollSect: 有料区分

0:無料、1:有料、2:暫定無料、9:不明、で道路の有料区分を示します。

tollSect: 有料区分 竹橋JCT付近
tollSect: 有料区分 八王子IC付近

medSect: 分離帯区分

0:無し、1~98:分離帯幅(m)、99:幅員急変等非表示、で道路の分離帯区分を示します。

medSect: 分離帯区分 竹橋JCT付近
medSect: 分離帯区分 八王子IC付近

motorway: 自動車専用道路区分

0:高速道路以外、1:高速道路、9:不明、で自動車専用道路の区分を示します。

motorway: 自動車専用道路区分 竹橋JCT付近
motorway: 自動車専用道路区分 八王子IC付近

Width: 道路の実幅員

道路の幅員区分と類似していますが、道路の実幅員です。料金所の近くなどで大きな数字になります。これもある線分ごとの値なので、ずっとその幅であるわけではありません。

Width: 道路の実幅員 竹橋JCT付近
Width: 道路の実幅員 八王子IC付近

使用上の注意

いかがでしたでしょうか?
国道番号、国道名などの情報はないと書きましたが、他にも、あくまで道路中心線であって、道路台帳などの詳細な情報や、交通規制情報、道路交通量情報はこの情報にはありません。また高速の入り口の他、元々のデータのタイルの切れ目などで不連続になっている場合があるので、そちらもご注意ください。
データ作成時には、上記の属性がすべて同じものを、結合する処理(専門用語でディゾルブといいます)をして、データ量を減らす処理をしています。その点で元のデータとは異なっている場合があるのでご注意ください。

用途は?

背景図として使うのは勿論、道路維持管理、都市計画、運輸にかかわる業務、研究に従事されている方々には有効なデータだと思われます。一方、道路騒音など生活環境に関係する分野でもベースマップとして有効かと思われます。
その他、環境保全分野で属性をすべてを使い分けるということは少ないと思われますが、地域の環境概要(道路密度、総延長などに変換する必要はあるかもしれませんが)を見たり、道路と野生動物のコンフリクトを把握したりする上で、この手の人工物データの活用は非常に有効だと思われます。
林道、登山道なども一部入っていますので、(通行可能かどうかに注意は必要ですが)、その点での使い方もあるかもしれません。
もし他にもこんな使い方がありそう、というものがあればコメントなどをお寄せいただけると幸いです。

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