生物と人間社会の共通点を知るともっと楽に生きられる
今の自分の人間関係や生き方、仕事の仕方に疑問を感じたり、自信を失ったりしていませんか。もしそうだとしたら、菌や他の生物の法則を知ると、少し気が楽になれるかもしれません。
最近では、菌活という言葉が流行る程、菌類をお腹に取り入れることを重視している人が増えています。確かに、ヨーグルトや納豆を食べると便通が良くなることも多く、お肌の調子も整ってくる感じがします。
しかし、単にお腹に菌を入れればよいというものではなく、実はその菌のバランスこそが大切なのだ、と最近はいわれるようになりました。その菌のバランスを、腸内フローラと呼びます。腸内フローラは一般的に、善玉菌20%と悪玉菌10%、そして日和見菌が70%でバランスを構成していると言われています。
興味深いことにこのバランス、つまり割合は、他のことにおいても共通点があります。
著書『嫌われる勇気』の一節に、次のような「ユダヤ教の教え」が引用されています。「10人の人がいるとしたら、そのうちの1人はどんなことがあってもあなたを批判する。あなたを嫌ってくるし、こちらもその人のことを好きになれない。そして10人のうちの2人は、互いに全てを受け入れ合える親友になれる。残りの7人は、どちらでもない人々だ。」
まさに、腸内環境と人の関係は共通したものがあるのかもしれません。
つまり、私たちがどんなに人に好感を持たれようと頑張ったとしても、10%の人には嫌われてしまうのも仕方がないようです。そのように考えると、もし人間関係がうまく行かなかったとしても、敵視してくる目の前の人は、その嫌う10%の人だと思えば少しは気が楽になるかもしれませんね。
経済的生産性においても、似たような割合が示されています。会社などの組織において、2割が意欲的に働き、6割が普通程度に働き、後の2割はさぼるというのです。これをパレートの法則と呼びます。
またパレートの法則は、生物学的現象と共通点があります。働きアリにおいては、2割のアリのみが一生懸命餌を運び、あとの6割は適度に働き、残りの2割はさぼっているといいます。つまり、「全員が一丸となって一生懸命働きましょう!」といくら素晴らしいスローガンを掲げても、実際はこの割合でバランスを取ることが、互いの精神的なバランスを取り、結局は生産性を上げることに繋がるのではないかと思われます。
確かに、皆がガツガツと働いていたら、ワーカホリックな精神の人々だけになり考えが偏ってしまいそうで少し怖い気もしますよね。そのように考えると、今の仕事に意欲的になれない自分もまた会社に貢献していると考えてもよいのかもしれません。
物事を調べていくと、時に、学問領域を超えた不思議な共通点が見い出せることがあります。つまりそれは、この世の普遍的法則とも考えてよいのかもしれません。あるいは、私たち人間も一種の生物であり、一人一人が細胞という生物の塊ともいえます。ですから、他の生物に共通することを、人間が社会として現象化させていても、実は何ら不思議ではないことなのかもしれません。散歩の途中、不器用にも集団から少し遅れて一匹でふらふらしているアリを眺めつつ「これは自分かな?」と思いながら、微笑ましく眺めている今日この頃です。
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