担当授業日記 (2020/9/4)
2020年度の初回の授業を終えました。「担当授業日記」として,感想などを述べていきたいと思います。
今回の授業の内容
今回の授業は講義形式で,大きく分けて,情報学と記述統計の基礎について扱いました。具体的には,「情報」や「科学」などの基礎的な用語の定義,人を対象とした研究の基礎,尺度,質的データの単純集計,平均,分散,標準偏差などについて解説しました。
個人的に,相関関係と因果関係の区別の話は重要だと考えていて,けっこう詳しく説明しました。次回は今回の復習をしてから,実習を始める予定です。
コメントシートと質問
講義のみだと教える側からの一方通行になってしまいがちです。そうならないようにするため,コメントシートを書いてもらいました。その反応を見てみると,高校数学に苦手意識をもっている人が多く,Σ(シグマ)を用いた数式や,尺度の区別(間隔尺度と比尺度の違いなど)などが難しく感じたようでした。
しかし,学生のレベルは様々でした。授業が終わった後に鋭い質問をしてくる学生がいました。今回は,データ全体のばらつき(分布)を示す統計量(散布度)として,分散と標準偏差を取り上げていました。その質問の内容をまとめると,「散布度の指標として,分散と標準偏差ではなく,平均偏差(mean deviation)を用いないのはなぜか(平均偏差で事足りるのではないか)」というものでした(実際は「平均偏差」という言葉は使わず,「2乗」と「絶対値」という言葉を使って数式とその意味に言及してくれていました)。統計学を勉強したことがある方はご存じだと思いますが,分散の式の括弧と2乗の部分を絶対値に置き換えたのが平均偏差の式(のひとつ)です。これはもっともな話で,散布度の意味を解釈したいという場合は,どちらでもよいと思われます。しかし,平均偏差ではなく,分散と標準偏差を積極的に用いる理由として,分散と標準偏差が,統計学で登場する多くの指標(共分散や相関係数など)と関係があるということが挙げられます。とはいえ,ここまで考えられているのは,素晴らしいことだと思いました。
以上,初回の授業の感想でした。やはり教えていると新しい気づきがあって良い刺激になります。来週はどうなるでしょうか。
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