Netflix「ザ・キング永遠の君主」:パラレルワールドで繰り広げられるラブストーリー
こんにちは、カイラです。先週末、遂に「ザ・キング」が終了しました。久々毎週追っていたシリーズだったので、少し寂しい気持ちです。
今日はそんなザ・キングについてのレビューです!
1. 名脚本家による久々のシリーズ作品
「韓国No.1ヒットメーカー」と呼ばれるキム・ウンスク脚本家は、これまでも社会現象となるドラマを数多く生み出してきました。「トッケビ」「太陽の末裔」「パリの恋人」等の恋人シリーズ、ヒョンビン主演の「シークレットガーデン」、そして今回主演のイ・ミノが出演していた「相続者たち」など。
共演後実際のカップルとして結婚した(残念ながら離婚…)ソンソンカップルの作品「太陽の末裔」
今を時めく若手スターたちがビックリする程大集合!な「相続者たち」
同じNetflixでは、イ・ビョンホン主演の「ミスターサンシャイン」も彼女の作品です。イ・ビョンホン様、目線だけで男前すぎる…
個人的には、「トッケビ」のあの世界観、ストーリーが最高でした。「ザ・キング」で主人公を務めたキム・ゴウンの代表作とも言えますね。涙なしには見られないとっても切なくて愛しい作品です。
余談ですが、海外ロケを行うことも多い韓ドラ。「トッケビ」ではモントリオールの風景が本当に美しかった!ぜひ行ってみたいな。
一方、4でも後述しますが、韓国国内でもスタート前からかなりの期待があった反面、「キム・ウンスクワールドの終焉」といった辛口の評価をもらったのも事実でした。とはいえ、韓国特有のせ~~つないラブストーリーを語る上で、外せない脚本家の一人、そして作品です。
---------以下、一部ネタバレが含まれます---------
2. 韓国お得意のSF ー 「パラレルワールド(平行世界)」
韓国ドラマは良くも悪くもぶっ飛んでいる設定が多いのですが、それもあってか実はSFジャンルはとてもポピュラーです。マンガの主人公が実際に出てくる「W」や、ホログラムと恋する「My Holo Love」、戦闘ゲームの世界と同期してしまう「アルハンブラの思い出」等、挙げるときりがないほど。
今回の「ザ・キング」でも、ストーリーの前提としてパラレルワールドの存在があります。まるで映画「インセプション」のような世界観がオープニング映像でも使われて使われています。
個人的には、映画の「インターステラー(Interstellar)」「メッセージ(Arrival)」といったガチ宇宙、ガチ物理学的なストーリーも好きなので楽しかったのですが、正直、途中から「今、どっちのどこの話?」と混乱した人も多いと思います…タイムトラベル的な要素や、異世界がいくつも存在する、ドッペルゲンガー(正確には異世界の別の自分)といった存在が特徴的でした。
また、見て貰えればわかるのですが、現在の「大韓民国」の対となる「大韓帝国」は、まさに真逆の世界です。戦争の結果が異なり、現在の北朝鮮である平壌(ピョンヤン)にも特急列車で直通で行ける、日本とは軍事的な緊張関係にあり、それが故に首都は釜山(プサン)にある、そして民主主義国家ではなく「皇帝制」等、まさに異世界の設定が、個人的にはとても興味深かったです。
その辺りは、Amazon Primeオリジナル作品の「高い城の男(The man in the high castle)」と通ずる部分がありますね。(参考:日本がWWⅡで敗戦せず、ドイツと日本が戦争に勝ったという設定。フィクション小説が原作)
3. 熱演俳優陣の魅力 ー 1人4役?
パラレルワールドだからこそ、対になる世界には全く違う自分が存在します。登場人物によってその設定は様々でしたが、特に注目したいのは近衛隊長として皇帝であるイ・ミノの護衛を務めたウ・ドファンの演技です。護衛という仕事200%のキレッキレのスーパークールな人物(写真右)と、若干落ちこぼれのようにのらりくらり、方言&愛嬌&ジェスチャーたっぷりの人物(写真左)と、特に落差が激しいだけに、見てるだけでコミカルです。本当に同じ人物と思えない程の演技にハマりましたし、この二人だけで番外編が作れそうなくらいです。(笑)
また、「大韓民国」に行って、そこの住人のフリをする「大韓帝国」のウ・ドファン、というように、二重の演技つまり結果的に1人で4人分の演技をしたということでも評価されました。
そして言わずもがなの主演、キム・ゴウンの演技も良かった!これまでの「トッケビ」や映画「メモリーズ」同様、繊細な感情表現が本当に上手。正直、イ・ミノの演技は今回はあまり納得いかず。。ただ彼自身の演技力というよりも、脚本そのものやキャラクター設定が弱かったように感じます。
4. 韓国での評価
毎回ですが、初回放送からかなりシビアな論争がなされる韓ドラ。4月末時点でもすでにかなり酷評があったのですが、終演後にはこんなレビューも。
「ザ・キング」終わりなき論争と複雑なストーリーで寂しく退場~キム・ウンスク作家、最後まで視聴者の気持ちを掴み切れず~
対となる「大韓帝国」を描くにあたり、日本との海上での実戦シーン(戦争勃発の可能性)等、政治的な描写や女性総理に対するの女性像の描き方等、数々の批判や論争が最後まで尽きませんでした。また、このようなデリケートな問題以外にも、ラブストーリーの進み方が唐突すぎるであったり、妊娠した女性に対する発言、また特にPPLの多さも指摘されていました。私もPPLに関しては正直同感ですし、韓国では「ザ・キングではなくPPLキングだ」と揶揄される声も。(PPLとは間接広告、コーヒーや化粧品などの商品を実際に劇中で使用する広告。韓国ではかなりポピュラー↓)
個人的にはまずまず評価できた演技力も、主演4人を筆頭に上記サイトでは酷評を受けていました。もちろん、評価する声も確かにあります。ありとあらゆる批判を受けていたのは、脚本家や俳優陣への高すぎる期待値の裏返しだったかもしれません。
とはいえ、韓国国内で初回11.4%でスタートした視聴率は、最終回でも8.1%、平均7.7%と2桁にも及ばず、キム・ウンスク作品として過去最低を記録しました。
一方、「お国事情」から一歩俯瞰して見れる世界各国では、かなり人気が高かったようです。5月31日基準で、NetflixのTVトップ10チャートには香港、マレーシア、タイ、フィリピンが1位を獲得し、その他東南アジアや南米でもかなり人気を博しているようです。
5. 総評
なんと一作あたり20億ウォン(約2億円)、16話で320億ウォンもかけたという超大作!(それもあってPPLの広告量が多かったとか)。確かに衣装や皇宮、白馬で駆けつける例のシーン等、世界観を構成するセットは投資しただけあってとても豪華でした!総じて、ハリウッド的な印象を受けたのもここですね。
オススメポイント:パラレルワールドの世界観、むずかゆい程のロマンス(好きな人は)、イケメン皇帝のファッション、OST(サントラ)、費用かけたセットや屋外シーン、最後はハッピーエンド
残念ポイント:ロマンスが唐突、パラレルワールドの設定が複雑、消化しきれない演出や伏線が残る、キャラクター構成不足による演技のイマイチさ、全体を通してのメッセージが見えにくい、PPL広告の多さ
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オススメ度 ★★★☆☆ 3.3
涙度 ★★☆☆☆(メインではないサブストーリーで一部あり)
ロマンス要素 ★★★★☆ (むずかゆくなるような直球表現が多し、好き嫌いあり)
謎解き要素 ★★★★☆ (時空をまたぐ感じなので、やや難しい設定)
コミカル要素 ★★☆☆☆(ウ・ドファンの二重演技とロマンス以外は基本シリアス)
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Thank you and addios!