#ソシャゲの話をしよう。「惰性で遊ばせるゲーム」
みなさん、毎日ソシャゲにログインしてますか?
課金はしなくても、ログインするだけでそれが運営への支援になります。
今回はその仕組みを運営視点で解説していこうと思います。
「惰性で遊ばせることの大事さ」というお話。
さて、運営から見た場合、コンテンツを遊んでもらう以前に大事なことがあります。それは「ログインしてもらうこと」。
当たり前ですね。ログインしてもらえなければ、即ち遊んでもらえないわけですから。
運営の毎日のチェック項目に「DAU」という数値があります。
これは「デイリー・アクティブ・ユーザー」と言われ、簡単に言えばその日にログインしたユーザーの数です。
サービスに登録しているアカウントは基本的に増え続けるのみなので、登録者数を見ることにあまり意味はありません。
その中でも「今も遊んでくれているユーザーの数」を知る指標になるのがDAUです。
DAUを見ることで、今遊んでくれている人の数、遊ぶのを止めて引退した人の数が浮き彫りになります。
例えば、先月は20万人いたのに、今月は1万人減っている。
なぜだ、その要因はなんだと、イベントの施策や運営のオペレーションの振り返りを行ったりします。
イベントなどなんらかの形でユーザーの反感を買い、ユーザー離れが起こると、現場はこんな感じになります。
DAUが低いということは遊んでいるユーザーが少ないわけで、その状態でゲームのおもしろさを追及したり、課金要素を強めても意味はありません。なぜならそもそもお客さんがいない状態なので。
これがひどいと、運営にサ終の選択肢が浮上することもあります。
そういう意味で、DAUはとても大切な数字なのです。
というわけで、DAUを維持するというのは、≒健全な運営ができているかの判断指標になります。
以上、DAUに関しての基礎知識でした。
さて。
それではどうやってDAUを維持するのか。
その手法にはいくつかの方向性があります。
新規ユーザーをたくさん確保し、その何割かに定着してもらう
魅力的なイベントでDAUの維持・向上を狙う
毎日のログイン動機を作る
順番に解説していきましょう。
新規ユーザーをたくさん確保し、その何割かに定着してもらう
1.は大きな宣伝を打って新規の流入を確保……実にシンプルですね。
流入は多いに越したことはないのですが、ユーザーは期待したものがないとすぐに去ってしまうので、定着させる基礎を作ってないとこの手法の成功は難しいです。
コラボイベントが終わった途端、DAUが減ってしまう……というのはよくある話です。
魅力的なイベントでDAUの維持・向上を狙う
2.は魅力をイベントで担保する形。
例えばコンテンツ内の人気キャラに焦点を当て、今なら無料でそのキャラが手に入る…みたいな立て付けでしょうか。
新規ではなく既存ユーザーを呼び戻すという点で、1.とは異なるアプローチです。
しかしながら、一度離れてしまったユーザーを再度定着させるのは難しく、成果がコストに見合うかは難しいところです。
毎日のログイン動機を作る
3.は単発のイベントではなく、仕組みで毎日のログインを促す施策です。
シンプルなのがログインボーナス。もしくはもうちょっと手を加えてデイリーミッションなどでしょうか。
キャラクターのバースデーの限定メッセージなどもこれに当たるのかもしれません。
方向性は違えど、1.2.3.は並行して行うことが可能です。
ので、1.はできるときに、2.はできれば毎回のイベントで、3.は常に実施と改善を行う……というのが理想でしょうか。
今回は主に3.について詳しく掘り下げていこうと思います。
毎日ログインさせるために必要なのは、「ログインをいかに日常生活のサイクルに組み込んでもらうか」という視点です。
そのためのポイントは3点。
ユーザーへのメリットが明確か
迷ったり面倒な要素はないか
一連の作業の終わりが明確か
順番に見ていきましょう。
・ユーザーへのメリットが明確か
以前にこのような記事を書きました。
「ゲームと作業のボーダーはどこが分岐点なのか」
https://note.com/cf_gapple/n/n672fab038fdb
非常にシンプルなのですが、ユーザーにとって「手間>メリット」となると、ユーザーは離れます。なぜなら面倒くさいから。
ログインで得られるメリットが、手間以上のものに見合うように設定する必要があります。
例えば、「1回のログインでガチャチケットがもらえる」などはメリットがわかりやすいですね。
これは多くのユーザーに刺さる施策になると思います。(採算面としてはさておき)
これが、「1回のログインでゲーム内通貨が1000もらえる」になるとどうでしょう。
資源が枯渇していれば需要はあるでしょうが、すでに潤沢にあるユーザーにとってはあまり刺さりません。
きちんとユーザーの需要を把握した上で、メリットのある報酬を設定することが重要になります。
資源の流通を管理して需要を維持しよう…という趣旨で書いた記事がありますので、もしよかったらこちらもどうぞ。
「素材の適切な流通」
https://note.com/cf_gapple/n/ne39149493fcc
・迷ったり面倒な要素はないか
たまに見かけるのですが、ログインボーナスで「次の3つのアイテムから、欲しいものを選んでください」のようなものがあります。
ユーザーが欲しいものを選べるという点では良いのかもしれませんが、あまりよい方法ではないと思います。
なぜなら、ログインのたびに「なにが欲しいのか」「なにが足りてないのか」をユーザーに考えさせることは、結構な負担になるからです。
これはログインボーナスだけでなくデイリーミッションでも言えることで、デイリーミッションを達成させるゲームで操作が面倒だったり難易度が高いと、それだけでユーザーにとっては負担になります。
何度も述べているように、この段ではユーザーに対して面倒くさいことを強いるのはノージャスティスです。
ポチポチっと押して報酬がもらえる。この間5分くらいで完了……くらいが理想です。
・一連の作業の終わりが明確か
たまに「達成しなければならないデイリーミッションがやたら多い」というコンテンツも散見されます。
これも目的を考えると、あまりよくない手段だと思います。
ユーザーの目的は「さくっとログインボーナスやデイリーミッションを終えて最低限の報酬をもらう」のが最優先なので、ここに過度な手間や時間を掛けさせるのはNGです。
なので、「ここまでの報酬をもらったらデイリーは終わり!また明日も来てね!」くらいの、わかりやすい終わりの線引きが必要になります。
例えば、デイリーミッションにおける「今日のデイリーミッションをすべてクリアする」というミッションでしょうか。
これがあると、ユーザー的には「ここまでやればOKなんだ」と理解しやすく、気持ち的な負担も減り、モチベーションも上がります。
どこまでやればデイリーミッションが終わりなのかわからない、というのは問題外。
こなさなければならないデイリーミッションに、難易度の高いハードルがある、というのもNG。
達成までに時間や手間がかかるのも避けたいところです。
運営の目的は、あくまでユーザーに惰性でログインする習慣をつけさせること。
ゲームを遊ぶことを押し付けることではありません。
コンテンツ自体に魅力があり、イベントやピックアップされたキャラクターに訴求力があれば、いわゆるログイン勢だったユーザーも復帰することは十分あり得ます。
そうなったときに、ユーザーが遊びたいだけ遊べるような、懐の深い設計にしておくことが肝要です。
そのために、まずはログイン勢を多く確保しておく……とはいうのは一見運営としては消極的に見えますが、非常に大事なことなのです。
「ガッツリ遊ぶのは面倒だけど、ログインだけはしておこうかな」と思えるのは、わりと優良コンテンツである可能性があるので、そういう視点でソシャゲに触れてみるのもおもしろいと思います。
今日僕から言いたいことは以上です。
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