1998年 ポルトガル旅行記・2

2月25日      リスボン 至福の風景

ホテルの最上階(8階)のレストランからの眺望は最高だった。
ぴかぴかの快晴に、わくわくした気分になる。
ホテルでの朝食は、バイキング形式。
一人だと、席をはずしている間に、食べかけのものを下げられてしまったり、
何かと不便だなあと思った。

テージョ河(日本の感覚だと、ほとんど海)に面す、コメルシオ広場で、
一人で風景の写真を撮っていると、
おじさんが「撮ってあげる」とポルトガル語で話しかけてきた。
アントニオさんに2枚ほど撮ってもらって、
御礼を言って別れる。

窓から見えていたサンジョルジュ城に行くため、バスに乗る。
すごく急な坂を揺れながら走り、
「こんなところで止まって大丈夫?」と思うくらい、傾斜のきついところで停止したりする。
ワイルドなドライブの末、城に到着した。

そこに広がるパノラマは「絶景」のひとことだった。
テージョ河の光る水面、船は悠然と進んで行く。
オレンジの屋根、石畳の路地、砂糖菓子でできたような街並み、
何て表現すればいいのかわからない。
空はどこまでも青くて、こんな青さを私は知らなかった。
この景色と、ゆっくり流れる時間があれば、何も要らない。
何もしない時間、こんなぜいたくってあるだろうか。
本当に豊かなのは、ものがたくさんあることではなく、
些事にとらわれず、大きな心を持って生きることなんだ。

大分長い時間、そこから動くことができなかった。
ゆっくりとゆっくりと流れる時間を満喫することができた。
一人でここまで来て良かったと思った。
本当に良かったと思った。