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柳誌『現代川柳 琳琅』No.188(2024-9)掲載句「火曜日のつぎは水曜すみれ咲く」

みなさま、こんにちは。
今日はこちらは雲ひとつなく日差しがあたたかいです。


それでは『現代川柳 琳琅』No.188(2024-9)の掲載句。吉見恵子選です。

みずうみに素顔うつして今朝の春
コンタクトの片方さがす朧かな
火曜日のつぎは水曜すみれ咲く
母の日という日でなくとも花贈る
髪切って梅雨空すこし軽くなる

『現代川柳 琳琅』No.188 p21


選後感の欄で2句取り上げていただきました。
まず一句目はこちら。

火曜日のつぎは水曜すみれ咲く

一週間の営みは、「火曜日のつぎは水曜」とメリーゴーランドのように休みなくやって来る。その中で自分らしい意味を持たせて人は生きている。この句の場合、水曜日に可憐な「すみれ」を発見して心が安らいでいる。日々の屈託とそこに生れる希望が表現されているようだ。

『現代川柳 琳琅』No.188 p26

しあわせは身近なところにあります。
朝のまっすぐな光、道端の花、遠くの夕陽。
「幸福は一般的なものではなく、あくまで個人的で、誰のものでもない独自のものです」とは、哲学者 岸見一郎氏『成功ではなく、幸福について語ろう』所収の言葉。

「すみれ」は詩歌の世界でしばしば登場します。
俳句では、渡辺水巴わたなべ すいは「かたまつて薄き光の菫かな」を第一に推したい。
和歌では、待賢門院堀河たいけんもんいんのほりかわ「行きやらで心のとまる春の野にしばしすみれの花やつままし」が好き。

なお、この句はp28の「推薦13句」のひとつにも挙げていただいています。感謝。

次に二句目はこちら。

髪切って梅雨空すこし軽くなる

髪を切ると気分が変わる。梅雨時の鬱陶しい空模様であれば殊更である。この句は、その気分の変化を、「梅雨空すこし軽くなる」と、梅雨空の分量で表現している。

『現代川柳 琳琅』No.188 p26

俳句、川柳、短歌といった短詩型文学は、詠み(=自分が作品をつくること)以上に読み(=他者の作品を読み解くこと)の力が大事だと思います。
私も豊かな読みができるようになりたい。

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