LANDSAT衛星は札幌から東京まで2分で飛ぶ
このnoteで度々取り上げているLegend的地球観測衛星のLANDSAT
画像を見る機会は多いと思いますが、じゃあどんな軌道を描いているのかって、余り知られてないと思います。
今回はそれを簡単に見られるサイトを紹介します。
衛星軌道データベースでLANDSAT9号の軌道を見る
Search Satellite Database (n2yo.com)では、人工衛星が、どこをどのように飛んでいるかの情報を見ることができます。
広告表示や、自分のプロバイダのIPアドレスや位置情報も表示されるので、ご注意下さい。)
右上の検索ボックスに、衛星のキーワードを入れて検索すれば、素早く欲しい情報にたどり着けます。例えばここにlandasatといれてみます。
既に運用の終わった衛星も含めて、情報が出てきます。(6号機は打ち上げに失敗しているので出てきません)。ここではLADNSAT 9を選んでTRACK ITをクリックしてみます。
右上に衛星情報の諸元が載っていますがそのいくつか解説します。
なおその瞬時の実測値ではなく10日間予測値を示しているものになります。
時刻 2022/9/3 2:11:47(UTC、協定世界時)の情報です。日本はUTC+9なので、ローカルタイムとして11:11:47が見えています。
衛星位置 衛星マークで地図に図示 この例ではインドネシア上空南に移動中。なお地図の明るいところが昼、両側の暗いところが夜です。
その時点の衛星の諸元の予測値(右上の赤枠)。
NORAD ID 衛星カタログ番号で固有の番号(LANDSAT 9は49260)
衛星位置情報 南緯9度 東経119度 高度707km
衛星進行速度 7.5km/s(一定)
衛星周期 99分(一定)
LANDSAT衛星は、昼間は北から南に(南行軌道、Descending)移動し、夜間はその逆で南から北(北行軌道、Ascending)に移動します。
余り意味のある比較ではないですが、進行速度7.5km/sを時速に直すと、27,000km/hとなります。新幹線はやぶさ(300km/h)の90倍、ボーイング787の巡航速度(マッハ0.85=1,050km/h)の26倍となります。
farearth OBSERVERでLANDSAT9号の速度を体感する
地球の全体図(昼と夜も表示)といくつかの衛星の軌道が表示されます。
地球が球でなく平面で表示されているため、わかりにくい部分もありますが、例えば、右下にいるLANDSAT9号は、この後、南下して、南極を通り、南米から北米に向かって北上する軌道を通ることになります。
地球は自転しているので、この軌道は少しづつずれていきます。それを見ているだけでも結構面白いです。
白字で示されているULKとかDKIですが、これは受診局です。
日本の周りを観たいときはULK(韓国蔚山、National Disaster Management Institute (NDMI))を探すと良いです。
なお、白円は衛星が見ている範囲ではなく、衛星情報を受信できる範囲です。どこの受信局を見るかはこれを参考にします。
LANDSAT9号の回帰日数(同じ軌道を通る周期)は16日であり、また最近のように天候が悪い状況が続くとせっかく上空を通過しても、何も見えないことが多いのですが、多少アーカイブは残してくれています。
なお日中に上空を通るのは南行軌道のみで、日本を通る時間は10時の前後になりますので注意して下さい。
日本上空を見たい場合は、右のRECORDINGSから次のように探します。
LANDSAT9、ULK、Asiaのキーワードを探す
日本通過は日本の10時頃、UTCでは1時頃になるのでその時間を探す
晴れている日を選ぶ(晴れていない日もデータを取得していますが、雲しか見えませんので、大事です)
この例では02 Sep 2022 Europe, Asia 01:12:03 UTC LANDSAT 9 OLI ULKを選びました。このnote執筆の1日前になります。(ただ最近の日本の周りは天気の悪い日が多いので、あまりいいサンプルではないです。今度秋晴れの日などにもう1度見てみたいとは思います。)
こんな感じで画像が見れます。時刻は日本時間で10:13:39です。
実際には動画で見られるのですが、止めてみることもできます。色の表示も4つほど選べるようです。True colorでいいと思います。
True color
Vegetation analysis
Colour infrared
Healthy Vegetation
札幌付近まで南下しました。先程から38秒後の画像です。
人口も表示されているようですが、市の人口ではなくて札幌都市圏の人口に近いようです。正確なところは不明です。
北海道はまだ晴れているところもありますね。
函館通過は01:14:30(UTC)で、北海道に着いてから51秒経っています。
仙台通過は01:15:29(UTC)で、最初の画像から110秒後です。ほぼ雲です。
東京まで来ました。何も見えません。伊豆諸島まで南下すると見える島もあるのですが。
東京通過は01:16:17(UTC、日本時間で朝10:16:17)で、最初の画像から158秒後、札幌の画像からは120秒後になります。
札幌ー東京間を2分で飛んできていることになります。
人間の感覚と比較したら可笑しいですが、流石に速いですね。
乗れないし、降りられないですが。
追記)
東京ー仙台間の新幹線の営業キロは325.4km
最速のはやぶさはそこを1時間半で結びます。
LANDSATはそこを48秒で飛んでいることになります。
まとめ
衛星の軌道情報は、専門家を除けばあまり話題になることもないですが、災害に備え、次の衛星の周回のタイミング、別の衛星でその場所を見ることのできるタイミング、を知っておくことは実はかなり大事です。
毎日同じ場所を飛ぶわけではないですが、飛んできたときは、なにせあっという間に飛んできてしまいますので。
一般に衛星と言えば、気象衛星、通信衛星、GPS衛星が知られていると思いますが、このような衛星(地球観測衛星と言われます)もあることを知っていただけると幸いです。
ここまでご覧いただきありがとうございました。
いつもは北海道に本拠地を置くNPOで、環境保全を主な題材としてGISやリモセンに関する仕事をしています。
コンサベーションGISコンソーシアムジャパン の活動もその1つです。
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おまけ
気象衛星ひまわりについても検索できます。地球に対して相対的に静止していますので、あまり面白くはないのですが。
常に赤道上空にいる、高度が35,800km程度と圧倒的に高い、速度が遅い(地球に対して相対的に静止している)ことなどがわかります。
starlinkも検索してみました。これで一部ですが、とてつもない数ですね。