コロナ禍だから意識したい一蓮托生「人類」が生き延びる鍵とは
船に乗る理由は人それぞれだ。
仕事で乗船する人。トラックに荷物を積み、トラックごと船に乗り荷物を運ぶことが仕事の人。あるいは、商用車に乗り、取引先へと向かう営業の人。
個人的な理由で乗船する人。旅行の途中に船を利用する人。介護のために頻繁に実家へと向かう人。
もちろん、「ただ船に乗ってみたいから」という理由で乗船する人もいるだろう。
いずれにせよ、船に乗る人の理由はさまざまである。
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乗り物に同乗するというのは、一蓮托生(いちれんたくしょう)である。
一蓮托生とは、結果の良し悪し、ことの善悪に関わらず、行動や運命を共にすること。
船に限らず、公共の交通手段を使う者同士というのは、乗り物という「手段」を「同じ目的地」や「同じ方向」という行先の共通項ゆえのたまたまの同乗者である。
深いご縁があるわけでもないが、全くご縁がないわけでもない。些細な関わりをゆるゆると交わらせながら、同乗者として互いに存在しあう。
小さい乗り物であっても、大きな乗り物であっても。
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小さい乗り物であれば、親しい友人や家族と一緒に乗る自家用車でれば、一蓮托生を意識できる。だが、人数が多い乗り物になると、一蓮托生であることを忘れがちだ。
大きな人数で乗る乗り物にはいろんなものがある。
電車、船、あるいは、飛行機といった公共交通手段は、全て、大きな人数で乗る乗り物だ。
日常的に利用している限りは、一蓮托生を考えることはないだろう。だが、ひとたび事故や災害にあうと、それを実感せずにはいられない。
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コロナ禍にあって、今、私たちは、大きな船に乗っていることを実感しているのでないだろうか?
日本丸という大きな船。
あるいは、宇宙船地球号といったスペースシップ。
私たち人類は、一蓮托生。
目下戦いが続いている新型のコロナを封じ込めること。そして、人類が生き延びること。そのためには、宇宙船地球号に乗っているという意識が大切。
目的地は、どのような世界になっているのかはわからない。
どのような世界を望むのかは、人それぞれ。どのような理由で新型コロナを封じ込めたいのかは、各人が好きに決めればよい。
だが、少なくとも、新型コロナが蔓延している社会ではあってはならないのだ。日々大勢の人が命を落とすような日常であってはならないという意識は「共通項」として持っておくべきだろう。
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宇宙船地球号という言葉は、バックミンスター・フラーが提唱した概念としても知られている。概念であり世界観でもある。
「コロナが収まったら〇〇がしたいですね」という言葉を各人が口にする。コロナを封じ込めた後に何をしたいか、どのような人生を選びたいかは、人それぞれ。
船に乗って目的地に向かう理由は人それぞれであるように。
だが、宇宙船地球号は、普通の乗り物とは違う。
お客さま気分で目的地に連れて行ってもらうことはできないのだ。
バックミンスター・フラーは、「宇宙船地球号は全員が乗組員である」という概念も提唱している。誰ひとりお客さまではない。
いち乗組員としてできることは何か。ひとりひとりが乗組員であることを意識して、自分にできることを行動に移せるかどうか。
これらがコロナ禍を乗り越える鍵ではないだろうか?