ためになるお葬儀知識②
さて、以前書いた「ためになるお葬儀知識①」のPVがまったく増えておりませんが(笑)、第二弾を書いていきたいと思います。
葬儀は身近に起きるものではないですし、考えて楽しいものでもないのですが、避けては通れないものでもあるので、何かの折にここでの知識を思い出してもらえたら幸いです。
さあ、今回は肝となる「お葬儀の形」について考えていきましょう!
お葬儀の種類
一言に葬儀と言っても、色々な葬儀があります。
みなさんもパッと思いつきませんか?
一般葬、家族葬、一日葬、社葬、密葬、火葬式、直葬、鳥葬、樹木葬、公園葬、宇宙葬etc…
○○葬とつく言葉は結構あるんですよね。
でも、今あげた言葉の中で、お葬式の事を指す言葉は以下だけです。
・一般葬
・家族葬
・一日葬
・社葬
・密葬
・火葬式
・直葬
それ以外の言葉はお葬儀の話ではなく、お墓と同じ供養の仕方ですね。
樹木葬や公園葬、宇宙葬などは散骨などとカテゴリーが一緒で、お骨をどうするか、の話になりますので、また別の機会にお話しいたします。
鳥葬はちょっと違いますが(笑)
それでは各葬儀について解説していきます。
一般葬(家族葬)
一般的なお葬儀を総じて一般葬と呼びますが、何をもって一般的と言うかというと、まず通夜があり、次の日に告別式があって、火葬がある。
この一連の流れを行うお式の事を一般葬と言います。
ところで最近は「家族葬」という言葉を聞きませんか?
実はこの「家族葬」という言葉には定義がありません。
ですが、みんな口々に「家族葬」と言います。
「家族葬」という言葉は、とある葬儀社が、聞き馴染みの良い語感のお葬式として言い出したのがきっかけで、その言葉が爆発的に広まって市民権を得た言葉です。
ですが、なんとなく皆さんの中で、「親しい人のみで行うお式」だったり「家族(親族)のみで行うお式」というイメージがありませんか?
先ほど申し上げた通り家族葬には定義はありませんので、どちらも正解ですし、どちらも外れです。
「家族葬」は、「我が家の葬儀は家族葬」と言えば「家族葬」になります。
ただ、先述した通りのイメージがあるのは確かですので、「家族葬」と言われた時は基本的には親族以外は参加しない方が無難です。
逆に喪主(施主)の立場になった場合は、「家族葬」と言っておけば近所の方や友人などの来訪はご遠慮ください、という意思表示になります。
生前、特にお付き合いが深かった方や、親友などをお呼びしたい場合は「家族葬ですが是非顔を見てあげてください」などとお声掛けをしてあげるのが良いでしょう。
一日葬
通夜を行わず、告別式→火葬のみを行うお式の事です。
通夜を行わないので一日でお葬儀が終わりますので、一日葬という名前がつきました。
告別式というのは一般的には親族のみで執り行います。
特に仲の良かった方なんかは参列したりもします。
通夜と告別式はセレモニーホールなどで行い、そこから火葬場へ移動してから火葬するのが一般的なお葬式です。
(地域や場所によっては、通夜、告別式も火葬場併設の会場で行う場合もあります。)
ですので、一日葬であってもセレモニーホールを手配する必要があります。
基本的には告別式に参列した方は、そのまま火葬場までマイクロバスなどで移動して、火葬にも立ち会うのが一般的でしょう。
火葬式(直葬)
通夜、告別式を行わず、火葬のみを行う葬儀の事です。
一日葬と違うのは、火葬式の場合は2,3人のみで行うという事です。
親族や友人などは呼びませんし、立ち合いはしません。
そもそも今でこそ火葬式なんて言い方をしますが、元々は直葬と言っており、病院(又は安置している場所)からセレモニーホールや自宅などを介さず、直に火葬場に行く方法でした。
これは身寄りのない人や、葬儀の際に人にお見せ出来ないような損傷を負ったご遺体(自死なんかも)などを扱う際に選ぶ方式でした。
今は時代の流れで平均寿命が延びた事により、故人も高齢だが式を執り行う親族も高齢(老老介護に代表されるように)になってきているので、昔よりもこの火葬式は一般的になってきました。
密葬
密葬と聞くと、親族のみでこっそり行う式というイメージがありますよね。
厳密に言うとそれは間違いです。
親族のみで行うという意味では、家族葬の方がイメージに近いです。
密葬というのは、実は対となるお式があって初めて成り立ちます。
即ち、「お別れの会」などの故人との別れを偲ぶお式があって初めて「密葬」という言葉が成り立ちます。
ちょっと前までは芸能人や著名人が亡くなると「密葬を行い、後日お別れの会を行います」なんて言っていたと思います。
今は密葬なんて言葉は使わずに「葬儀はすでに親族のみで行い、後日お別れの会を行います」といった言葉に変わってきていますよね。
家族葬という言葉に取って代わられていますが、本来の密葬という言葉の意味は頭の片隅に置いておいてもいいかもしれません。
社葬
個人で行うお葬儀ではなく、会社として実施するお式の事です。
まあイメージつくと思いますが、大企業の社長や、中小企業の社長などが亡くなった際に、親族で実施する葬儀と一緒に会社も施主として実施する式です。
これは規模が大きな式になりますので、残された親族は会社と一緒に行う事で費用のシェアが出来るので助かりますし、個人で実施した場合にどこまでの人を呼んだらいいのかわからないケースもあるので、同時開催した方が楽という事情もあります。
最近は大々的な社葬の数は減りましたが、それでも一定の需要はあるのが社葬です。
葬儀の意義
一日葬の人気
最近は通夜を行わない一日葬が人気です。
これには様々な理由があると思われますが、いくつか考えてみます。
①通夜を行う葬儀よりも、費用が安い
②故人の寿命が長くなり、知友人、親族も高齢化して会場に来るのが困難
③近所づきあいの希薄化に伴い、式の参列者が減った
④施主が忙しく、葬儀に二日を要するのは時間的に難しい
だいたいこんな理由が多いのではないでしょうか。
特に①に関しては、昨今の物価高もありますが、それ以上に故人の高齢化に伴い医療費が洒落にならないくらいかかる、というのもあります。
亡くなってから葬儀にかかるお金を用意する以前に、入院費などによりお金がかかってしまい、葬儀にお金をかける事が出来なくなっているという現実があります。
同じような理由で、高齢化に伴い、式に参列するはずの親族や知友人も高齢者や入院中の人が多く、そもそも通夜を行っても参列出来ないという事も起こっております。
通夜の意味
そもそも通夜ってなんの為にやるんでしたっけ?
謂れは諸説ありますが、私が知っている中で説得力があるなぁ、というものをご紹介します。
通夜に対してどんなイメージをお持ちでしょうか?
地域によって考え方はちょっと違いますが、なんだかわからないけれど飲み食いをして、夜通し線香を絶やしてはいけない、そんな感じではないでしょうか。
通夜についての起原はWikiなどで確認していただければと思いますが、元来葬儀(いわゆる火葬)に至るまでの間、ご遺体を見守る為の儀式というのが日本での通夜です。
と、言いますのも、昔は医師による死亡診断なんてありませんでしたから、亡くなったと思っていても不意に目を覚ます可能性があった事と、実際に亡くなっていた場合、ドライアイスなんてありませんので遺体はどんどん腐敗していく事になります。
そうなっていくと、当時は野犬や獣なんてものももっと身近にいた世界ですから、腐敗臭を嗅ぎつけてくるわけですね。
そういう外敵からご遺体を守る見張り番と、腐敗臭を誤魔化す為に夜通し香を焚いていた事から、夜通し線香の火を絶やしてはいけないとなっています。
※仏様になる為の浄土への道を線香が示す、なんていう話もありますが、仏教では四十九日をかけて「あの世」を巡る修行に出るのでそれは無いと思います。
現代になってドライアイスもありますし、巻き線香(火をつけると8時間くらい消えない)もありますし、この夜通し火の番はやる必要はないです。
実際に火の番の所為で火事が起こったりするので、消防からはなるべく控えるよう指導されたりもします。
それよりも儀式としての通夜をやる人が減っているのですが、これは前述した通り、通夜式を行う事で費用がかさむ(通夜振舞いという料理の用意、関東なら香典への返礼品の用意)のと、高齢化による参列者の減少というのがあります。
実際5~6年前に葬儀社で働いていた時も、5件のうち3件は通夜無しの一日葬や火葬式でしたね。
ですが、それでも費用をかけてでも通夜をやる意味はあると思います。
その理由は二つです。
・故人への気持ちの整理をする時間が設けられる
人が亡くなるというのは突然やってきます。
老衰や大病などで入院していたならともかく、元気だった人でも突然亡くなってしまうものです。
そういった時、故人様の生身の体と一晩一緒に過ごすという事は、自分の中で死別というものを理解する為の時間になります。
どんな人でも次の日には火葬して永遠の別れとなります。
そんな中で実際に顔を見て、一晩じっくり別れる覚悟をするというのは、死と向き合う為の前向きな時間となるはずです。
そういう意味でもこの通夜の時間というのは意味があると思います。
・故人の知らなかった一面が知れる。他人の話を聞いて慰めになる
通夜は告別式と違い、知友人も来やすいです。
夜なので仕事を休まなくても参列できますし、近所の方なども気軽に参加しやすいのが通夜です。
そんな参列者の方々と故人の生前の話なんかをすると、新たな発見だったり、家族の知り得なかった一面などに触れる事もあります。
そんな出来事が自身の心の慰めに繋がりますし、故人の事を思い出してみんなで笑ってあげる事こそ、故人への供養になると私は思います。
通夜をやる事自体が珍しくなっていく時代ですので、喪主・施主の立場になった時、どんな選択をするかはあなた次第です。
ここで書いた事が正しいわけではありませんので、自分の立場に当てはめて判断ください。
一日葬のメリット・デメリット
一日葬は通夜が無いので、一日で終わるのが最大のメリットです。
もちろん費用も通夜がある一般葬(家族葬)に比べればお安くなります。
ですが、一日葬にしたからめちゃくちゃ安くなるかと言われると、それは疑問です。
なぜなら、一般葬でも一日葬でも、一番お金がかかるのは「祭壇」だからです。
一般葬も一日葬も、共通するのは宗教者が必要という事です。
お坊さん、神父さん、牧師さん、なんでもいいのですが、拝む為の対象「祭壇」を用意しなくてはいけません。
祭壇の種類や金額はまた別の機会にご紹介しますが、とにかく祭壇が必要となります。
それに祭壇を用意する=セレモニーホールに場所を借りるという事です。
そう、場所代が発生するという事になるわけです。
結局、通夜をやってもやらなくても結構お金がかかるという事です。
手っ取り早く、しかも費用は多少抑えめで葬儀が出来るのが一日葬のメリットですが、デメリットもあります。
考えられるデメリットは二つです。
・親族、近親者からのやっかみ
だいぶ一般的になった一日葬ですが、まだまだ世間からは十分に認知されていません。
特に高齢者は「葬儀とは通夜があって当然」と思っている節がありますので、一日葬にしてしまうと「あんなケチな式しか出さずに故人が可哀そう」なんて無責任なやっかみを受けてしまう事があります。
みんながみんなそうとは言いませんが、自分の親族関係等をよく考えて実施する方が、あとあとのトラブルを回避できます。
・近所付き合いが多い方は、あとで困る
これもよく聞く話ですが、故人が近所と深い付き合いなどをしていた場合、一日葬で親族のみの式を行うと、火葬が終わりお骨になって帰ってきた次の日あたりから「お線香をあげさせてください」と、近所の方があとからあとからやってきます。
最初のうちはみなさん対応するのですが、本当にあとからあとからやってくるので、葬儀で疲れた中、しかも死後の対応でやる事がたくさんあるのにも関わらず、来訪者の対応をするというのは精神的にもしんどいものです。
通夜をやるとそういったわずらわしい(失礼)対応が一晩で片付くという事もあります。
故人の交友関係などをよく把握した上で選びたいものです。
直葬・火葬式の注意点
直葬・火葬式は昔は宗教的儀式は無く、必要に迫られて止む無く選択するしかない葬儀でした。
ですが時代が変わり、今はとにかく費用を抑えた葬儀として、一つのアイデンティティを勝ち取ったと思います。
長い入院生活でお金がかかり、高齢故に参列者もいない。
そんな方であれば直葬は選択肢として全然ありだと思います。
ただ、直葬って本当に呆気なく火葬になって、アッという間に終わってしまいますので、気持ちの切り替えなんかは難しい部分もあります。
本来直葬は宗教者を呼ばないものでしたが、今は宗教者を呼ぶのも一般的です。
ですがここで注意しなければならないのは「お寺によっては直葬には来てくれない」という事。
日本人に多い仏教ですが、お寺さんとのお付き合いがある人も多いでしょうし、檀家になっている方もいるでしょう。
そういった方の場合、直葬だとお寺に読経を断られる場合があります。
そもそも通夜、告別式をやるのには仏教的な理由ももちろんあり、それぞれの場面で読むお経の内容も変わります。
言うならば仏様(もしくは仏弟子)になる為の手順があるのですが、直葬の場合それらを端折ってしまう事になります。
なので、宗派によってはNGを出される事があるので、直葬を選ぶ際は自分の宗派、お寺さんによく確認を取りましょう。
檀家だったりすると、最悪お墓に入れる事を拒否されたりします。
それ以外に親族からのやっかみや、あとから人が来るというのもありますが、これは一日葬と同じです。
もう一つ、注意点を。
最近は終活なんて言葉もあり、故人様自身が生前に自分の葬儀について準備したりもします。
そんな中、故人は「後に残る人たちに迷惑をかけたくないので、直葬でいい」なんて言い残して亡くなったりする人がいるのですが、これを真に受ける必要はありません。
葬儀とは故人のものではなく、後に残される遺族のものです。
遺族が自分の気持ちに整理をつけ、故人を見送る為の儀式なわけですから、先に書いた事を自分の立場に当てはめた時に、何が最善なのかをよく見極めた上で選ぶのが良いと思います。
「死人に口なし」とはよく言ったものです(笑)
まとめ
さて、お葬儀知識第二弾は葬儀の形について書きました。
何が正解というのはありません!
自身の家庭、環境、状況に合わせて最善の形を選ぶのが一番良いです。
ただ、その為にも葬儀の形や意味を知った上で判断材料にするのが正しい葬儀を選ぶ事につながると思います。
まったくPVが伸びないだろう本シリーズですが、性懲りもなく第三弾も書きます(笑)
次の③では葬儀にかかるお金について詳しく書いていきたいと思います。
それでは第三弾も気長にお待ちください!