魔法研究家の決意
決めたことはやりとげる。
口に出したことはないけれど、それでも強い想いがある。誰にも知られずとも、ただ、淡々と。
時はいずれ訪れる。必ず起こる未来のために、できることをと誓ったのだ。
一つずつ、一歩ずつ。着実に、確かなものを。証明ではなく、灯火となるものを作り上げて残していくのだ。次代に託すために。
時折、労りの声がかかる時だけは申し訳なくなるけれど、それもまた、進む活力になり得るのだ。
「ワシにできることをせねばなぁ」
独白もまた、誰にも聞かれない。
魔法に満ちたこの世界が失われることを、誰よりも悲しんでいるのは自分だという自負がある。だからこそ。
「止まるわけにはいかんのよ」
独り、魔法研究家は笑った。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?