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大人になったなと感じたのはスーツと着物がきっかけかもしれない #聞いてよ20歳

 きゆかさんの「#聞いてよ20歳」という企画を目にしたのは、あきらとさんの感想note番外編でした。ふと、思った。

 今のわたしが20歳のわたしにもし出会ったら、何を伝えるんだろう?

 

 実家のある栃木県から、今住んでいる埼玉県に引っ越してきたのが2007年。もう13年も前のことになるなんて衝撃です。そりゃ30も半ば過ぎますね。そうか、23歳だったのかわたし…いや、ここでしんみりするのは違いますね。目指すは20歳の頃。

 20歳、成人式。大学に進学した人は、20歳以降も大学に在籍します。就職をした人は、次の日からまた仕事が始まります。区切りの年だけれど、生活にあててみると、大学も仕事も続く、その中の一日でしかありません。祝日だけれど、次の日は平日ですから。

 20歳を機に変わることって何だと思いますか?お酒が飲めるようになること、喫煙が許されること。うーん、他には何があるだろう。選挙権は昔と変わりましたし、結婚も違うし…と考えてみると、あまりないわけです。あなたは大人ですよ、と言われているようにも感じるかもしれませんが、「大人」扱いをされるかどうかは、今自分がいる環境によるところが大きいのではないかと思います。


 …あら、そうしたら20歳ってどういう頃だっただろう?少し、わたしの話をさせてください。

 高校を卒業してしばらく家事手伝いという名の、自営業手伝いをしていました。高校は商業高校でプログラミングなど学んだけれども、3年間通って気付いたのは「向いていない」ということでした。うん、大きな事実が判明しましたね。父は経営コンサルタントをしていて、その関連で企業のHP制作を請け負うこともあり、その辺りを手伝っていました。小学生の頃からPCに慣れ親しんで、高校で多少なりともPC関連のことを勉強してよかったと初めて実感しました。だってHPなんて作ったことないのにですよ、企業HP制作ですよ。今だったら信じられない。本とネットに溢れる知識を駆使し、色々試行錯誤もし、作っていました。今はタグなんてほんっとに覚えていないけれど(笑)あれは使わないと忘れますね。

 我が家は父が厳しかった(というか細かかった)ので、高校時代のアルバイトは禁止されていました。そんな暇があるなら家の手伝いと勉強をしろ、というタイプ。初めてのアルバイトは22歳になる少し前だったと思います。つまり20歳の頃のわたしは、アルバイトという社会経験もなければ、大学などに通っていたわけでもない。どこにも所属していない、「家事手伝い」という名のフリーターでした。

 成人式には出席しませんでした。祖父母は「行った方がいいんじゃないか」と言ってくれたんですが、あまり会いたい人もいなかったし、特別感を何も感じることなく。振袖を着て写真を撮ることもしませんでした。経済的に余裕がだいぶある、という家ではなかったので、わたしが写真を撮るならその分を妹たちに取っておきたかった。3つ下と4つ下の妹はそりゃあ可愛いんですから(ただの姉ばかです)。代わりに、スーツを1着と、古着の着物屋さんに連れて行ってもらって、着物を一揃い買ってもらいました。黒地の織の着物。とても細かく模様が織り込まれていて、目を引く美しさというよりは、技術のすごさを感じる着物でした。


 20歳という年齢の区切りのつけ方、過ごし方は人それぞれでしょう。成人式に出席することで感じる人も、写真撮影をすることで感じる人もいるでしょう。わたしの場合は、スーツと着物というアイテムだったのかもしれません。

 今、20歳の頃を振り返って、あの頃のわたしに向かって今のわたしは何を伝えるだろうと考えてみました。成人式は出ておいてもよかったかもしれないよ、とか、買った着物で写真撮影をするのもありなんじゃない、とか(笑)でもきっと、ひとつだけ、と言われたら。

 今までやってきたことに、無駄なことなんてひとつもないよ。

 きっとそう言うと思います。人生に無駄なんてないとか、そういう大きなことではなくて。その時々で、自分ができる精一杯をきっとやってきたはずで、学んだことも感じたことも、わたしの中に色んな形で残っている。それを今は失くしたくないなと思えるから。

 高校3年生の時に進学を諦めたことも、就職の募集要項の条件「持病がないこと」に引っかかって高校に来ていた求人を見ながらため息をついたことも。出席日数が危うくて卒業できるかどうか実はぎりぎりだったことも、人生初のアルバイトを引越で辞めることになったことも。世間一般的に見れば、もしかしたら平均的な生き方じゃないのかもしれません。でもきっとそんな人は沢山いて、わたしはそのうちのひとりに過ぎないのです。特別な才能もなく、商才があるわけでもなく、それでも夜を超えてゆける。それは小さい頃からわたしの中に蓄積された、自分なりの価値観がぶれずにあるおかげというのが、少しはあるんじゃないかと思っています。自信過剰かもしれないけれどね。

 だからこそ、心に置いておきたい。やってきたことに、無駄なことなんてないんだって。20歳のわたしに言えるのは、これだけです。


 きゆかさんの「#聞いてよ20歳」の企画に参加させていただきました。

 こうやって振り返ることも普段ないので、素敵なきっかけをいただきました。きゆかさん、ありがとうございました。




2020/2/28 

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