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人間って空のことより地面のことが分かってないんじゃないかな

北陸新幹線の小浜ルートは京都側で2.6万人の反対署名が集まったことが話題になりました。
京都に移り住んだ矢先に反対運動を目にするわけですけども、感覚的に「反対運動を始めるには早いんじゃないの?」と思って話を聞いてみると、敦賀延伸が終わったら速攻で着工する予定だったのですね。
で、この北陸新幹線の工事に当たって京都府の負担は2000~3000億円と言われており、京都市が財政破綻寸前であることもあって(京都市は京都府の人口の6割が集中している都市です)「金のない京都にそんな工事費出せるか!」ということも不満の一つになっています。

🚇調布市で陥没した外環自動車道

京都府で北陸新幹線の反対運動が起こされる要因は、京都市と丹波地域ではやや異なると思われますが、京都市で反対運動が起こる原因は大深度地下工事によるものです。

特に大きな転換点は調布で起きた東京外環自動車道の陥没事故でしょう。
大深度地下工事は「地下40m以下なら掘っても地上に影響はないでしょ」と言うことで、地権者の交渉無しで工事を出来るものです。
「地下40mより下は掘っても安全でしょ」の前提は、調布の陥没事故で崩れたわけですね。

で、調布の陥没事故を受けて〖田園調布〗でリニア反対運動が盛んになってきているそうです。やはり大深度地下工事によってシールドマシンが通る場所。考えても見るとリニア新幹線は多摩川の下を通るわけです。  

さて、リニア新幹線はリニア新幹線で、静岡抜きにしても2027年の開業は無理だと言うことは分かっています。
工事に於いても労災が発生しており、直近では今年の3月1日に中京圏トン
ネルの西尾工区で40代の男性作業員が助骨を折る重傷を負いました。
この辺はJR東海の労組のホームページを見ると、リニア関連工事に於ける労災の情報は手に入ります(そしてJR東海の労組はリニア新幹線に反対している)

果たしてリニアは南アルプスを横断し、ともすれば多摩川の地下すら横断できるのか怪しいのですが、今わかってる範囲でも等々力非常口は台風などで水没する危険性が高いことがわかっているようです。

もともと「地下40mは科学的に考えて掘っても上の人間は安全」な筈でした。ところが実際掘ってみると、地上で陥没が起きたのが調布の事件というわけです。

🚧人間は地下のことはよくわかってない

飛行機は高度10万mを飛び、気球は成層圏を飛び、あるいは人類は月にまで飛んで、火星には探査機を向かわせているほど「空のこと」に関しては、人類はかなり詳しくなったと言えるでしょう。
雲の無い夜には宇宙が見えるのですから、人類は空の事には詳しくなったのです。

ところが地面はそうでは無いのですよ。
今私達のいる地表から50km下には上部マントルがあるといわれてます。
これは距離的に横浜ー小田原くらいの距離です。
ところが人類は未だマントルに行ったことは無いのです。いや、永遠に行けないでしょう。行ったら死んじゃうし。

そう、地下は結局掘ってみないとわからないのです。
なので例えば多摩川の水面から50m下を掘ったとして、無事でいられる保証はどこにもありません。

京都も同様で、どうやら京都市街の地下は水だらけであるようです。
一応京都地下鉄東西線は鴨川の下を通ってますが、鴨川は京都市内では浅いですし、地下水のあるところまでは行かなかったんでしょうね(それより遺跡の方が問題だった)。
あと地下鉄って基本的に住宅地の下は殆ど通らないんで、やっぱりリニアや北陸新幹線とは同等には行かないわけですよ。

これだってわかってきたのは割と最近の話ですが、じゃあリニアや北陸新幹線通す時に作業員は安全に掘れるのかって言ったら、もう博打の領域です。
少なくとも自分が土木の仕事してたら、絶対に参加したくない工事です。溺死する恐れあるんで、ホント。

京都地下鉄は鴨川が浅いから下を通りますが、大阪や東京の地下鉄は大きな川の下は通らないでしょ?
東京メトロも大阪メトロも大きな川を渡る時は地上に出ます。
そう言えば春日井市と名古屋市の間には庄内川が流れていますが、これも地下を通るとなると大丈夫なんでしょうか。
これもやっぱり掘ってみないとわからないわけですよ。

そう考えると、結局人類って、空のことはある程度わかる時代になっても、地面のことに関してはまだまだ「何も知らない」状態に等しいのではないでしょうか。

結局のところ、地面はまだまだ未知だらけだというわけです。

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