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「春がくる」さよなら大学生(3)

人生に、正解はない。けれど、「自分がそう信じること」は、きっとある。22歳、進路の話だ。

ゼミの友人から、学期が終わって以来の連絡があった。「後輩が入るから、なにか準備しよう」ということだった。春休み、すっかり忘れていたので助かった。

「そういえば、進路 決めました」

それから、雑談。
冬がすぎて、春になる。その間、ずっと悩んでいた。それでも腹をくくるのは、やってみれば呆気なかった。

「○○?」

1秒もない早さで、社名を当てられる。やっぱり、わかるものなのか。

「うん、結局」
「ずっと悩んでたけど」
「結局、これだなと思って」

この決断は、きっと重い。

選択肢があった。選ぶことは、選ばないことでもあった。私にとってそれは、生き方の問題でもあった。

それでも、決めてしまって、話してしまえば軽いものだ。

「そうね」
「そっちのほうが 似合ってると思うよ」

その意味は、知りたかったけど、聞かなかった。それは他でもない私自身が、誰よりも理解すべきことだから。

ごく短い、テキストメッセージの会話。
それでも、この一言には本当に救われた気がしたのだ。

もう、春がくる。(372日)

【さよなら大学生】
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