関西から関東に移り住んでみて
昨日の雨の中のことだった。訪問先のお宅前の団地の中で傘も持たず、ずぶ濡れになって杖をついている70歳前後の男性を見かけた。杖の反対側の手に握られた携帯電話も雨に濡れていた。
知らない人だけど、ずぶ濡れすぎて、思わず声を掛けた。
「沢山、濡れちゃってるけど大丈夫ですか?」
その男の人は、知らない私が話しかけたことについて驚く様子もなく「おー、そこのバス停まで行くだけだから」と。
私は、自転車だったので着ているポンチョしかなかった。せめてビニールでもないかと探したけど何もない。
しつこい私は、「傘は⁉︎」とその人についていく。
「傘、壊れちゃったんだよねー。大丈夫だよ、すぐだから」
「そう?じゃ、気をつけて」
「おー、ありがとう」と杖を軽くあげて、ヒョコヒョコと歩きながら雨の中に消えて行った。
……
たったこれだけの数分にも満たない会話。
これこれ!なんだか懐かしい感じがした。
私は、関西の血も半分流れている。
ハーフだ。国内産の。
関西でも長く暮らした。
お節介の血も脈々と流れている。
久々にその会話が軽くできたのが嬉しかった。
関東でも大丈夫なのかと。
私は、誰でも彼でも話しかけてしまうので以前、職場の人に驚かれた。
でも、言っとくけど、関西だとこれはごく普通だ。
私なんてまだまだ諸先輩方からみたら引っ込み思案な部類だと思う。
レジに並んでいてもおばちゃんは、私のカゴの中をじーっと見て「それどこでこうたん(買ったの)?」って普通に話しかけてくる。あった場所を教えると
「ほな、見てくるからこのカゴ見といてや」となる。
関東の人たちにこんな話をすると、そういうのが嫌という人もいる。
電車の中で1回、咳をしただけで、お約束のように隣のおばちゃんのカバンからは飴ちゃんが登場する。飴ちゃん専用の巾着とかも持っていたりする。
コストコの試食コーナーで違いは歴然だった。
関西のプルコギの試食コーナーは、長い列ができていて、何回も並ぶ人だっている。何回並ぶねんとつっこみたくなる。
関東は、殆どいない。江戸っ子に聞いてみたことがある。なんで試食をしないのかを。何人かにきいた。
みんな同じ答えだった。
「だって食べたら買わなきゃいけないから」と。
えー?関西人は、そんなことはまず考えない(笑)
きっとお店の人だって、思わないはず。
お店の人たちも関西では値切られるのが当たり前で慣れている。関東のお店屋さんは、免疫がない。試しに1回電気屋さんで値切ってみた。店員さんは、神妙な表情になった。「すみません。値切った私がはしたない人間でした」という空気になり、言ったことを後悔した。
値切った話を知人にしたら、あり得ない!と言われ、ちょっと引かれた。もうなるべく値切らないと心に決めた。なるべくね。
関西の後にやって来た関東は、偏見かもしれないけどどこかクールな感じがあった。先ずは、ぶつかっても謝らない人が、なんと多い街だろう?この先、ここで暮らせるのか?と驚いたのを思い出した(笑)
暮らせてるけど。
時々、関西を懐かしみながら。
それでも今は、ここが居心地いい。
住めば都とはよく言ったものだ。
関東に移り住んで間もなく10年が経とうとしている今は、どっちもいい!と思えてる。