それでも世の中は優生主義で動いている
最近何かと「優生思想は間違ってる」系の記事や通知を目にする機会が増えました。
なんでこのタイミングで優生思想が間違ってるだなんだと言うコンテンツを目にするのかよくわからないのですが、どんなに優生主義を否定したところで資本主義の環境で生きる以上、優生主義から逃れることはできないんですよね。
少なくとも私は優生主義を否定する材料というのは何一つ持ち合わせておりません。何一つ、です。
それは市場社会で生きる以上は優生主義から逃れることはできないし、資本主義社会において平等などというものは存在できないからです。
🐞カメムシの命を犬と同等に扱えるか
ちとこの記事は「杉本彩さんが悪魔の所業やったみたいなタイトルじゃないか!!」と怒る人が多かったんですが、個人的に「このタイトルをどう読んだら杉本彩氏が悪魔の所業をやったように見えるんだ・・・」という気分しかしなかったです。
「杉本彩氏が悪魔の所業をやった」なら、タイトルに敬称は付きません。更にツイッターカードではディスクリプションが表示されてるので、ちゃんと文を読み、発信者の意図を詠めば、杉本彩氏が動物虐待を働いた元社長に対して「悪魔の所業だ」と言ったのは推察できるはずなんですよ。
と、まぁそういう日本語の話はさておき、この件で怒る人には「動物の命をなんだと思ってるんだ!!」と怒る人も当然多いものでした。469匹の犬を帝王切開な記事ですから、途中で読んでて辛かったという人もいたようです。
ところで「動物の命をなんだ!」と思った人に訊いてみます。
貴方の部屋にカメムシ(動物)が入ってきたらどうしますか?
クモ(動物)が入ってきたら?
カマドウマ(動物)とか許せます?
もしここで「殺虫スプレー撒きます!」と答えたなら、そりゃ貴方は犬と虫の命で優劣をつけたことになります。殺虫スプレーを撒いた貴方にとって犬とカメムシの価値は同等では無いということを示したことになります。
カラスがスズメを捕えて食べる姿を見た時、カラスに石を投げる人がいました。私からすればカラスが可哀相ですが、カラスに石を投げた人にとってカラスよりスズメの命の方が尊いのです。即ちカラスとスズメに命の優劣をつけたことになります。
🐈「雑種に価値無し!」ペットは命でなく血統に価値がある
さて、何で469匹もの犬を帝王切開したんでしょうね。犬種はわかりませんが、まぁ「売れる品種の純血種」だったんでしょう。
まぁ1匹でもノー麻酔で帝王切開できる精神性が大したものだなと思うのですが、なんでこんなことがされたかっていうたら、そら買う人がいるからですよ。
だいたい単純にペット飼いたいなら、別に買う必要なんかないわけですよ。
2021年において、殺処分された猫は1万9000匹、犬は4000匹いるわけです。この「殺処分」って言葉もなかなか凄いよね。だって「処分」ですよ。モノと同じ扱いなわけです。
恐らく保健所にいる犬猫は雑種が多いでしょう。少なくとも血統ってものはわかりません。じゃあ何故ブリーダーから買うかって言ったら「血統(ステータス)に価値があるから」です。
もう一度言います。4000匹の犬が1年で殺害されているほどなので、単純にペットを飼いたいだけなら買う必要は殆ど無いのです。それでもペットを買うのは血統(純血/ステータス)にこそ価値があるから買って飼うわけです。そこには捨て犬や保健所の里親待ちの犬との命の優劣が決められているとも言えます。
余談ですが、最近流行のウマ娘。サラブレッドの世界で繁殖に回れるのは現役時代の成績が良かった一部の馬であり、実績が無くて繁殖に回れるのは血統の良い馬だけです。ダビスタではGⅠを獲れなかった牡馬は乗馬にされますが、サラブレッドは競争心が強いため、乗馬になれるのも一握りです。
では実績を残せなかったサラブレッドの多くはどうなるのかというと、殺処分です。この数は年間7000頭。みなさん大好きハルウララも、実は殺処分が予定されていたそうです。
🏢就活市場も婚活市場もぜーんぶ優生主義で回ってる
人間同士の世界だって当然ながら、優生主義が基本中の基本です。
ITの世界なんかいると常に「市場価値を上げましょう」ということが言われます。まぁITの世界って言うのは人売り末端SESで働き続けたいならともかく、そうでないなら努力は出来て当たり前という世界ですからね。今後は技術だけでなく、コンサルも出来るようにならないとSIerは厳しいですよ。
マイナビは大学ランクによって就職支援サービスの内容を差別化してたんじゃないかと批判受けてましたが、そら就活市場なんて優生主義で動いてるんですから、大学ランクでエージェントがサービス内容仕分けするのも何ら不自然はないです。
婚活市場も同じです。男は女に若さを求め、女は男に年収を求めるという構図が一般的ですが、ド直球で優生主義なんですよね。
💸生きてるだけで価値があるとか言う欺瞞
「人の価値は生産性で決まるものじゃない」とか「生きてるだけで価値がある」などというのはハッキリ言って欺瞞です。
言ってしまえば私が生きる価値を決めてるのは私ではありませんし、貴方が生きる価値を決めるのも貴方ではありません。人の生きる価値はすべて市場によって決められます。
どんなに「優生主義は間違っている」と言ったところで、資本主義、並びに市場原理社会で生きる以上は優生主義で回らざるを得ないわけであります。それが嫌なら資本主義から退場して生きるしかない。
優生主義を否定すればするほど、その矛盾というものが付いて回ります。
なぜブリーダーがいるのか。それは純血の動物に価値(ステータス)を求める消費者がいるからです。
なぜスズメを捕食しようとするカラスに石を投げるのか。それは(人間にとって)醜いカラスより可愛いスズメの方が価値があるからです。
サラブレッドには生きてるだけで価値がある馬というものはいません。賞金を稼いでくることに価値があります。同様に、資本主義社会で生きる以上は生きてるだけで価値のある人間などいません。どんな綺麗事並べたところで価値を生まない人間を雇いたい会社はありません。
私からすればカメムシやカラスは可愛いですが、それでも人はカメムシに殺虫剤を噴霧し、カラスには石を投げるわけです。
それでも貴方は優生主義を否定できますか?