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国有林を民間に開放するべきか

森林は大きく4種類に分けることが出来る。

一冊の教科書を開いている。私が卒業した研究室を立ち上げた島田錦蔵先生が書いた『再訂 林政学概要』だ。本書は1965年に初版がでて、いま読んでいるのは第4版の1973年に発行されたものだ。その中の81ページから森林の所有権について書かれている。

そもそも森林の所有権を整理するとまず2種類に分かれ、その後4種類に分かれ、最終的には7種類に分類することが出来る。

スライド1

この図では4種類まで記載している。まず、国有林と民有林に分かれる。その後民有林は、都道府県や市町村が所有する公有林、神社・寺が所有する社寺有林、それと個人が所有する私有林の3種類に分類される。公有林が都道府県有林、市町村有林、財産区有林に分類され、私有林が個人有林、社有林(会社保有)に分類される。


今回はこのうちの、国が所有する国有林を民間に開放、つまり市場経済にゆだねるべきかどうかを、この書籍から紹介しようと思う。

国有林を開放する根拠

国有林を市場経済にゆだねるべきかを強く言い出したのは、欧州の財政学者であった。きっかけはフランス革命で、国有林の経営状況が悪化していることが明らかになったことだった。国有林の経営状況が悪化している理由はひとえに、木材価格が下落したからであった。

一方、当時人口増加が起きており、市民たちの食料が不足している状況が長く続き、森林を開墾することで食糧不足を解決しようとする流れがあった。

しかし、最大の理由としては、国家財政が厳しい状況であった国が少しでも森林資産を売却することで、借金(国債)を減らそうと考えた。また、民間に売却することで、土地の税収を増加が見込めると考えた。一石二鳥の考えだ。

ただ、木材価格の下落が経営悪化の理由であることから、民間事業者らは国有林を購入しなかったそうだ。


日本でも国有林を開放するべきといわれたことがあるらしい。それは20世紀はじめの昭和の農業恐慌の際に、東北経済を打撃受けたのが、国有林が多いからだといったらしい。たしか農業恐慌は冷害ではなかったか、言いがかりに近く聞こえるのは気のせいだろうか。



次回は国有林を市場経済にゆだねるべきではない根拠を紹介したいと思う。



本日も読んでくださりありがとうございました。



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