介護事業者数が多すぎるという問題
千葉県のとある介護事業所で職員が一斉退職したことにより、利用者が置き去りにされるという事件が起きました。
この事件はもちろん退職した職員に非があるわけではないのですが、事業主による給料未払いがあったとのことで、それは退職されても仕方がないよねって言うものであります。
「なら給与未払いに至る経緯はなんだったんや」って言うのが気になるところでございますが、介護と言うのは参入が簡単な割に、その制度が理解し辛い部分がございます。
特に請求業務は最たるもの。
介護利用料は1割が利用者負担、9割が国費で、毎月1-10日の間に、国保連合会へ請求する必要があります。
なので9割のお金が入らないと、あっという間に倒産へ向かうのですが、介護の請求事務をやる人間がパソコンすら碌に使えないと言う話もあります。
💰賃金向上に必要なのは統廃合
さて、介護職員に対してネットで上がる声の多くは「職員の給料を上げろ」というものです。
これに対して国費を充てて職員の待遇を良くすべきだという考え方が主流でしょうか。
一方で、私は国費でもって介護職員の給料を上げる必要性と言うのは1㎜も感じておりません。
何故なら給与と言うのはあくまでも労使間で決めるものだからです。
これは介護に関しても例外ではなく、職員の給与は労使間の契約で以てのみで決められるべきだと考えます。
ただし、介護業界は産業の仕組みとして給料が上がりにくいのです。
それは参入障壁の低さであり、単純に事業者数が多いからです。
給与と言うのは小さい会社へ行けば行くほど少なくなるのはご存じの通りで、小さい会社ほど社長のポケットマネーと事業資金がほぼ連動しています。
ITの世界などとは違い、介護の世界にベンチャーキャピタルなんてものはほぼ無いに等しいですから、社長と言うのは命懸けなわけです。
加えて介護保険システムにより、介護報酬は天井が決まっています。
これも「言い値」商売のITとは大きな違いで、利益率は低いわけです。
🏠制度としては介護の参入障壁を上げること
残念ながら介護業界の賃金はSES未満です。
ITの闇が詰まった下流SESですら介護に比べればだいぶ賃金は貰えます。
良くも悪くもIT業界はトリクルダウンが(一応)機能してますからね。
一方、介護は報酬が介護保険による上限で決まっており、歯科医のように保険外診療による裏技も殆どありません。
参入障壁も低いので、素人がどんどん参加してくるわけですね。
小規模事業者が乱立するので給料が上がらないんですね。
介護事業者はISO9001の取得を義務付けた方が良いです。
現在ではISOの取得も以前よりは楽だと言われています。
一つ言えるのは、多くの介護事業者において、品質管理の基礎・基本はできていないのです。
そのため、国側が制度として行えることは介護事業者に対する参入障壁の底上げであり、統廃合を起こさせることで初めて利用者が安心してサービスを受けられる状態になります。