見出し画像

54歳でも続ける鉄拳8 その21

驚くべきことに、ランクが天龍に上がってしまった。

前回から50戦程度なのに驚愕のランクアップである

勝率もジリジリと40%に近づいているので、実感はあまりないのだが、そこそこ勝利数も重ねてはいるのだろう。ただ、「うむ。俺も◯◯ができるようになったとは、進歩したもんだなあ」みたいな、明確な上達感はないので、たまたま勝てる相手にうまいこと当たり続けて、神様の気まぐれで段位が上がった、程度の話だとは思う。

今、「これができるようになりたい」と思って心がけているのは、2LPRPから背中を向けての攻めと、66RKで下段を踏みつけてからやはり背中を向けての攻めである。

リリはやっぱり背中を向けてナンボ、みたいなところがあるようで、背向けからの技はかなり高性能なものが揃っている。速い上段も、痛い中段も、見切りにくい下段も、ついてにパワクラもヒート移行技もと、攻め手には事欠かない充実ぶりなのだ。

今までは、というか今でもそうだが、私は背向け移行にLPLPばっかり使っている。そんで、この連携はヒットしていればまあこちら有利から背向けで択を迫れるのだが、ガードされていると結構不利なので、ガードされているにも関わらず調子こいてWPとか出してしまうと、相手の速い上段連携(風間家のLPLPRPみたいな)で簡単につぶされてしまう。

だからLPLPはヒット確認をして、ヒットしてたらこう、ガードされたらこう、ついでにカウンターヒットしてたらキックまで出しておまけにワラで追い打ち、みたいにできるのが理想なのだが、年齢のせいなのか鍛錬不足なのか、どうもヒット確認が難しいのである。

そこで、中間間合いから、しかも下段から背向けに移行できる上記2つの技をぜひ己のものとしたいわけなのである。

で、そう思ってプラクティスで操作を一生懸命手に馴染ませてはいるのだが、前にも書いたようにいざ試合が始まってしまうとどうにも練習の成果が出ないというか馬鹿の一つ覚えというか三つ子の魂百までというか、いっつもおんなじことばっかり繰り返してしまうのである。

私は住んでいるところがかなりのド田舎なので、ちょっと油断するとすぐに家にも事務所にもクモが網を張る。もうホント、半日ぐらいで立派な網をデーンと張る。いろいろな媒体で、「長年人が足を踏み入れていない」というサインとしてクモの網を利用するが、あんなのはウソもいいところで、クモというのは相当な短時間であっつー間に相当なスケールの網を張ってしまうものなのだ。

そんでまあ、それを放置しておくといかにもみすぼらしいし、そこらじゅうがクモの網だらけになって、近所で「あそこの家には魔女が住んでいるらしいよ」とか「殺人事件があったみたいよ」とか「死者蘇生の実験をしているそうだよ」とか噂されるのも困るから、見つけたら適当にきれいにしているのだが、これがまた不思議なことに、同じ場所に性懲りもなくまた網を作るのである。

私がクモだったら、「ああ、この場所は家主さんにとっては具合がわるいのか。じゃああっちも虫がたくさん来そうだしあっちにするか」てなもんで場所を変えるだろう。網を壊されることもないし、お互いウィンウィンの関係を目指すならこうするべきなのだ。

ところがクモは知能が低いのか、いやまあそりゃ虫だから知能もへったくれもないとは思うが、なんべんもなんべんも同じところに網を作るのである。作り主のクモを殺してしまえばいいだけの話ではあるのだが、クモってほら、人間にとっては益虫じゃないですか? それに個人的にはクモってフォルムやカラーリングがかっこいいと思っているので、あんまり殺したくはないんですよね。

そんで気になって、ネットで「クモ 巣 同じところ」とか検索したことがあるのだが、どうやらこいつらは「この場所に網を張ってここまで成長できたのだから、今更よそに網を張るよりもここに網を張り続けたほうが間違いないはずだ」みたいな、「今まではこうやってうまくいったのだから、やり方を変えるなんてとんでもない」といった、ベテラン公務員とか能無し上司みたいな思考で動いてるらしいんですよ。いやまあ実際にはそんな抽象的な思考はしていなくて、単にクモってのは同じところに網を張る習性があるってだけかもしれないんですが、言われてみればなるほどなあと少しだけ納得したわけです。

で、今の私はそのクモと同じスパイラルに陥ってしまっているわけだ。

現状に満足せず、新境地を求めて挑戦しないと成長はない、ということをクモや鉄拳から学んだ秋の初めである。

それはともかく、鉄拳はホントに韓国人が多い。というか日本人が少ない。ランクマッチをやっていても、当たる相手はまあ体感で7割は韓国人である。残り3割が日本人で、ごくまれによく分からないそれ以外の地域の人と当たることもある。そういうときは回線のせいなのか相手のマシンのせいなのか、ガックガクのコマ送りプレイになることもあったりする。

別に相手が日本人だろうが韓国人だろうが宇宙人だろうが未来人だろうが超能力者だろうが何でも構わないのだが、さすがに実感として「ああ、鉄拳て日本では盛り上がってないんだなあ」というのが感じられると少し切なくなる。Youtubeなんかでも、まあリプレイ切り抜きなんかはオススメに時々上がってくるが、プロが初心者を啓蒙する動画とか、プロ・アマ問わず大会の切り抜きとか、V辺りの配信者が楽しそうにプレイしている動画とか、そういうのはほとんど見受けられない。

と言って、「鉄拳8は初心者にもオススメだからみんないっしょに遊ぼうよ!」とは口が裂けても言えない。だって初心者向けじゃないから。仮に何も知らない人が、「なんかきれいでかっこいいキャラがダイナミックに動いて面白そう」みたいな感覚で鉄拳8を買ったら絶対に後悔すると思う。いや絶対は言い過ぎかもしれない。おおむね絶対、確率で言えば92%ぐらいの確率で後悔するだろう。

なぜかと言うと、このゲームは「理不尽に感じる負けが多いから」である。おそらく、ゲームに関する技能と知識を高めていけば、勝ちにも負けにも、そこに理不尽はないはずである。どの格ゲーもランダム要素というのは皆無だし、キャラは「プレイヤーがそうしようと思ったようにしか動かない」のだから、「うおおおおお! 命中率5%が当たって死んだ!」といったFEめいた悲しみもないし、「ぬああああ! まーた天井かよ! これで3連続天井だぞ! どうなってんだよKMR!」みたいなガチャ的プリコネ的悲嘆もない。

だが、私も含めて初心者からすると「え? なんでそれ食らうの? ガードしてたじゃん・・・」とか、「は? ぜんぜん起き上がれないんだが? 俺のキャラ、ダウンしたまま死んでて草」とか、「相手のジャブ連打に何もできないんだがwww なにこれwww クソゲーwww」とか、まあそういう類の「何がどうなってこのような惨状が起きているのか」といった因果関係が理解できない事象が結構起きがちなのが鉄拳なのである。

なんでこんなことを思ったのかというと、こないだスト6の若獅子杯とかいう20歳以下の大会の切り抜き動画を見ていて、私はよく知らないのだが、まあとにかくアマチュアチームがプロチームを破って優勝したと、そんでそれを参加しなかったプロ(要するに20歳より上の一線級プロ)が、よくやったとか、感動したとか褒めてたのである。

これって要するにスト6で新規プレイヤーが参入して、そんで一生懸命練習して、プロを負かすほどの腕前になって、それを先輩が「成長したな」と認めているという、世代交代が進んでいるという図式だと思うのだが、スト6というゲームがそこまで幅広くプレイヤーを集めているということに衝撃を受けたのである。

だって、私まで「たまにはスト6もやるかな~」とか、ふと思っちゃったもの。あんなにスト6嫌ってて鉄拳に鞍替えしたくせに、「な~んかスト6もいいかもな~」とか感じちゃったもの。

今の時代はいろいろなコンテンツが血眼になってユーザーの金と時間を奪い合っている修羅の時代である。私が高校生の頃なんぞは、こんなにエンタメが充実していなかったから、気楽なものだった。それを思えば今の若者は大変である。金も時間も体力も精神力も限りがあるのだから、それをどのコンテンツにどれだけ注ぎ込むかは、かなり難解な選択だろう。

鉄拳のような、「ついてこられるものだけがついてくればいい」といったスパルタンな思想も別に間違っているとは言わないが、やはり今の時代ではそのスタイルについていける層はあまり多くなかった、というのが、今のスト6と鉄拳8のプレイヤー数の違いなのだろう。

とは言え、私個人はゲーム的には鉄拳の方が好きなので、まあ不知火舞が出たらスト6もまた遊ぶとは思うのだが、まだしばらくは鉄拳を続けてみたいと思っている。

いいなと思ったら応援しよう!