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きな臭くなってきた、日中関係~対立を煽っているのは誰?

日中関係が、どんどん悪化しています。

直近1~2か月程度だけでも、これだけの問題が発生しています。

2024年8月26日:史上初となる中国軍機による領空侵犯
2024年8月30日:中国無人機が与那国島と台湾の間を通過
2024年8月31日:中国海軍測量艦が口永良部島南西の日本の領海を航行
2024年9月18日:深圳日本人男児刺殺事件
  
同日      中国海軍の空母が与那国島と西表島の間の接続水域を航行
2024年9月23日:露軍哨戒機による領空侵犯(中露合同軍事演習の可能性)
2024年9月25日:海自護衛艦、台湾海峡通過
2024年9月26日:中国軍、事前通報無しのICBM発射実験

また、正確な時期は不明ですが、今春に中国の原子力潜水艦沈没事故があった事実を隠ぺいしていた事や、7月には海上自衛隊の護衛艦「すずつき」が中国領海へ誤侵入したことが、後にわかりました。

◆中国との関係悪化を進めている?

中国政府側の挑発行為ももちろん目立ちますが、一部日本政府側からも中国を挑発するかのような動きも見られており、緊張状態がさらに増しているようにも思います。

あまり考えたくはないですが、中国との関係を悪化させようとしているような節もあります。
(例の殺人事件に関しても、政府が中国側への対応をあえて弱腰にすることで、国内の不満を煽っているようにも感じました)

もちろん中国政府側の動きに関しても許せないものがあるものの、日本政府側もあえてそういう雰囲気を作りたがっているように見えるのは僕だけでしょうか?

そもそも政府同士のやりとりと、両国国民同士の関係はまた別の話です。
結論を先に言えば、中国政府に対する憤りを、中国人そのものに対する憎しみに転嫁されている、というように感じているのです。

◆メディアも対立を煽る

日本の各メディアは、中国政府が「日本人学校はスパイの温床」といったデマなどといった内容の、日中対立を煽るようなSNSの投稿を規制している事実などを、まったく報道していないわけではないにせよ、あまり言及しないようにしています。
そればかりか、「共産党政府への批判は即座に削除されるが、反日的な発言は容認されている」としたうえで、四川省の地方政府幹部のヘイト発言をクローズアップするなど、露骨に対立を煽っているようにも見えます。

確かに、中国政府の反日教育は露骨ですが、それも国内の政府に対する批判を避ける狙いがあり、ある意味国民のガス抜きをしているとも言えます。

それ自体は良い事とは言えませんが、日本でも似たようなことをやっている節はあります。
日本の政府のスキャンダルなどが起こると、"なぜか"別の芸能人スキャンダルなどのワイドショーネタにかき消されることは少なくありません。

◆危険レベルは上げる必要はあるが・・・

確かに、先の殺人事件と同様の事件が起きないとも言えず、他国内で起きる問題である以上は、危険レベルを上げるなどの対応は必要だと思います。
ですが、イコール中国人そのものを憎む事につながるのは短絡的だと思います。

むしろ、中国政府に対しての対応が甘い、日本政府に対してもっと声を上げるべきではと思うのですが、いかがでしょうか?

日本の議員の多くが中国共産党の影響下にあるなどと揶揄されることもあるくらい、政府の対応は弱腰と言わざるを得ません。

◆風向きが変わったのはここ数年

ちなみに、日中に米国を合わせた3者の関係は、少なくとも1980年代からの20年ほどは、天安門事件後の対中制裁の時期を除き、非常に安定していたと言えます。
それ以降も、米中が対立していると言われながらも、米中貿易額(2019年実績5252億ドル)が日米(同2150億ドル)と日中(同2779億ドル)いずれの貿易額をも上回る形となっていて、経済的な結びつきはむしろ強くなったと言えます。

確かに、靖国神社参拝問題や、尖閣諸島問題をめぐる対立などは度々起きていたものの、今以上の対立関係にはなっていなかったように思えます。

風向きが変わったのはここ2~3年で、メディアがしきりに「台湾有事」を煽るようになってからです。

◆日中対立で得をするのは誰?

正直なところ、リスク分散は必要だと思いますが、今更急に中国との経済相互依存を完全に切り離すのは難しいです。

ですが、日中関係を深めようとすると、不満を抱くのが米国政府です。
民主党の鳩山由紀夫政権誕生に当たって鳩山首相が提案した日中主導・米国抜きの「東アジア共同体」が(構想自体の是非は別として)米国の激しい反感を買ったことがあり、沖縄の普天間基地の「県外移設」発言よりも、実は問題視していました。

米中対立が軍事対決へと激化すると、日本は実存的に危うい状況に追い込まれます。
日米が中国を全面的な敵性国と確定し、それが中国の排他的民族主義を煽る結果になれば、もう後戻りができなくなります。

それで得をするのは、米国の軍産複合体だけです。

◆中国に媚びる必要はないが・・・

一部の政治家のように中国政府に異常に媚びる必要はありませんが、逆に過度に対立を煽る必要はありません。

何より、中国と戦争状態にでもなった場合、僕ら日本人に何も得はありません。

露国との関係も、某U国や米国がいなければ、ここまで悪化することもありませんでした。(露国のU国侵攻の裏に隠された事実については、改めて別の機会にお話しします。)
実際、安倍政権時に北方領土の交渉がとん挫したのもの、日本国内のどこにでも米国の基地を作れる、という米国との密約が影響したというのは、割と知られている事実です。(それが無ければ返還の用意はあったという話もあります。)

露国に対しても、正直色々思うところはありつつも、自分たちからわざわざ喧嘩を売りに行くような必要は、日本の国益としてはありません。
それをさせたいのは、NATOであり、米国政府です。

ある意味、我々日本人の安全を阻害しているのは、日米関係だと言える部分もあるのです。




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