さら地が増えるとき
「新型ウイルス騒動は全国規模の災害のようなものだ」という表現を見聞きする。
私の体感的にもそうだと思う。
というのも、昨年、2019年9月9日未明に当地を襲った台風15号により被害をうけたときと町の景色が似ていると感じるからだ。
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3月には、車検や自動車保険の契約継続など、必要最低限の実務として数人にお会いする機会があった。
軽く世間話をしたのだが、異口同音に「台風15号」と比べる言葉が聞かれた。今回は「電気も通ってるし、水も通っている」として、まだ余力があるのだという。
この地は、台風15号の被害から復興の途中にあり、そこら中で何かしらの工事が行われている。
ブルーシートがかかった屋根だけでなく、足場が組まれた建物も目立つようになってきた。
その流れと同じくして結論を異とした建物もある。
取り壊しされた建物だ。
その中には、関東大震災以後に建てられた大正モダンの建築物もあった。仮に保存運動があれば、何か有効活用できたのではと思う。
私は、地域の文化財調査のボランティアをしているため、このような視点でさら地を見ているが、この目線は多数派の考えではないようだ。
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更地には、売地の看板があることもある。売建(うりたて)といって、建てる家の条件付きで土地を売る方法で、大手の建築会社が広告を出していた。
そうやって町並みは変わっていく。
それを受け入れるしかないと思いながらも。
一抹の寂しさを感じている。