フォトレジストの構成

前回の記事でも説明させていただいた通り、フォトレジストは、雛形となるマスク(フォトマスク、レチクルとも呼ばれる)のパターンを、シリコンウェハ上に転写(コピー)するための材料です。露光光源としてg線(436nm)、i線(365nm)を使用していた頃は、レジスト層に十分な膜厚があるため、転写後シリコン基板を加工する際のマスクとしての機能も果たしていましたが、ArF(193nm)やEUV(13nm)と光源の波長が短くなるにつれて、レジストの膜厚は薄くなり、レジストをマスクとして直接ウェハを加工することは難しくなっています。代わりにSOG(spin-on-glass, Si系材料 )やSOC(spin-on-carbon, C系材料)といったマスク材を下に積層することでその代わりとしています。尤も塗布型のプロセスは、処理時間は短いものの膜厚の面内均一性で課題があるため、CVDプロセスで成膜したマスク材が使われることもあります。

 さて、フォトレジストは露光機の光源により、下のように分類分けされており、光源の波長が短ければ短いほど、より微細なパターンを転写することができます。フォトレジストも露光装置も、MUV -> KrF -> ArF -> EUVと倍々では済まない勢いで高価になりますので、できうる限り、安い装置・材料を使うことが基本です。とはいえ半導体メーカーにとっては、チップを作りあげることが最優先ですので、まずはArFでプロセスを組んで、プロセス全体の歩留まりが熟れてきた段階で、KrFにダウングレードするといったコスト改善も行われています。

MUVレジストについて詳細に解説するつもりでしたが、その前段で長くなってしまいましたので、今回はここまでです。

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