ずっと謝りたかったことがある
もう一度、35年前に戻れるならやり直したいことがある。
私は、猫も犬も大好き!
昔、犬も大切な家族だった。
その愛犬ドンにまた会えることがあるなら1万時間くらい謝りたい。いや、1万時間でも足りない。
私たちは、誰かが置いていったドンをそのまま家族として迎え入れた。
当時は、犬も外で飼っている家が多かった。
地方だったので尚更かもしれない。
私は、外で飼うのが当たり前だと信じて疑わなかった。小さな犬を家の中で飼っている人も稀にいたがその頃はまだ珍しかった。
そして、犬好きの人からは、非難の声が上がりそうだけど、散歩を毎日しないといけないことすら知らなかった。だから行ける時にたまに行っていた。
ドンは、ふさふさの毛でとても大きな犬だった。チャウチャウ犬と秋田犬を合体したような優しい目をした雑種だった。
何度か首輪をすり抜けて一人でお散歩してしまったこともあり、父が必要以上に重い鎖をつけていた。
今でもその重い鎖の音を思い出して涙が出そうになる。
散歩に行く時に飛び跳ねて喜ぶドン。
散歩に慣れていないからぐいぐい引っ張られたのを思い出す。たまにしか行けないから嬉しくて嬉しくて、走りたくて仕方なかったんだよね。
寒い日も暑い日も外の小屋で、それが当たり前だと思って過ごすドン。
近所の野良犬が遊びに来た時にドンは自分のご飯を怒らずに分けてあげていた。
とにかく優しい素晴らしい犬だった。
きっとこの酷い家族のことを恨みもせず運命を受け入れてくれていたのだと思う。
12年間、私たちの家族で居てくれたドン。
私は、あなたのことを思う時に申し訳ない気持ちで今でも涙が止まらない。
無知がゆえにドンに辛い思いを沢山させてしまった。
ドンが天国に旅立って、私が地方を離れた。犬は、家の中で飼っている人を多く見るようになった頃、散歩も1日2回くらい行くのが常識と知った時は、愕然とした。
動物だから発情期などもあったと思うのにそれすらよくわかっていなかった。その頃は、野良犬も歩いていた時代。でも去勢手術をしたほうがいいことは、今ではよくわかっているが当時は重要な事とは知らなかった。
インターネットがある時代なら犬の飼い方などを調べていたかもしれないけど、無知のまま飼ってしまったことに一生後悔しそうだった。
あなたを越える犬にはもう絶対出会えないし、私たちは、家族になる資格がないと思った。
12年の人生(犬生?)を終えた時にどれだけドンが大好きだったのかを改めて知った。
その頃ペットロスという言葉は、一般的ではなかったけど、1週間は、泣き明かしたのを覚えている。食事も食べる気がしなかった。そんな経験は初めてだった。
人生が終わるときに「一番に謝りたいのは誰?」と神様に聴かれたら迷わず「ドン」と答える。
こうやって文章にしたらドンに届くんじゃないかという思いもあり、書いてみた。
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そんな中で、1つだけ救いとなったことがあった。
目に見えない世界には興味がない方は、ここは、スルーして頂いて構わない。
スピリチュアルのμ先生(仮名)に会った時のことだった。
「あなたの車にいつもふわふわの毛の大きなかわいい犬が乗っていますよ」と。
特徴を聴いたらまさに「ドン」だった。インディアンの前世の時にも出逢っていたみたいですねとも言われた。
ドンへの懺悔の気持ちをμ先生に伝えると「ドンちゃんは、気にしなくて大丈夫、大切にしてもらったよと言ってますよ。みんなと家族になれてよかったと伝えてきています。今は、あなたが交通事故に遭わないように車に一緒に乗って守ってるんだと言ってますよ」と言われた。
目に見えないことなので信じられない人もいると思うが、私は、信じる派。
これを聞いて、涙腺が大崩壊してしまった。ずっと長い間、後悔していて、ドンがいないのに、どこに向けて謝ればいいのかも分からなかった。
その話を聞いてからは、車に乗るたびにドンに話しかけた。
ごめんねも数えきれないほど伝えた。
ドンが誰かを恨むような犬ではないことはわかっているけど、それでも私の気がすまなかった。
酷い家族だった私のことを天国に行った後も傍にいて見守ってくれていたなんて、愛の深さに恐れ入った。
大きすぎる愛を前にその中に私が包まれてもいいのか?と言う遠慮もまだあった。
動物は、特別な言葉がなくても彼らの一日一日、人生をかけて、私にいつも教えてくれていた。
猫にも多くのことを常に学んでいるが、ドンからも人生の中の大切なことを山ほど学んだ。
彼らは、愚痴も不満も何も言わずにただひたすら「今」を生きている。
体が辛いことも自然のこととして受け入れている姿・・・。
じたばたしてしまう私たち人間からみたら、スケールが違う。
35年前に戻れるならドンと一緒に家の中で沢山の時間を過ごし、お散歩にも2回一緒に行きたい。外にはドッグランも作ってあげたい。身体にいい美味しいものを食べさせてあげたい。あの大きな体に手を回し、長めの毛に顔をうずめて抱きしめたい。
ドンに届け!
ドン、ごめんね。
ドンに会えてよかった。ありがとう。